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神様のカルテと同級生のはなし

この予備校が封鎖されている期間、通学時間だった1日約40分は勉強以外のことをしてみようと思った。

それでやり始めたことの一つが、昔読んでいた本をもう一度読み返してみることだった。今日は特に読んだ印象が変わった本について。

神様のカルテ

自分が中学1年生の時に読んでいたことを思い出した。めざましテレビの間のCMを見て、衝動買いをしたような気がする。あの時恋人いない歴=年齢だった自分は医師がどう患者さんと向き合っていくかというようなこの小説の主題には目もくれず、ただ主人公の恋愛シーンのためだけに読んでいた。だから、今読み返すと全然話が違うように感じられた。そして、やけに主人公の考え方がよくわかる、人に寄り添う医療に親近感を感じるようになっていた。なぜだろうかとふと思い返してみた。



高校3年のクラスの同級生に、公立の医学部に現役で合格していった女子がいた。東大京大合格者が40人近くでる母校で、医学部志望は珍しかった。医学部に行こうとする人は自分の地域では私立の県内トップ校に進学する傾向にあり、公立でしかもトップ校から2kmもないとこにある母校には当然医学部志望は元から少なかったのだ。

彼女は成績優秀なうえ、ものすごく謙虚だった。あまり自分から話しかけていくタイプではないけれど、仲の良い友達が困っていたら手をすぐに差出せる優しい人。文化祭で劇をやった時、彼女はS台予備校の夏期講習に追われながらも、いつのまにか2人で担当していたはずの出演者全員の衣装を完璧に1人で用意していたほど、容量のいい人でもあった。

自分は比較的仲良くなった方だったけれど、彼女が医者にどうしてなりたいかを単刀直入には聞いたことはなかった。だけど、普段の言葉の端々から彼女の医者になる理由は

困っている人を助けたい

という純粋な理由だけなんじゃないかと勝手に思っている。それくらい優しくて、気遣いができる人だった。


著作権とか分からないので本文引用は避けるけど、神様のカルテシリーズの主人公、栗原一止も同じようなことを確か 神様のカルテ0 の中で言っていた。自分はこの小説を読み返しながら、あの高校の同級生を主人公に投影していたのだ。あの子が医者になっていったらこういう人になっていくんだろうかと。

身勝手なことを言えば、彼女には一止のような医者になってほしい。医療の現場の大変さは今の状況ではよりひしひしと感じられるけど、彼女はその中でも高校時代に持っていた優しさを失わない、優しい医者になれると思う。


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