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「在宅ワーク、どうしてる?」ワークライフバランスの行方

みなさま、在宅ワークどうしてますか?今回は、withコロナ時代「働く」が住まいと暮らしにどのような変化をもたらしたのかにスポットを当てていきたいと思います。「働く」と「暮らす」の狭間でいま生活者が直面している現実と課題、そして、新しいワークライフバランスとは?

私たちRoomClipは、生活者のみなさまの写真の投稿を中心として、住まいや暮らしの話題を提供するソーシャルプラットフォームです。ここに集まる情報を、生活者のみなさまだけではなく、ビジネスにおいても役立つようにできればということでマーケティングチームがお送りしているのが「ルームクリップラボ」。今回は2020年5月に実施されたライブ配信「在宅ワーク、どうしてる?」を文字起こしし、一部編集を加えたものをお届けします。

スピーカー
(左)ルームクリップ株式会社 セールスマーケティングチーム 竹内優
(右)ルームクリップ株式会社 セールスマーケティングチーム 水上淳史

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今日のテーマは「ワークスペース」

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【竹内】今日は以前からたくさんご要望を頂いていたテーマ「ワークスペース」です。配信はそれぞれの自宅から。こんな配信環境ですよという写真をご用意したのでご紹介します。淳史さんの自宅がスタジオみたいな環境になってるんですね。

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【水上】機材、増えてきましたね。YouTuberみたいですね。

【竹内】気持ちよく皆さんにライブをお届けするとなると機材関係だんだん充実しちゃいますね。僕もまさか家の環境がこんなことになるとはと思いながらやってます。

 今日のテーマは「ビフォー○○/アフター○○ 在宅ワークどうしてる?」、今までライブ配信やらせていただいた中で最もリクエストをいただいていたテーマでもあります。緊急事態宣言も一部の都道府県を残して解除(配信当時時点)されましたけれども、可能な限りは在宅ワークを進めるというところは間違いない状況ですし、それに適応する最適解っていうのがまだない状況と思っているというのが現状で、何かの示唆になればと思います。

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 在宅ワークとか在宅勤務、テレワーク、リモートワークとか色んな呼び方あるとは思うんですけども、総じておうちの中で働くというところの話題をお話ししていこうかなと。今回、話が2段になりますのでちょっと覚えておいてください。最初に1つのイベントの話をします。そしてそれ以外の部分、新しく見えてきているいわゆる「ビフォー○○/アフター○○」とキャッチしてる部分を共有して、在宅ワークすべての話ができるかなというところです。

投稿イベントからカジュアルレポート

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【竹内】まず2段あるうちの1段目のお話をします。「わが家のワークデスクまわり」という投稿イベントを2020年の4月1日から5月10日まで実施しました。いわゆる在宅ワークをされているデスクの様子をみんなで投稿し合おうという。これは現在の新型肺炎の影響に対して、皆さんデスク周りの構築って困ってるだろうとか、そういった情報をシェアし合うマインドって高まっていると思っていて、それに対応する形でイベントを設けたものです。

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 RoomClipは住まいや暮らしの様子を自由に写真をシェアしていただけるソーシャルメディアですが、特定のテーマを設けて投稿していただくイベントも催しており、それが投稿イベントです。我々これを生活者の皆さんにとって有用なリアルな情報とも考えておりまして、ルームクリップラボではこういったものを分析してお届けしています。

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 今回の投稿イベントの投稿写真枚数は752枚でした。ここからタグを全数見たり、無作為抽出した100枚の写真を実際私の目で写真そのものやその人のプロフィール、コメント、これまでの投稿などを追いかけながら分析させていただいています。

