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歌を諦めた話。

私はずっと、「私は歌を仕事にしたいんだ」と思ってた。

小さい頃から歌うのが大好きで。
暇さえあればずっと歌ってた。

歌手になりたい、と思ってた。
思ってただけだったけど。

歌は、下手ではないと思う。
声質はそんなによくないかもしれない。

父は地域の合唱団に所属してたけど、母は音痴だった。
その2人ともの遺伝子があるな、という感じ。
音を取るのは下手だった。音感がないというか。

覚えれば歌えたから、それでも歌ってた。



高校の時、ipodを買ってもらってから。
少しでも移動時間があれば音楽を聴いてた。

歩く時、自転車に乗る時、電車に乗る時。

音楽を聴いてないと耐えられなかった。
音楽がないと生きていけないと思ってた。

シャワーを浴びながら熱唱して、いつ苦情が来るんだろうなと思ったりしてた。(まだ苦情が来たことはない)


そうやってずっといたのに、気づいたら、音楽を流さなくても大丈夫になってた。
家で1人でいる時。お出かけする時。

気づいたら。
何も聴いてなくても平気になった。

前よりも歌わなくなった。
シャワー浴びてても、家事をしてても、確実に歌うことが減っていった。


そんな時にふと、オーディションを見つけた。
「どこにも所属していない、28歳以下の女性」
が条件だった。

27になるところだった私は、「これだ」と思った。
「これが最後だ」って。

合格すれば、すでにあるグループに加入することになる。

これはずっと私が夢見てたことだから。やらなきゃ。


課題曲の練習はした。一次くらいは受かったら嬉しいな、と思ってた。


なんとか課題曲と自由曲を録音して、応募した。
結果は、一次も通過できなかった。


なんでだろう、とは全く思わなかった。

準備段階からずっと、熱意の低さを感じてた。
もし本当に受かったら?きっと忙しくなる。
私はそれを本当に望んでる?ハンドメイドもできなくなるかもしれない。

全然、イメージできなかった。
だから多分、「一次くらい受かったらいいな」って思ってた。

自由曲なんて、カラオケで録音したのをそのまま提出した。

応募しながら多分、諦めてた。

応援してくれていた夫は、不合格を聞いてすごく悲しそうにしてたけど、私には相応だなと思った。


カラオケ音源と、私の歌を夫がミックスしてくれたものを、提出前に聴きながら私が思ってたのは、「これが限界だな」ってことだった。

これが限界。
夫は褒めてくれたけど、私には到底、受かるように思えなかった。
こんな歌で、もっとよくしよう、っていう熱意もない私が受かる訳が無い。


それでも応募したのは。

やっぱりこれが最後だと思ったから。
チャンスはあったし、それに手を伸ばしはした。

私は、今の私ができることをやりはした。
でも限界と、自分の熱意の低さを自覚した。

その、自覚のため。
そうして、もう終わってもいいと思えるため。


小さい頃から抱きつつも、たいして行動もしてこなかった今までよりは。
最後に、冷めながらでも足掻いた、ちゃんと私は行動した、って思うため。


あんなに大好きだったものが、いつの間にか、自分の中で冷めていたように思えるけど、音楽は相変わらず大好きだし、MSSPもSound HorizonもVersaillesも追いかけてくつもり。

ただ、他にも大好きなものが増えただけ。
ハンドメイド、友達とのゲーム、彼との時間。

ひとりだった私には音楽しかなかったけど、今はたくさんあるから。

だから多分、もう、終わっていい。一旦ね。


これからはたくさんある大好きなものの中のひとつとして、好きな時に好きなだけ、歌ってこ。


よく頑張った。お疲れ様。

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