『天冥の標』が期間限定でⅠ・Ⅱ巻無料になったぞ!早く読め!/『天冥の標Ⅱ 救世群』の新しいオビについて

ドーモ。マーズです。

タイトルの通り、『天冥の標』Ⅰ・Ⅱ巻、全3冊がKindleで5/6まで無料になった。以下のnote記事を見るがいい。

Kindleでの無料配信なので、多分期間が終わっても読めるだろう。違っても責任は持たない。また、電子全巻合本版も発売されている。続きが読めなくてやきもきする心配もないぜ。やったね。

今回の無料配信について、出版社の編集の方いわく、「ここまで読んでやめられたら、お代はいらねえ」とのことです。

『天冥の標』は2019年の日本SF大賞を受賞した、2010年代のSF最高傑作の一つである大河SFであり、めちゃくちゃ面白い。そんで、Ⅱ巻は現代日本が舞台のパンデミック小説であり、単品でも面白めるが、やはりⅠ巻から読むのが一番タノシイ。そんな現在の社会情勢にぴったりの『天冥の標』がⅡ巻まで無料で読める。これはもう読むしかないね? さあ今すぐDLするんだ!


これだけで記事が終わるのもつまらないので、ちょっとⅡ巻の新しいオビの話をしよう。さっきまで電子版をすすめていたのに今度は物理版の話を始めるけど許してくれ。まだ読んでない人はさっさと読んでくるんだ。

実は今回のコロナ禍を受けて、Ⅱ巻のオビが新しくなった。前回の記事のヘッダ画像の右側にうつっている、黒地に白文字で「防疫は、差別ではない。」と大きく書かれた、ほぼ全体を覆うタイプのオビだ。

このメッセージに対し、「それどうなの?」という意見をちょくちょくtwitterで見かけ、俺も「確かに、それどうなんだ?」と疑問を抱いた。

防疫は感染拡大を防ぐための処置であり、そこにはいくつかの自由と権利を制限する施策も含まれ得る。例えば執筆時点で行われている「外出自粛要請」だの、あるいは外国における、より強制力を伴う外出禁止措置などもそうだ。そしてそれ自体は差別ではない、あるいは少なくとも差別を目的とはしていない(自己目的的な差別もそうそうありはしないだろうけど)。

しかし一方では、現実に罹患者への差別があるとの報道もあるし、また感染が始まった初期の、まだ「アジアの感染症だ」と思われていた時期の、フランスにおけるアジア人差別も記憶に新しい所だ。日本でも、「中国人お断り」の張り紙を掲示したお店がある。疫病は、人間の差別心をあらわにしてしまう、そういう性質があると言っても過言ではないと思う。

そして何より、何より、「この作品を読んで、その言葉が出てくるか?」と思ってしまう。いやオビの文言書いた人には申し訳ないんだが、「その言葉を千茅に対して言えるのか?」と勝手な怒りが沸いてきてしまう。いかにも柊部長なら言いそうなことではあるんだが、その言葉を隠れ蓑にして、救世群の権利を制限し続けた結果がどうなったかは、Ⅵ巻まで読み終えた人ならばご存知のことと思う(気になるなら読んでね)。

防疫それ自体が差別であるわけではないが、まずパンデミックという事態そのものが差別を引き起こしやすいものである上に、その言葉を隠れ蓑にして、差別が正当化されてしまう可能性があるのではないか、という危惧もあるだろう。だから、俺としては、このオビの言葉は好きではない。俺は出版関係者とかでは全然ないけど、適切かどうかというと、正直微妙だと思う。


読め!!!

以上だ。

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