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 では投稿のご報告に入ります。「ワークスペース、どこにある?」場所のグラフになります。右半分、青・赤・黄色で塗っている部分を見ていただくと、専用スペースだったり個室、もしくは一人暮らしの方なんですね。1つの特定のお仕事をする場所を持たれている方っていう人が半分ほどでした。逆に1/4程度の皆さんが、ダイニングとかリビングとか従来は他の目的で使用される場所にコーナーを設けているんです。そして用途に関しては、専用スペースを持たれている方が90%以上。ダイニングだったり兼用になっているのは10%に満たないぐらいの方でした。どういうことかというと、主だった投稿は、専用スペースとか個室とかをお持ちの方からだったと。

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 こちらをご覧ください。専用スペースとか個室を持ってる方って、自分なりのこだわりとか工夫がすでに存在する空間なんですよね。例えば一番左の写真だと、ダイニングの隣にこういったワークスペースを設けていると。ここに長いカウンターを設けて後ろに本棚を作って、何でも手に届く状況が非常にお仕事もはかどりますとおっしゃっている。真ん中の方は専用の個室ですけれども、画用紙収納、ミシン収納考え中と書いてあります。この方は保育士さんなんで、パソコン業務だけじゃなく作品作りのような作業もたくさんあって、そのためにこういった広いスペースをとってますと。他のコメントでは、正面の壁にマグネットがくっつくようになってると、そういった工夫をお仕事を効率化するためにやっていますとおっしゃってる。一番右はSOHOの方だと定番に見えるお部屋かもしれないですが、毎日仕事で使っているデスクですと。こういった方がお仕事しながらデスク周りの壁では家族とかプライベートの物を配置して日常過ごしてますとおっしゃってるんですね。専用スペースを持たれている方って割とすでに自分なりの工夫がインプットされた状態が構築できていて、それを皆さん話題として提供いただいているというイメージでした。

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 そして、こんな形でデスク周りのみをシェアされる方も多くいらっしゃいました。例えば一番左の方、夫の机と背中合わせに位置してますということで、日頃お二人でお仕事をされているそう。こちらリビングにこういったコーナーをそれぞれ設けられていて、デスクライトが非常に象徴的な存在感を出してます。ノートパソコンも重厚なパソコンスタンドに乗ってたりとか、仕事への適用というところも非常によくわかる例ですね。真ん中はミニマムな書斎を2畳持っていますという方ですね。ここで趣味にも没頭されているともおっしゃっていて。一番右手になりますと、趣味とかいろんなものが集まっているような空間に見えますけれども。机から天井にツーバイフォー材でDIYで棚を作ってますと、収納の工夫についておっしゃっていて。右手には某ロボットアニメかな?そういった物が好きであることを発信、表明する目的のような空間にもなっている。こういうお気に入りの趣味の空間、自分のお気に入りの場所としてのワークスペースといったことも、今回のイベントでは見られました。

ホビー目的が含まれていた従来のデスク周り

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【竹内】従来のデスク周りって、ある意味ホビーみたいな目的だったのかなという話をしていこうかと。ワークスペースの100枚の写真の中に何が映ってたんだろうと、そのアイテムも見て数えました。ノートPCは基本的にセットされているので除いているんですけれども、例えばマウス、プリンター、キーボード、ディスプレイとか、いわゆるPC作業周りに必要な機器。で、そこにプラスアルファ、デスクライトが設置されている。これは皆さん想像できると思うんです。でも、真ん中のほうに赤く囲った場所、例えばミシンとか。

【水上】ミシン?

【竹内】テーマが「ワークスペース」なので、僕もえ?ミシン?って思ったんですよ。それと同時に、なるほどという直感もあったんですね。先ほどちょっと申し上げましたけれども、従来自宅のワークスペースというのは趣味とか手作りのスペース、そういう作業スペースという意味で要されていたっていう面もあったという。そこで登場するのがミシンといったアイテムなんですね。従来のSOHOのイメージだとちょっと出てこないものですね。 

