【フースラーメソッド】クソ難解な「うたうこと」を、一度真剣に解読してみる_呼吸法(息を吐く方法その2)_Part2/?

どうも、筆者の賀茂茄子です。

本記事は記事全体で言うと、その3になります。

また前回記事の続きですので、まだ読んでいない方は以下リンクから先に読むことをお勧めします。

※前は言い切り口調でしたが、文章が硬くなってしまったので、この口調のまま書いていきます。


前回記事のおさらい

前回の記事では

●フースラーが述べる正しい呼吸を行う方法
●息を吐くことに注目すること
●人体の反射を利用した呼吸を行う事

などを書きました。そして最後に

吐かれた息は「声帯を動かし」たり、「声帯を動かす筋肉の働きを助け」たり、「振動を増やし」たり、それらの「弾力性を増やし」たり

しない

という主張で終わったかと思います。ではまず、この主張を解読していきます。

その1.4)実際に声を出すとき、息を原動力としてはいけない_その2

発声を学ぶ中で「支え」という言葉を、誰しも聞いたことがあると思います。そして「支え」は「息を操作することによって獲得される」とされてきました。

私の経験では、お腹にいっぱいの息を入れて、勢いよく出せば大きな声になると、学校の先生から教わったものです。


だがフースラーはこれを真っ向から否定します

フースラーは以下のように考えています。

声帯を活発に働かせる事ができる事=支えができている

それを実現するにはするには、

「のど」と「呼吸器官(息を吐く筋肉群などを含む)」が"瞬時"に動き出し、協調することによって実現する。

と述べています。

もっと簡単に言うと、「息は必要最小限あればOK。それと喉周辺の筋肉が上手く動きさえすれば、正しい発声(良い響きなど)が実現される」と言っているわけですね。※のどの筋肉の正しい動かし方については、次の記事で述べます。



また以下のような事柄も述べています。

声の支え(のどと呼吸器官との協調)がしっかりできない時、「吸った空気を柱のように」使って間に合わせようとする。


簡単に言うと、のどと呼吸器官が未熟だと、他の要素を用いて補おうとしてしまうんですね。

ではここで一般的な「声の支え」を考えてみます。私がyoutubeやボイストレーニングの本では、「吸い込んだ空気を体内で保つ」のようなニュアンスの解説を、少なくない回数見かけたこがあります。

この吸った空気を体内で留めようとしたとき、「のどや胸」の付近に「圧縮された空気が作り出す緊張感」が生まれ、のどに明らかな抵抗感を生みます。

これを支えと勘違いするケースが非常に多いんですね

吸った空気を圧縮して、その圧力で喉を支えることは本当に行ってはいけない行為です。なぜならこの行為を行うと、発声に必要な筋肉以外の部位も動いてしまい、それらが正しい発声を妨げるからです。

発声において、必要のない筋肉を無理に動かしてしまうと、人間が本来持つ柔軟性などが失われてしまいます。

具体的には、「息の圧力に負けないように、喉頭は必然的に緊張して硬直」したり「弾力のない、緩んでしまりのない」声になってしまったりします。

参考:読解本 P.230など


まとめると以下のようになります。

●息の支えを作ろうとして、「吸う息」を溜め、喉を圧迫し、その感覚を支えと取り扱ってはいけない

●声の支えとは、声帯やその周辺の空間などを調整する「懸垂機構」が担う※喉全体にある筋肉を自由に操ることで、自分が発したい声を自在に操ることができる、と本ブログ管理人は理解している。

●声を発する時は、必要最低限の息を吐くだけで充分である。


ちなみにネットを探すと、声帯は空気によって振動するという解説が多数確認できます。だが解読本によれば、それはいまだに決着がついていない事柄だそうです。

まあ結果がどうであれ、空気をいっぱい出せば大きい声が出るや、高い声が出る、のような考えは間違いだと管理人は考える。それを実践して歌が上手くなったことは、少なくとも管理人はありません。


その2.1)間違った「支え」その1 "側腹固定"

ここからは、従来良く言われている誤った支え(呼吸法も含む)を解説していく。まずは側腹固定。

こちらは以下のようになります。

「息を吸いながら、肋骨の下と脇腹あたりを外側に開いて停め、その形を保ち続ける」

まあお腹の横をずっと膨らませ続けながら歌う、という方法とも言えるでしょう。

そもそも呼吸器官を人体の法則に逆らって扱うことは、他の器官(歌うための部位)に悪影響が必ず出ます。

今回のケースで言うと、側腹の固定は「反射的」に「のどの内部に影響を与える」ので、厚ぼったい声しか出なくなってしまいます

j-popやj-ロックを歌う時には当然合わない声質になってしまうし、あなたが仮にオペラ歌手を目指すとしても、この方法を取らない方が良いと思われます。オペラ=厚ぼったい声で歌うという理解は、いくら何でも横暴すぎるとは思いませんか?

