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本読みの記録(2017)

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ブックレビューなど書物に関するテキストを収録しています。対象は2017年刊行の書籍。
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#井手英策

日本人は何を得て、何を失ったのか〜『明治維新150年を考える』

◆一色清、姜尚中他著『明治維新150年を考える 「本と新聞の大学」講義録』 出版社:集英社 発売時期:2017年11月 朝日新聞社と集英社による連続講座シリーズ「本と新聞の大学」。本書は第5期の講義を書籍化したものです。講師陣は、民俗学の赤坂憲雄、憲法学の石川健治、財政社会学の井手英策、ノンフィクション作家の澤地久枝、小説家の高橋源一郎、映画監督の行定勲。モデレーターはいつものとおり一色清と姜尚中。 2018年は明治維新から150年にあたります。この歴史上の画期に様々な観

誰もが受益者になる〜『財政から読みとく日本社会』

◆井手英策著『財政から読みとく日本社会 ──君たちの未来のために』 出版社:岩波書店 発売時期:2017年3月 若年層向けの岩波ジュニア新書のなかの一冊。著者の井手英策は財政社会学の研究者です。標題どおり財政から日本社会の構造を分析し、これからの社会のあり方を探究する入門書です。 日本社会を財政の観点からみると、どのような特色をもっているでしょうか。小さな政府。福祉国家をささえてきた女性への負担。公共事業に依存した財政。……などなど諸外国と比較した場合にいくつかの特徴を見