アイロニーからユーモアへ〜『勉強の哲学』
◆千葉雅也著『勉強の哲学 来たるべきバカのために』
出版社:文藝春秋
発売時期:2017年4月
勉強しない者たちが実社会でたくましく生きていく姿にエールをおくる言葉は巷にあふれています。学生時代はロクに勉強もせずに遊び呆けていたと露悪的に懐古するインテリも珍しくありません。それらはいずれもアンチ勉強言説の紋切型といえるでしょう。その裏返しとして、安易な自己啓発本は量産されてはいるものの、勉強することの気まずさやそこからじわじわと生まれる歓びに正面から原理的に言及した本はこれ