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 例えば左だと和室の一角にワークスペース持ってますってことで、ミシンとかソーイングセットとかアイロンとかっていうのが揃っている奥様のスペースだったりとか。服作りがお仕事なのではなく、服を作るのが好きでこういったお部屋を持ってる。真ん中の写真の方はトルソーまでおうちに迎えられて服作りをしています。もちろんミシンだけじゃなくて、右の写真、男性がガレージをご自分のワークデスクだということで投稿されているんですが、DIYのいわゆる丸ノコのテーブルですね。その周りには色んなガレージ用の道具が入ってるんです。そんな形で作業場というもっと大きな定義でのワークスペースと捉えられて投稿されている方もいらっしゃった。どういうことかって言うと、従来ワークスペースというのは仕事をするっていう以外のノウハウも詰まっている空間であったということですね。

 実際に投稿した方にワークスペースが元々あったかどうかを調べてみました。すると既設の方が8割で、新しくワークスペースを設けた方はおよそ2割だったんです。このイベントにおいては、元々ワークスペースがあって、最適化した人たちがノウハウを共有していて、新しく今ワークスペースが必要になった方々の投稿はそこまで多くなかった。これはRoomClipに限らず、一般的な状況も外部のアンケート結果などから明らかです。

【水上】なるほど。今回のコロナのタイミングで在宅ワークが必要になった人は、「ワークスペース」という投稿イベントに写真を投稿できるほどの意識がある仕事場がまだできていないと。そりゃそうだ。

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ビフォーコロナの在宅ワークのプレーヤーとは?

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【竹内】つまり見えたのは、今回の投稿イベントはビフォーコロナの在宅ワークスペースのノウハウがわかりやすくたくさん吸収できるイベントだったということです。在宅ワークスペースはビフォーコロナの時にどういったプレーヤーがいたんだろうっていうのを振り返ってみると、いわゆるSOHOとかネイティブにいつも在宅で仕事をしているワーカーさん。一方では、趣味に積極的なママさんだったりとか、一人暮らしの男性。そういった方の作業スペースへのこだわりみたいなところも積極的にシェアされていて、従来在宅ワークスペースというのはそういったプレーヤーによって最適化された空間だったというところが非常によくわかったイベントだった。

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【水上】ちょっと考えてみるとそうですよね。日本の住宅だと家族で暮らしの場合、1人1部屋ずつ持ってるかって結構微妙ですよね。そうなると、各人の趣味のスペースってそういうワークスペースと一体化していくというか、パパママの机がその人の趣味兼自分のスペースみたいな使われ方が現れてたんですね。

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【竹内】実はタグのランキングも見てもらうと非常に顕著かなと思うんです。これは全投稿のタグのトップ25になりますけど、今回のイベントだともちろん机がロケーションとしてトップにあるんですが、その下を見ていくとIKEAさんとか無印良品さん、ニトリさんのようなインテリアのブランドさん。もしくはDIYとかを構築するためのキーワード、それ以外にもナチュラルとかホワイトインテリアとか北欧とか。いわゆるインテリアのスタイルが上位にたくさん並んでいたんですけど、1個だけこの真ん中で赤く四角く囲っているテレワークっていうのが、実はやっぱりあったんですね。在宅ワークスペースをシェアされる中でテレワークっていうタグをつけて投稿されている方々、これくらいの割合だったんです。

 どういった状況だったかというと、こんな感じの投稿です。左は初めてのテレワークってことで、100均で売ってるプラスチックのブロックだと思うんですけれども、それをお気に入りの机に乗せてテレワーク始まりましたっておっしゃってる方とか。真ん中の方はホワイトインテリアで非常に整ったお住まいだと思うんですけど。そこにキャンプテーブルを立てて、夫が突然テレワークになったので構築しました、と。一番右は実際お仕事をされている様子になりますけれども、在宅ワーク中の主人のデスクはダイニングテーブルですということをおっしゃっていて。コメントを見ると、テレワークってのが入ってきて戸惑いながら、皆さん在宅ワークスペースを苦慮されてる状況が見える。ワークスペースの回答がまだないテレワーカー層の方々っていうのが今出現してきているという状況なんですね。

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【水上】そうか。2020年4月1日からの投稿キャンペーンだったから、まだ今まさに作り始めてるみたいなところなんですね。

【竹内】そうですね。なので、在宅ワークスペースに関してリクエストをくださった方々っていうのは、今始まった変化っていうところをもっと捉えたいんではないかっていうのは、我々もちろん感じていたわけですね。

テレワークはいつから?

