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[その6]UA重松名誉会長に2年たって納められない話➞要望された生地を試しに作ってみる

過去2回にわたり、本当は私たちが伝えたいことを、タイトルから少し逸脱して、書いてきました。

五泉のシルクを知って頂きたいがために、ユナイテッドアローズ名誉会長の重松さんの名前をタイトルに使わせてもらうという、なりふり構わぬ行為。笑

ちょっとタイトルに沿った話に戻したいと思います。

2016年5月25日~2016年11月30日

この期間が、初めてお会いしてから、2回目にお会いするまでの期間です。

この間何をしていたか、文章に説明すると分かりづらいので、私の手書きをスキャンしたものをのせておきます。簡単にいうと、要望の生地の試織(ししょく)を社長、工場の職人さんとしていました。

※ちなみに・・・文を書いている私は、工場にはほぼ入っておらず、窓口がかり。生地設計や織るのは、兄である社長と工場の職人さんです。あたかも、私が織っているように思われると困るので。

カットラインを3つ入れることができるのか?簡単そうに見えますが、今まで衿はこんな風に織っていました。これを3つにできるのか、そもそもこれは昔からこうしていたけど何にために?ということを問いただしてみました。


2016年10月20日に試織(ししょく)した生地を送る

時間がかかりながらも、ようやく試しに織った生地ができました。

さっそく、重松さんへ送ります。そうしたら、メールで質問をいただきました。それから少しやり取り続きます、以下。

試織有難うございました。
最長の生地幅は70cmから90cm程度までは可能でしょうか?
UA 重松
最長の生地幅ですが、
75cmまでは織ることができます。
僧侶の袈裟の織り機のため、通常時は64cmで織っております。
織り機の限界まで幅をだした試験をして75cmという実績があります。
横野弘征
1色の染ロットは何mでしょうか?
UA 重松
1色の染の場合、24m(1反)からです。
(法衣の反物が1反で24mのため)
横野弘征
染は草木染等は対応難しいでしょうか?
難しい場合は白生地で仕入させて頂く対応でも
可能でしょうか?

UA 重松


前の回に、新しい絽と紗は白生地では売らない!ときめた私たち。でもここで白生地で販売してもらえるのかと質問がくる。

例えば、メーカーや生地問屋から生地を仕入れたい、と言われた場合、どここの産地か分からなかったり、セールされたりとかでからイヤなんです。

重松さんのような超VIPな方や、ラグジュアリーブランドから仕入れたいと言われたらどうしよう?

結論からすると、ケースバイケースで考えよう、ということでした。笑

でも、どんな相手であろうと私たちのポリシーはまげちゃあかん!とメールしました。

草木染は反物での実績はありません。
ストールとしてシルク糸で縫製後、
新潟県内の草木染作家さんで染めたことはあります。
白生地での納入は可能です。
重松さまにこうお願いするのも非常に恐縮なのですが、
私たちは新潟県五泉市の和装白生地産地
継続・発展のために取り組んでおります。
現状、新潟県内において五泉はニット生産地
というようにしか見られておらず、
絹織物を知っている方はほんのわずかです。
これからの後継者育成を考えた時に、
何か(世界に)誇れるモノをつくらなければならないと
ファッション業界への挑戦や新しい生地開発に取り組んでいます。
そのような背景もあり、納入時の条件として、
五泉の絽である、ということを消費者の方に
お伝え頂ける方にしかお納めしておりません。
その点だけご理解頂ければと思います。
横野弘征
五泉の絽はもちろんです。
先日お伝えしていなかったと思いますが、
今、私が取り組んでいる小売店は、原料と縫製は日本製縛り、
そして作り手を前に出した表現で店頭に品揃えしています。
仕入は有)オスカー、店名は「順理庵」、銀座の路面と六本木ヒルズの
ユナイテッドアローズのインショップの2店舗のみの展開になります。
希望の商品は75cm Ⅹ 180cmの絽のストールです。
ご検討下さい。
UA 重松

めちゃくちゃ安堵

よかったぁ~~。別に命とられるわけでもなんでもないのに、なんだかせっかく頂いているお話を蹴ってしまうのではと、ドキドキしていました。言ってよかった~。
で、ここで重要なことが、

やりったかったのは、これか!希望の商品は75cm Ⅹ 180cmの絽のストールです。

ばかばかしいと思う人もいるかもしれませんが、私のように平民が重松さんのような方とやり取りしていることは、常にプレッシャーを感じながらやっています。「この生地何につかうんですか?」とか「どういうのがほしいのですか?」なんて簡単に聞けなくて。というより最短コース目指すより、まずは一つ一つ出されたことに解をだしていく方が勉強になるのかと思っていました。

ここから、はやかった。

11月7日にこのメール。展示会は11月末。社長に相談したら「間に合う。絶対やるぞ!!!!」という感じで(いや、もう少しテンション低いか・・)言ってくれたので、次のように返信しました。

希望する生地は、まず試作してみたいと思います。
今月29日、30日のPremiumTextileJapanに間に合うよう
今から設計し、織ってみたいと思っています。
もしお時間ございましたら、その場で見て頂ければと思います。
ご都合つかない場合はお送りさせて頂きます。
なお、1点訂正です。
生地幅ですが、72~73cmになる可能性が高いです。
その生地は濡らした緯(よこ)糸で織る
「濡れ緯(ぬれよこ)」という五泉の伝統技法を用います。
その為、生地幅は多少つまりやすく75cmまでは難しいです。
恐れ入りますがご了承いただけますようお願い致します。
横野弘征

おいおい、見に来てもらうのか。

これは後から思ったのですが、展示会場に他の人と同様に見に来てください!って。。。重松さんのような方にそんな乱暴な誘い方があるか。。。汗
でも、その時は最短スケジュールのことしか考えておらず、自分たちにはいろんな生地があるので、せっかくならそれを見てもらいたいと思いが強かったのです。
まぁ変に気使うより、地方の工場らしくてよかったのかも、ということで。


続く。

絽紗(ROSHA) 私たちのシルクストールのブランド

(是非しって、眺めて、買って、肌触りまで確かめてくださいね!笑)


私たちの工場・・・横正機業場(よこしょうきぎょうじょう)


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