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『図解 遠野物語の世界』

「遠野物語」を読んだ怖さと違和感が消えない。図解〜の写真がどんなに美しくても、綺麗事ではない民話、その底辺を流れているであろう子殺し、姥捨、気に入らない嫁や婿殺し…様々な話の断片が頭から離れない。ほんの数百年前に起きていた実話。遠野だけではなく、各地で起きていたであろう…考えると現代に生まれて良かった。
「遠野物語」は不思議な伝承を集めたのかもしれないが、貧しさ、飢え、戦乱、残酷性、理不尽、暴力、拉致監禁、男尊女卑…今でも世界の至るところでまだある問題のるつぼ。閉塞感と絶望的な情報量のなさ。田園風景、民話、良いですねなんて到底言えない。
怪談にする?弱者への鎮魂歌にする?それも違和感がある。

もう戻らない方が良い。しかし忘れてはいけない。同じ轍を踏まないために。そんな警鐘なのか?桃源郷ではない、それでも捨て去れない民族の歴史。

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