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【竹内】というわけで、最初にお話しした2段あるうちの1段目終わって2段目に移ります。ここからお話ししたいのはテレワーク。ちなみにテレワーク、在宅ワーク、在宅勤務、リモートワークがキーワードとして思いつくトップ4だとは思うんですけど、テレワークがいまグーグルトレンドのグラフで一番です。一般的な在宅ワークの概念として、テレワークが突如もり上がった概念として入ってきた。

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 RoomClipでももちろんそういう状況なんです。テレワークというタグを調べると2018年には数枚ほどの投稿でした。それが2019年には2倍になり、2020年には今7,500%、つまり投稿数が75倍ぐらい増えていて、テレワークの実例サンプルがようやくRoomClipの中に溜まりつつある。今はテレワークのタグ写真はかなりの数がございますので、テレワークタグを2段目として見させていただきました。こちらも被写体、コメントというのを無作為にそのタグ投稿の中から100枚分析させていただいて、実際どうだったんだろうというところをここからお話させていただきます。

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突然のテレワーク、そのとき選んだ場所は…

【竹内】テレワークというタグ投稿の中で、元々皆さんスペースを持っていたのか。先ほどのイベント投稿では新設された方は2割程度だったんですけど、テレワークという投稿タグをたどると2.5倍ですね。初めて今回テレワークのスペースを設けましたという方が半数を超えるという状況。つまり今テレワークというタグを探ってみれば、突如もり上がった在宅ワークスペースの状況も見えるんではないか。じゃあ再度テレワークスペースがどこにあるのかというところを見直してみましょう。

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 となると、このグラフの通りなんですね。一番多いところを占めている青と赤の所、リビングとダイニングが40%を超える。そして黄色の特定不能っていうのも、そういったスペースの中での写真ももちろんありました。その下に一人暮らしだったりとか個室、書斎とか、先ほどお話ししたようなそもそも専用のスペースが設けられるような場所で働かれてる方がありました。

 スペースの使い方も目視していくとどうだったかっていうと、ダイニングテーブルなどで仕事しているのを兼用と呼びますけれども、専用と兼用で、兼用が30%を超えてきて。もちろん今回のテレワークでリビングの一角に専用コーナーを設ける方もいらっしゃったんですけども、そうも出来なくて兼用で場所を作られている方もいらっしゃったっていうような状況で。先ほどの投稿イベントでは兼用が10%に満たなかったんですけれども、それが3倍4倍ほどの数字になってくる。兼用でなんとかテレワークスペースを苦慮しているような方々というところが今回見えました。

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【水上】そうなりますよね。こんな急ごしらえでね、なかなか専用のスペースってわけにはいかないんですよね。
【竹内】そうですね。家の中でお仕事をするっていう必要が元々あった方々にとっては、そういった空間の割り当てっていうのは元からあるとは思うんですけれども、なかった方々がどうしているのかみたいなのは今回テレワークのタグの中で見えてくるところですよね。サンプルを見てみると、お仕事が主にリビングとかダイニングの中にみんな割り込んでくる。これ想像つくと思うんですけど、一番左はダイニングテーブル。これインテリアは道具だけじゃなくて古い本とかまで小物として活用されているようなすごい演出されているお住まいなんですけども、その中にパソコンを広げてお仕事始めましたということであったり。真ん中はダイニングテーブルにサブディスプレイを持ってきて、従来のオフィス環境と同じぐらい快適にお仕事が出来るように構築されている例。ダイニングテーブルを半分ぐらい取っちゃってますけれども。こういうパターンも非常に多いです。セカンドモニターがあると作業効率が全然違いますということをおっしゃっているんですね。これRoomClipの中では今までなかなか出てこなかったコメントだなとも思います。