というかオペラ歌手こそ、自由でどこまでも飛んでいくような声を育てていく必要があると思います。それっぽい発声をまねても意味がないと思います。

参照:読解本P237~P238


その2.2)間違った「支え」その2 "横隔膜の持続的収縮"

タイトルがわかりにくいので、もうちょっと簡単に表すと、下のようになります。

「息を吸った後、お腹の形を変えないようにする支え方」


ではこの方法の何が悪いかと言うと、
●人体の特性から、自動的に声門が常に開いた状態になるため、息が常に漏れだそうとしてしまう。※これを抑えるため、横隔膜を収縮させるようにする。そのため無駄な力が入りやすい
●結果として、のどっぽい、うつろな声質になってしまう。

以上のようになります。

結局のところ、空気を溜めて筋肉で支えている感覚を支え、として認識してしまっているため、このような現象になってしまうんですね。これが良いわけないです。


その2.3)間違った「支え」その3 "横隔膜圧迫"

こちらもこのままだとワケがわからなので、解説を行います

こちら胸に空気を溜め、下方向に押し込み、横隔膜を意識的に下に押し下げる方法で、当然誤った支え方になります。

ですが息を下に押し込む感覚を、支えとして誤って認識してしまう人が多いのんですね。

この支えを行うと、「横隔膜が硬く」なり、それに伴って「喉頭を意識的に硬直」させることになってしまいます。

横隔膜とのどが互いに協力して初めて、正しい発声になります。どちらか片方が強くでも、協調性が欠ければ良い歌唱は不可能です。

参照:読解本P240~P242

その2.4)間違った「支え」その4 "強制深呼吸"

こちら低音域の発声を必要とする、いわゆる「バス」の歌唱者に多い、誤った方法になります。こちら個人的な意見だが、この方法を取っている人は多いんじゃないでしょうか。

この誤ったやり方は、胃のあたりのお腹で行う深呼吸となります。もっと具体的に言うと、「肩や胸を固定」し、「腹部を強制的」に「下の方まで緩めるようにして息」を吸い入れて歌う方法となる。

この方法を取ると、「呼吸筋(と補助呼吸筋)」は弛緩し、全ての喉頭筋(のどの周りにある、声帯や共鳴腔をコントロールする筋肉)が、つられて弛緩します。

前回の記事で述べたように、背筋を伸ばすと反射的にお腹の筋肉が収縮し、息が吐きだされます。よってこの誤った方式を取ると、息の吐き出しがしっかりできなくなると考えられます。

またのどの筋肉全てが弛緩する、ということは、例えば声帯を閉じる動きが失われるとも取れます。結果芯のない発声をはじめ、不自然な発声になってしまうでしょう。

P243~P244を参照

その2.5)間違った「支え」その5 "鬱積法"

本方法は、今まで上げてきた中で最も危険性が高い方法と言って良いでしょう。なぜなら本方法で上手くいく人が極々わずかに存在してしまったせいで、あたかもこの方法が素晴らしいと考えられてしまったせいです。

この誤った方法は「発声の前も発声している時」も、「のどの下に息を堰き止め」し、それを「声帯に向けて押し付ける」方法です。

本方法はその2.5で述べた強制深呼吸と180°逆で、お腹周りの筋肉も、横隔膜も決して緩まらず、硬くなってしまいます。普通であればのどの周りの筋肉が締め付けられたままになるので、のびやかな発声などは不可になってしまうでしょう。

だが先にも述べたように、この方法で上手くいく人も、極々わずかに存在します。※呼吸器官と喉頭器官(のどにある、声帯などを動かす筋肉など)が上手く協力し、とても魅力的な声になることがあるらしいです。

それがなぜ起きるかと言うと、以下の順のようになります。
・喉に息を溜める
・息を溜めると、それに負けじと喉(特に声帯)に力がかかる。
・その結果、息と喉の間で「力比べ」が起きる。
・一般的な人はこの「力比べ」により、喉の周りの筋肉などが機能不全に陥る。が、伸展筋(声帯を引き延ばす筋肉)の力が強く、そのコントロールにたまたま成功した人は、「収縮と伸展のちょうどよいバランス」を見つけることができる。

ということらしいです。

とはいけこの方法はお勧めしません。0.1%しかあたりのないガチャを引きに行くよりも、99.9%の人が上手くいく方法(本ブログその2を参照)を取った方が賢明だと思いませんか?

その2.6)間違った「支え」その5 "圧迫"

ここに書く方法は、世間一般的に言う圧迫した呼吸法すべてに適応されます。まあ行ってしまえば、自然法則に反した呼吸法、および支えの全てをを否定しているわけですね。

これは無意識に行っている方式にも当てはまります。息は自然に(どこかに溜まったり、引っかかったりすること無く)吐き出されなければいけません。

そうでなければ、ただただ大きい音が出てしまったりするでしょう。声は大きさも重要だが、それ以上に音質が良くなければ正しい発声とは言えないです。



p244~p245を参照

終わりに

以上で呼吸に関する記述は一旦終了するが、読解本にはもっともっと詳細な記述が含まれているので、特に論文を読むことに自身がある人は、読解本の購入をお勧めします。

後このシリーズなんですが、一旦納得のいくところまで書ききってしまいます。後々わかりやすく編集して、完成版になればいいな・・・。

以上です。

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