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晒し(さらし)合うこと

自分を晒すこと。
剥き出しの状態にすること。
今のおれにこんなに怖いことはない。
でもこれが大切であり信頼できると
そう思わせてくれた話。

ここ5ヶ月間はサイハテという地で
家を建てるために動いてきた。
そして1月31日をもって棟梁は
このサイハテを出るということが決まっていた。

とは言っていたものの
外壁も終わってない、内装もまだまだの状態で
3月から住まなければならない。

不安でしかないしこの状況に怒りすら感じてた。

いや、このまま帰るのかよ、まじかよって
年内に外壁まで終わらせると言っていたのに
1月になっても終わってないじゃねーかよ
こんなんじゃ3月から住めないし
一月最後にやる送別会で心よく送り出せないって

あの時の心の叫びを晒すとこうなる。
たくさんの感謝があるからこそ
そんな自分は嫌だった。
してもらってることはたくさんあるのに
まだ自分は求めてばかりでなんてひどいやつだ。
そんな戦争が自分の中で起こっていた。

あの3時間が始まるまでは。

送別会を2日後に控えた夜、
僕ら素人メンバー5人は送別会の準備をせずに
棟梁がいる間に
作業を進めることだけを考えていた。
だから送別会が正直楽しめるとは思えない
そんな状況で話をしていた。
みんな収入もない、余裕もない、
そんなきつい中で家を建てていた。
気持ち的にも体力的にもだいぶ沈んでいた。

おれの中で戦争が起きていることに気づいたのは
この話し合いだった。

このまま帰って欲しくはないとムカついてる俺。
感謝してるからこその自分に嫌だと思ってる俺。

そんな話をしているとある言葉が出てきた。





助けてくれ





そう、サポートがほしかった。
まだ作業が終わってないこの状況だからこそ
棟梁のサポートが必要だった。
一月に辞めるとはいえこの状況だからこそ
サポートして欲しかった。
この言葉が出てくるとある変化に気づく。

それは自分の怒りが寂しさに変わっていたこと。

そう、自分の中にはそのサポートを通して
一緒に協力することを通して
棟梁との関係性に生まれる温かさ、
思いやりから生まれる繋がりを
心の底から願っていた。

気づくともう
自分に対して嫌だと思う自分はいなくなってた。
繋がりを願う、温かさを求める自分にある
正直な願いの美しさに触れていた。

おれは後悔した。
この温かさを願うなら
この繋がりを願うなら
相手にサポートをお願いするばかりではなく
もっと自分から話にいけばよかったと。

でもまだ1月は終わってない。
あと2日作業する時間は残ってる。
だからこそ話したいと思った。
この自分を表現できるか不安だったけど
それでも話すことが大事だと思った。

棟梁の話を聞いて辛くてしんどいことを理解した。
助けを必要としていたということも。
それからおれも話した。
伝え切れたと思えるまで何回も話した。
そして自分が願っていることを話せた。
それを伝えあったのが3時間。
みんなの言葉をそれぞれ伝え合い
たくさん心が動いた時間だった。
それぞれが大事にしてるものを理解し合うことで
ありえない変化が起きた。

あんなに必死にやっていた外壁作業を中断した。
みんなが大事にしたかったのは
ここのメンバーでやれてよかったと
そう思えることだった。
そして最高の状態で送別会を迎えることだった。
棟梁がいなくなったらやりづらい作業を片しながら
今までで一番笑いに溢れた時間になった。
夜ご飯はどのお店も閉店してたけど
帰りに買ってみんなで食べた
あの焼き鳥丼の味をおれは忘れないと思う。
あんなに最高な食事の時間はなかった。

あの体験を共有してそれぞれの中にあるものを
晒しあったからこそ生まれた時間だった。
温かくて楽しくて喜びに溢れた時間だった。


そして迎えた送別会でも
みんなで集めたムービーと共に
5ヶ月を振り返り
みんなでハグをしたあの瞬間が、
フリースタイルでマイクを握って
ありがとうしか出てこないと叫べたあの瞬間が、
お祝いのケーキを食べさせあって
心の底から笑い合ってたあの瞬間が、
本当に幸せだった。
心からありがとうと言って送り出せた。
何かしらでこれからも協力したいと思える
大切な繋がりが生まれた。

あの2日前からは考えられない出来事。
でも晒し合うことで生まれた
必然的な出来事だった。

話を聞いてくれたイエタテメンバーや住人の方
一緒に送別会を盛り上げてくれたみんな
ここまでサポートしてくれた住人や助っ人のみんな
そしてたくさんのことを教えてくれた棟梁に
心の底から感謝の気持ちでいっぱいだ。

晒し合うことは怖いけど
自分の持つ感覚の中にある美しさを信頼する
そんな生き方をしちゃおうとおもう。

これからも日々よろしく自分よ。

以上!
ここまで読んでくれた方ありがとうございました!

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