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 結構会社からディスプレイ持ち帰られてきたとか送りつけられたっていうような方もたくさんいらっしゃって、それをどう使うかというところは、こうやって今までのスペース占有しちゃうというものが多く見られたなと。一番右なんてコメント読み上げるとちょっと切ないんですけど、「会社からでっかいパソコンおうちに持ち込んでテレワーク始まってしまいました。。」って書かれてるんです。「。。」っていうのは、いわゆるローテーブルの上にテレビが見えなくなっちゃうくらいのサイズのパソコンがどーんってやってきていて。従来のインテリアのトーンとも違うなみたいな。

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【水上】異物感ありますよね、全体的に。
【竹内】とりあえずこんな状態で割り込ませて何とか仕事していくという状況なんですよね。また、専用コーナーを設けられた方っていうのも、やっぱり先ほどの投稿イベントで見た姿とはちょっと違うんですよね。例えば左の方はテレワーク部屋を完成させましたってことで、元々、窓側に何もなかったところにテーブルから壁周りとか棚とか、DIYですべて構築されているケース。真ん中と右はいわゆるキャンパーの方ですね。アウトドアグッズを持たれている方々は即席のテレワークスペースをキャンプ用のテーブルで用意してるんですね。真ん中は一人暮らしの方。右の方は子供部屋を占拠してこれ作りましたと。従来の自分が所有している空間の中から専用コーナーを捻出するみたいな動きは、特にDIYとかキャンパーさんはスピーディに適応していった。今回、急いで適応しなきゃいけないとか、戻すかもしれないという考えもあるところから、こういったアウトドアグッズの活用が非常に目立ってる。

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【水上】そうですよね。緊急事態宣言も1か月先まででしたもんね、最初は。そうなると1か月の在宅ワークそれ専用の設備って、やっぱりなかなか決心できないですよね。

【竹内】ダイニングテーブルで仕事してて、やっぱりワークチェアが欲しいと思われて購入される方ももちろんいらっしゃるんですけど。もし不要になってしまったらというのがあって手を出せないから別の方法で解決したい、でもまだ解決方法がないと悩まれてる方は、やっぱり声として見える状況ではありますね。

長期化により、即席から課題解消フェーズへ

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【竹内】アイテムについては何が映ってたか。先ほどのイベントではミシンみたいな趣味の物というのも入ってきたんですけど、テレワークになるとやっぱりちょっと事情背景が変わってくる。もちろん上位がパソコン周りってのは一切変わらないんですけれども。いわゆるリモート会議とか、スペースがそもそも狭小な場所だとか、そういう文脈で必要なもの、例えばリモート会議に必要なヘッドホン、イヤホンとかですね。書斎とかでは人によってはあんまり必要なかったものなんですけども、結局兼用のスペースだとある程度家の中でプライベートを確保しなきゃいけないから必要なものなのかなと。逆にイベントと比べて順位が下がったもので目立っているのはプリンター。従来SOHOでお仕事されていた方とはちょっとニーズが違うんですね。意外なところでは、デスクライトをダイニングにつけている方が結構多くいらっしゃった。やっぱり作業スペースには、僕が実感している以上にその必要性を強く感じられてるんですね。

 今テレワークのスペースにおいてはポジション変更ってのがものすごい起こっている。テレワークと従来の在宅ワークと重なる課題ももちろんあるんですけれども、それとは別の課題とも今戦っているという生活者の様子が散見されます。

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 テーマは大体3つなのかなとは思っていて。1つが子供ですね。左の例になりますけど、保育をしながらテレワークをしなきゃいけないのでリビングにパソコン机持ってきましたと。個室とか集中して仕事ができる場所を今まで持たれていた方だったとしても、今回、保育園や学校が休業になって子育てがそこに入ってきたことによって、場所の見直しが必要になったケースですね。

