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『HR』これからの採用が学べる小説

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広告業界のHR畑(求人事業)で勤務する若き営業マン村本。自分を「やり手」と信じて疑わない彼の葛藤と成長を描く連載小説です。突然言い渡される異動辞令、その行き先「HR特別室」で彼を… もっと読む
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*目次*『HR』 これからの採用が学べる小説

 この小説について 広告業界のHR畑(求人事業)で勤務する若き営業マン村本。自分を「やり手」と信じて疑わない彼の葛藤と成長を描く連載小説です。突然言い渡される異動辞令、その行き先「HR特別室」で彼を迎えたのは、個性的過ぎるメンバーたちだった。彼はここで一体何に気付き、何を学ぶのか……。 第1話 『イタリアマフィアの爆弾』 第1話【1】 第1話【2】 第1話【3】 第1話【4】  第1話【5】 第1話【6】 第1話【7】 第1話【8】 第2話『ギンガムチェックの神様』

エピローグ(2) ※最終回/これからの採用が学べる小説『HR』

この小説について 広告業界のHR畑(求人事業)で勤務する若き営業マン村本。自分を「やり手」と信じて疑わない彼の葛藤と成長を描く連載小説です。突然言い渡される異動辞令、その行き先「HR特別室」で彼を迎えたのは、個性的過ぎるメンバーたちだった。彼はここで一体何に気付き、何を学ぶのか……。 *目次*はコチラ 【エピローグ(2)】 鬼頭部長はスタバのコーヒー片手に、どこか物憂げな表情で中に入ってきた。俺に向けて肩をすくめてみせると、「こんな騒がしい営業一部は初めて見たな」とこめかみ

エピローグ(1) /これからの採用が学べる小説『HR』

この小説について 広告業界のHR畑(求人事業)で勤務する若き営業マン村本。自分を「やり手」と信じて疑わない彼の葛藤と成長を描く連載小説です。突然言い渡される異動辞令、その行き先「HR特別室」で彼を迎えたのは、個性的過ぎるメンバーたちだった。彼はここで一体何に気付き、何を学ぶのか……。 *目次*はコチラ 【エピローグ(1)】 HR特別室での“研修”が終わった翌週の月曜、俺はどこかぼんやりした心地で東京駅に降り立った。 駅から徒歩数分の巨大なオフィスビル。BAND JAPAN

第4話『正しいこと、の連鎖』 【36】/これからの採用が学べる小説『HR』

この小説について 広告業界のHR畑(求人事業)で勤務する若き営業マン村本。自分を「やり手」と信じて疑わない彼の葛藤と成長を描く連載小説です。突然言い渡される異動辞令、その行き先「HR特別室」で彼を迎えたのは、個性的過ぎるメンバーたちだった。彼はここで一体何に気付き、何を学ぶのか……。 *目次*はコチラ 第4話【36】 人間は驚くと、感情的になりやすいものらしい。 HR特別室の3人は相変わらずだった。俺の送別会だと言いながら、俺に関係のない話をベラベラと話し、そうかと思えば

第4話『正しいこと、の連鎖』 【35】/これからの採用が学べる小説『HR』

この小説について 広告業界のHR畑(求人事業)で勤務する若き営業マン村本。自分を「やり手」と信じて疑わない彼の葛藤と成長を描く連載小説です。突然言い渡される異動辞令、その行き先「HR特別室」で彼を迎えたのは、個性的過ぎるメンバーたちだった。彼はここで一体何に気付き、何を学ぶのか……。 *目次*はコチラ 第4話【35】 BAND JAPANからの帰り、HR特別室の面々と俺は、銀座線の新橋駅に到着した。 電車から一斉に吐き出されるサラリーマンの集団に流されるようにホームに降り

第4話『正しいこと、の連鎖』 【34】/これからの採用が学べる小説『HR』

この小説について 広告業界のHR畑(求人事業)で勤務する若き営業マン村本。自分を「やり手」と信じて疑わない彼の葛藤と成長を描く連載小説です。突然言い渡される異動辞令、その行き先「HR特別室」で彼を迎えたのは、個性的過ぎるメンバーたちだった。彼はここで一体何に気付き、何を学ぶのか……。 *目次*はコチラ 第4話【34】 駅に入ってしまうと、人の多さに、俺たちはほとんど会話することもできなくなった。 サラリーマンで満載の地下鉄に揺られながら、俺はぼんやりと考える。 営業とは

第4話『正しいこと、の連鎖』 【33】/これからの採用が学べる小説『HR』

この小説について 広告業界のHR畑(求人事業)で勤務する若き営業マン村本。自分を「やり手」と信じて疑わない彼の葛藤と成長を描く連載小説です。突然言い渡される異動辞令、その行き先「HR特別室」で彼を迎えたのは、個性的過ぎるメンバーたちだった。彼はここで一体何に気付き、何を学ぶのか……。 *目次*はコチラ 第4話【33】 俺たちHR特別室の面々は、数十メートル先の風景を黙って見ていた。 BAND JAPANのオフィスが入るビジネスビルの一階ロビー。しかしそれは俺が正木を待ち伏

