物語は「起」と「結」が大事。(シナリオ創作論#1)

「起承転結」という言葉がある。

事件が「起きて」、それを「承けて」話が進み、
事態が「転回して」、最終的な「結果」に辿りつく。

より重要なのは「起」と「結」だと私は考える。

なぜなら「ことの始まり」が「どうなったのか?」だけでも、
物語の説明ができてしまうからだ。

つまり、物語の骨子部分は「起」と「結」にある。

「承」と「転」は、より話に説得力を持たせ、より面白くするための
「肉付け部分」なのだと考えている。


「起」と「結」がどのように重要なのか?

「起」から「結」には必ず変化がある。

「ことの始まり」が「どうにかなった」のだ。
「起」で発生した事態は「結」でなにかしらの決着を迎えている。

・「桃から生まれた太郎」が「鬼を退治した」など。
・「孤独な新宿の種馬」が「最愛の相手を見つけて結婚する」など。

こういう具体的な事象だけに限らず、もっと抽象的な変化でもよい。

・「満たされない青春時代」に「情熱を注げるものが見つかった」など。
・「生きる意味のわからなかった者」が「生きる意味を見つけた」など。

その内容は物語により千差万別であるけれど。
「起」から「結」に辿りついた場合、そこには必ず変化が生じる。

「起」の状態と、なにも変らずに最後を迎えることはないだろう。
(あえて「起」と同じ状況に帰結させるオチの場合でも、そこには、なにか比較させて変化しているものが存在するはずである)

そこに生じる「変化」こそが「物語」で一番重要な部分だと私は考える。


「起」と「結」の変化は明確にしよう。

前述のとおり、一番大事なのは物語を通して生じる「変化」の部分だ。
その変化を、読者により強調するためには結末で「比較」しよう。

「冒頭」と、「結末」では似たようなシチュエーションを作るのだ。
そのうえで「冒頭」とは変化した部分を描き、明確にしよう。

それは、「主人公の成長部分」や、「手にした大事な存在」であったり、
「訪れた平和」などの象徴的なものでも構わない。

物語冒頭では無かったけど、結末では手にしたもの。
また、冒頭ではあったけれど、結末では失ってしまったもの。

これらの変化が「結末」でより明確になるように「冒頭」を構成するのだ。
「冒頭」が決まれば「結末の形」もまた、自ずと定まるだろう。

それくらい「起」と「結」は綿密な関係にあると私は考えている。


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