【水上】これ本当にそうですね。個室でやってても乱入してきますからね、子供は。

【竹内】次にスペースですね。そもそもワークスペースが確保できないので、この真ん中はクローゼットに収納できるワークスペースを作った人の例です。キャンプテーブルだったり折りたたみテーブルだったりそういうクローゼットの棚板を活用してしまえるワークスペース。でもサブディスプレイとかまで置かれて効率的な空間っていうのをものすごい省スペースに作られているんです。3つ目は健康の問題ですね。どういうことかというと、右の写真、座りっぱなしが腰にくるので昇降式のデスクを買って物置だった部屋に置きましたというすごいエクストリームな写真だと思うんですけど。ダイニングの椅子をここに持ってこられて、それとはちょっと似つかわしくないような昇降式のデスクをとりあえず真っ白のこの壁に置いてみたという。お住まいの他の空間を見るとこのダイニングチェアがマッチするような形で構築されているんですけど、そういった方ですら別の要因、もうそこを我慢しながらは続けられないというところをケアするために、こういった試行錯誤をされているような状況でもあるんですね。

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 つまりテレワークで在宅ワークのプレーヤーっていうのが一変したんですね。今何が起こっているかというと既存の空間、リビングやダイニングが主要な場所になるんですけれども、そこに兼用なり専用の一角をとりあえず導入して、今課題に直面して試行錯誤を必死でされていると。長期化によって課題の解消みたいところ、試行錯誤をしながらですけども今そういうフェーズに入ってきてますというのが現在の状況です。淳史さん何か課題対応しましたっていうことあります?

【水上】最初はリビングでやってたんですけど、やっぱり会議の時は個室じゃないとつらいなっていうところで、うちはそもそも間取り的に個室がほとんどないので、今もですが、どこでテレビ会議やライブ配信してるかというと、元々パントリーだったところなんです。元々棚だったところをデスクにしてしまって。ここをテレワーク専用部屋にすることに決意したのが、まさに先週末だったんですよ。

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【竹内】それは何でですか?

【水上】それまでは、一時的なものだろうという意識と、実際問題、簡単に専用スペースにあてられそうな部屋がなかったので。でも非常事態宣言が徐々に解除されているという状況もありながら、実際テレワークがすごく色んなところで行われたこの期間にかけて、こういう状況じゃなくなっても家で仕事をするっていうのは、ある種、不可逆でなくなんないんじゃないかなっていう実感が自分の中で確信に変わっていったんですよね。

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【竹内】不可逆っていう話があったんですけれども、一時的なものかというところから、こうやって長く在宅で仕事をするということによって、常にこの状況になりうるということを意識しながら働いていくということはしなきゃいけないんじゃないか、これを前提に家づくりは今後しなきゃいけないんじゃないかなっていうのは、やっぱり共通のマインドとしてセットされてるのかなと感じますね。

アフターコロナの在宅ワークスペース課題

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【竹内】今後何が起こるかということを残りの時間でちょっとお話したいと思うんですけど、つまりこの話かなと思ってるんですね。アフターコロナの在宅ワークスペース、これに対してどういったような変化が起こっていくか、またどういったような提案が刺さるものになっていくのだろうかなみたいなところを、最後にイメージをシェアしていきたいなって思っています。

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 やっぱりテーマとしてはこれなのかなと。今回1段目、2段目と話しましたけれども、1段目でご覧いただいたビフォーコロナからの既存の在宅ワーク層。こういった方々が具現化している既に最適化が進んだノウハウっていう部分と、それ以外で見えてきた課題に対するテレワーク層ならではの解決ノウハウ、試行錯誤で生まれてくるもしくは提示されるものがカギになってくるのではというところです。

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 例えば既存の在宅ワーク層の中で見えてるものって何だろうって例を1つ。こちらのグラフは1段目でお話しした投稿イベントからです。ワークスペースを誰が使っているかを見ました。もちろん1人で使ってる方っていうのが8割ぐらいなんですけど、残りの2割ぐらいが子供やパートナーと並んでお仕事されているとか、元々が子供のスペースであるとかそういった方なんですね。