第4話『正しいこと、の連鎖』 【32】/これからの採用が学べる小説『HR』

この小説について 広告業界のHR畑(求人事業)で勤務する若き営業マン村本。自分を「やり手」と信じて疑わない彼の葛藤と成長を描く連載小説です。突然言い渡される異動辞令、その行き先「HR特別室」で彼を迎えたのは、個性的過ぎるメンバーたちだった。彼はここで一体何に気付き、何を学ぶのか……。 *目次*はコチラ 第4話【32】 隆弘、という名が出た瞬間、槙原社長の顔がカッと赤くなった。そして、身を乗り出して、テーブルを挟んだ向かい側に座る都筑の肩を抱くような素振りをしながら、「あいつ

第4話『正しいこと、の連鎖』 【31】/これからの採用が学べる小説『HR』

この小説について 広告業界のHR畑(求人事業)で勤務する若き営業マン村本。自分を「やり手」と信じて疑わない彼の葛藤と成長を描く連載小説です。突然言い渡される異動辞令、その行き先「HR特別室」で彼を迎えたのは、個性的過ぎるメンバーたちだった。彼はここで一体何に気付き、何を学ぶのか……。 *目次*はコチラ 第4話【31】 BAND JAPAN、厳密に言えばそのオフィスの奥に存在する“高木生命”の事務所。その社長室の扉の向こうに現れた奇妙な風景に、俺は数秒間、白昼夢の中にいるよう

第4話『正しいこと、の連鎖』 【30】/これからの採用が学べる小説『HR』

この小説について 広告業界のHR畑(求人事業)で勤務する若き営業マン村本。自分を「やり手」と信じて疑わない彼の葛藤と成長を描く連載小説です。突然言い渡される異動辞令、その行き先「HR特別室」で彼を迎えたのは、個性的過ぎるメンバーたちだった。彼はここで一体何に気付き、何を学ぶのか……。 *目次*はコチラ 第4話【30】 たっぷり三十秒ほど黙ったあと、社長はため息混じりに言った。 「そうだ」 そして、いつの間にかフィルターだけになっていたタバコを灰皿に入れると、新しい一本を

第4話『正しいこと、の連鎖』 【29】/これからの採用が学べる小説『HR』

この小説について 広告業界のHR畑(求人事業)で勤務する若き営業マン村本。自分を「やり手」と信じて疑わない彼の葛藤と成長を描く連載小説です。突然言い渡される異動辞令、その行き先「HR特別室」で彼を迎えたのは、個性的過ぎるメンバーたちだった。彼はここで一体何に気付き、何を学ぶのか……。 *目次*はコチラ 第4話【29】 「……何の話だ」 そう言って口元を歪めた槙原社長だったが、動揺は明らかだった。真剣な表情が、どこかバツの悪そうな……いや、というより、まるで吐き気を覚えてい

第4話『正しいこと、の連鎖』 【28】/これからの採用が学べる小説『HR』

この小説について 広告業界のHR畑(求人事業)で勤務する若き営業マン村本。自分を「やり手」と信じて疑わない彼の葛藤と成長を描く連載小説です。突然言い渡される異動辞令、その行き先「HR特別室」で彼を迎えたのは、個性的過ぎるメンバーたちだった。彼はここで一体何に気付き、何を学ぶのか……。 *目次*はコチラ 第4話【28】 なんとなく話が核心に近づきつつある気がする。高橋はいったい槙原社長に何を言おうというのか。 槙原社長が、「ターゲット通りの社員だ」と太鼓判を押した正木。

第4話『正しいこと、の連鎖』 【27】/これからの採用が学べる小説『HR』

この小説について 広告業界のHR畑(求人事業)で勤務する若き営業マン村本。自分を「やり手」と信じて疑わない彼の葛藤と成長を描く連載小説です。突然言い渡される異動辞令、その行き先「HR特別室」で彼を迎えたのは、個性的過ぎるメンバーたちだった。彼はここで一体何に気付き、何を学ぶのか……。 *目次*はコチラ 第4話【27】 「私が……採用課題だと?」 「ええ、そうですわ」 怒りの為か微かに震えた槙原社長の言葉に、高橋は躊躇なく頷く。 「……どういう意味だ。冗談を言っていい場

第4話『正しいこと、の連鎖』 【26】/これからの採用が学べる小説『HR』

この小説について 広告業界のHR畑(求人事業)で勤務する若き営業マン村本。自分を「やり手」と信じて疑わない彼の葛藤と成長を描く連載小説です。突然言い渡される異動辞令、その行き先「HR特別室」で彼を迎えたのは、個性的過ぎるメンバーたちだった。彼はここで一体何に気付き、何を学ぶのか……。 *目次*はコチラ 第4話【26】 槙原社長は、明らかに不機嫌そうだった。 「どういうことかね、高橋さん」 ソファではなく執務机の向こうの椅子に体を預けたまま、社長は言った。 「と、言いま