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『HR』これからの採用が学べる小説

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広告業界のHR畑(求人事業)で勤務する若き営業マン村本。自分を「やり手」と信じて疑わない彼の葛藤と成長を描く連載小説です。突然言い渡される異動辞令、その行き先「HR特別室」で彼を… もっと読む
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2020年2月の記事一覧

第3話『息子にラブレターを』 【12】/これからの採用が学べる小説『HR』

この小説について 広告業界のHR畑(求人事業)で勤務する若き営業マン村本。自分を「やり手」と信じて疑わない彼の葛藤と成長を描く連載小説です。突然言い渡される異動辞令、その行き先「HR特別室」で彼を迎えたのは、個性的過ぎるメンバーたちだった。彼はここで一体何に気付き、何を学ぶのか……。 *目次*はコチラ 第3話【12】 「あ、すごいぞ、ジョーダンだよ、ジョーダン」 室長は突然興奮したように言って立ち上がり、入り口からは角度的に見えなかった奥の壁を指差す。 「冗談? なんで

第3話『息子にラブレターを』 【17】/これからの採用が学べる小説『HR』

この小説について 広告業界のHR畑(求人事業)で勤務する若き営業マン村本。自分を「やり手」と信じて疑わない彼の葛藤と成長を描く連載小説です。突然言い渡される異動辞令、その行き先「HR特別室」で彼を迎えたのは、個性的過ぎるメンバーたちだった。彼はここで一体何に気付き、何を学ぶのか……。 *目次*はコチラ 第3話【17】 高本以外の社員2名と、さっきの若い事務員も加わり、食堂は騒がしくなった。 結局俺たちは好意に甘えることになり、婦人の向かい側に座らせてもらう。ベトナム人含め

第3話『息子にラブレターを』 【16】/これからの採用が学べる小説『HR』

この小説について 広告業界のHR畑(求人事業)で勤務する若き営業マン村本。自分を「やり手」と信じて疑わない彼の葛藤と成長を描く連載小説です。突然言い渡される異動辞令、その行き先「HR特別室」で彼を迎えたのは、個性的過ぎるメンバーたちだった。彼はここで一体何に気付き、何を学ぶのか……。 *目次*はコチラ 第3話【16】 工場を出て事務所の扉を開けた時、どこからかチャイムの音が聞こえてきた。腕時計を見ると、昼の12時だ。 「さあ、もう帰れ。俺たちも昼休憩だ」 ふと見れば、事

第3話『息子にラブレターを』 【15】/これからの採用が学べる小説『HR』

この小説について 広告業界のHR畑(求人事業)で勤務する若き営業マン村本。自分を「やり手」と信じて疑わない彼の葛藤と成長を描く連載小説です。突然言い渡される異動辞令、その行き先「HR特別室」で彼を迎えたのは、個性的過ぎるメンバーたちだった。彼はここで一体何に気付き、何を学ぶのか……。 *目次*はコチラ 第3話【15】 そこから十分ほどかけて俺たちは工場内を回った。 工場を一周りして入り口まで戻ってくると「ほら、もういいだろ」と高本が言う。 まるで生け簀の魚のように高本の

第3話『息子にラブレターを』 【14】/これからの採用が学べる小説『HR』

この小説について 広告業界のHR畑(求人事業)で勤務する若き営業マン村本。自分を「やり手」と信じて疑わない彼の葛藤と成長を描く連載小説です。突然言い渡される異動辞令、その行き先「HR特別室」で彼を迎えたのは、個性的過ぎるメンバーたちだった。彼はここで一体何に気付き、何を学ぶのか……。 *目次*はコチラ 第3話【14】 見ていてハラハラする。室長の質問はあまりにストレートだ。確かに俺も、「機械を作る」ということがよくわかっていなかったが、だからといって嘘つき呼ばわりするなんて

第3話『息子にラブレターを』 【13】/これからの採用が学べる小説『HR』

この小説について 広告業界のHR畑(求人事業)で勤務する若き営業マン村本。自分を「やり手」と信じて疑わない彼の葛藤と成長を描く連載小説です。突然言い渡される異動辞令、その行き先「HR特別室」で彼を迎えたのは、個性的過ぎるメンバーたちだった。彼はここで一体何に気付き、何を学ぶのか……。 *目次*はコチラ 第3話【13】 「高本さんで、タカちゃん、なんですねえ」 事務所の裏口を出て、工場へと移動しながら室長が言った。その手には先ほど男から半ば無理やり奪い取った名刺がある。ひと

第3話『息子にラブレターを』 【11】/これからの採用が学べる小説『HR』

この小説について 広告業界のHR畑(求人事業)で勤務する若き営業マン村本。自分を「やり手」と信じて疑わない彼の葛藤と成長を描く連載小説です。突然言い渡される異動辞令、その行き先「HR特別室」で彼を迎えたのは、個性的過ぎるメンバーたちだった。彼はここで一体何に気付き、何を学ぶのか……。 *目次*はコチラ 第3話【11】 室長の言う通り、間近に見た事務所は確かに「味のある」ものだった。びっくりするくらい、くたびれている。戦争映画とかで見る住宅セットの方がいくらかモダンに見える

第3話『息子にラブレターを』 【10】/これからの採用が学べる小説『HR』

この小説について 広告業界のHR畑(求人事業)で勤務する若き営業マン村本。自分を「やり手」と信じて疑わない彼の葛藤と成長を描く連載小説です。突然言い渡される異動辞令、その行き先「HR特別室」で彼を迎えたのは、個性的過ぎるメンバーたちだった。彼はここで一体何に気付き、何を学ぶのか……。 *目次*はコチラ 第3話【10】 病院の近くで拾ったタクシーで、環七通りを新川方面へと進む。緩やかな高架を登り、カーブしながら降りた先の信号を左折すると、下町感が一気に強くなった。 一言で