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 写真ご覧いただきますと、例えばスタディスペースとワークスペースを一体にする。これは子どもの面倒を見ながらお互い集中できるような演出をするっていう意味で、非常に活躍できるんじゃないかなという例ですね。左の方は、これワークスペースも作ってるんですけども、スタディコーナーを普段子供たちが占領するぐらい集中して使われているんです。リビングの一角にこうやって家族でシェアできるようなスペースを新たに設けられている。右手も子供の個室ではなくて、いわゆる階段を登っていく中2階の部分ですね。家族並んで作業できるスペースを使って、ここでテレワークもするし、子供もここでお勉強したり、必要な時においては別の部屋に移ってもらうみたいなオペレーションができているというつくりですね。こんな形でその既存の在宅ワーク層の中でシェアできるノウハウっていうところは実は従来の在宅ワークだけじゃなくて、テレワーク層にとっても解決につながるアイデアになるんじゃないかなと。

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 もしくは在宅ではなくて新規のテレワーカー層ならではの例。例えば、フレキシブルなワークスペースというアイデアですね。専用のスペースを設けられないんだったら兼用での使い方を最適化しましょうみたいな。左右どちらも極端な例だとは思うんですけども。左はソファーで使えるパソコンのデスクっていうのをDIYしましたっていうもので、キャスターでパソコンを動かしてお仕事するときはサイドテーブルのように持ってきてお膝でお仕事できますと。右はいわゆる人をダメにする系と呼ばれるビーズクッションとお膝用のテーブルを活用されて、体に無理がない形でリラックスしながらお仕事できる空間、もしくは仕事が終わったらすぐリラックスタイムに移れてしまうような空間の使い方。こういった特徴的なノウハウが少しずつ提示されているような状況なんですね。

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 例えば新しく新築で作れるとなった時にはキッズスペースとワークスペースを一体化するような空間の使い方を視点に入れたりとか、解決が難しい暫定の状況だったりとか賃貸の状況においては、このような今までになかった提案が刺さってくる可能性が非常にあるなというところです。

【水上】家族でのシェアとスペースのフレキシビリティ。オフィスでもそうであるように、部屋の中で一箇所で集中して作業し続けるというのはリアリティがないのかなとも感じています。専用スペースでだけでなく、家族共有のワークスペース、あるいはダイニングやソファやベッドやテラスというように、生産性を維持するための在宅ノマドワーキング、というようなスタイルへの発展もあるかもですね。

新たなワークライフバランスへ

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【竹内】最後に、話は変わって。もう1つテレワークで起こっていた変化の話を。「テレワーク」タグなんだけど、仕事風景じゃない投稿がたくさんあったんですよ。実はテレワークタグの中でも10%を超えるぐらいはこういった投稿だったんです。お昼ご飯手抜きにしちゃった、みたいな左の投稿とか、真ん中は在宅ワーク時間長くなってきたのでデスクの上にローズマリー置いてみましたとか。一番右は、テレワークの背景になりそうと思って、壁に一輪挿し飾ってみましたと。直接お仕事をしている風景ではないんだけど、テレワークの中で暮らしているみたいなところをおっしゃっているような方々がたくさん見られました。これってつまり、いわゆる「仕事と暮らす」ということがテレワークの発生によって新しいライフスタイルの感覚として皆さんインプットされ始めてるんじゃないかなと。ただ働いてるんじゃなくて、テレワーク中の暮らしをどう楽しむかだったり、オンとオフをどう意識しながら暮らされているかというところですかね。

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 これね淳史さんと事前にその話をしていて、出てきた言葉でもあるんですけども。オンとオフをどうバランスをとるか、どういうふうに時間を使い分けるかってのが今までワークライフバランスといったものの議論だったと思うんですけれども、これからは暮らしと仕事、その両輪がこれいつも寄り添って、ミックスされた関係になるんじゃないか。こういったところがワークライフバランス2.0みたいな形で今後提示されていくのかなと。

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【水上】そうですよね。これまで仕事とプライベートってきっちり空間も時間も分かれてたのが、この外出できない、会社行けない状況で、空間をシェアするつまり家の中で両方やらなきゃいけないっていう状況になった。まさにワークライフバランスが、これまでは仕事orプライベートみたいな世界観だったのが、いかに時間だけでなく空間をシェアし合うという先に、相互に良い影響を与え合うようなシナジー、仕事×プライベートみたいなところに進んでいくのかな、というのは非常に感じますね。これまで料理や洗濯などの家事は面倒でしょうがなかったけど、在宅ワークになってからは仕事の合間にいい息抜きになる、みたいなところですね。

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【竹内】そういった暮らしの中で、例えば生活スキルが上がっている状況もあったりして、暮らしの楽しみ方みたいなところに意識がすごい傾いた方もたくさんいらっしゃった。例えばご飯を作ることに対してもっと楽しみ方っていうところが意識できるようになったとか、時間を使いたくなったとか。いわゆる住まいづくりだけじゃなく、ライフスタイルの衣食住のクロスオーバーというのも、やっぱりより意識されていくというところですね。

まとめ・Q&A・クロージング

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【竹内】最後まとめます。既存在宅ワークっていうのはSOHOとか主婦、一人暮らし、男性の方が中心にプレーヤーで動いていました。テレワークによって新規層が出てきて、今課題に直面している最中だと。で、これに対して従来層のノウハウを展開していくということ、既存のプレーヤーを知るということが、ビジネスの皆さんにとってはやっぱり必要だと思いますし、試行錯誤に対するサポートをどんどんすることは1つの答えなのかなとは思っています。そして、仕事と暮らすライフスタイルというマインドセットってのは今後必ず起こりうるかなとは思っていて、これに対してどういったようなメッセージングやコミュニケーションしていくかというのは、ブランドにおいても必要な課題になってくるんじゃないかなという印象を強く持った、今回の分析でした。

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 投稿イベント、こういった形で実施することができます。いわゆる協賛という形でスポンサードをいただく、投稿キャンペーン。色んな写真を集めたい、話題を盛り上げられないかななど、是非ご相談下さい。よろしくお願い致します。

【水上】よろしくお願いします。

【竹内】最後Q&A、クロージングで終わろうかと思うんですけど、何かチャットにご質問入ってますかね?

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【水上】2件ほどチャット入れていただいてますね。1つ目が都心マンションだとそんなにスペースあるかな?子供部屋もシェア、と書いてありますね。これ前半部分でのコメントいただいてるものかなと思いますが、やっぱり厳しいですよね。なかなか専用のスペースを都心マンションで作るのは。

【竹内】そうですね。お子さんと共用でいかに使うとかそういう視点に変わったりであるとか、もしくは先ほどクローゼットをテレワークスペースに変えている方がいらっしゃったと思うんですけど、そういった持ち物の最適化だったりとか、そういう話にもなってくるとは思うんですよね。そういったところが提示できると、テレワークに対するインプット、生活者さんに対する回答の1つになるのかなと思ったりします。

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【水上】もう1つコメントいただいています。多分背中側が壁になるようにワークスペースを作るといいなって思う、っていうコメントいただいてます。

【竹内】これはやっぱりテレワークにおける、いわゆるリモートの会議の話ですね。プライベートな空間が見えてしまうことに対する不安を持ってらっしゃる方、やっぱり多いですもんね。そことどう折り合っていくかってところも、やっぱり色んな提案が刺さっていく場所かなとは思いますね。逆にRoomClipのメンバーの中では部屋を見せていこうとも言ってるんですよ。Zoomとかでバーチャル背景で話題作りされるのと同じく、空間も、先ほど仕事と暮らすのところで見せた一輪挿し壁に飾ってみましたという方のような自分の好きなライフスタイルを配置していくという、自分のファッションに近いようにアイデンティティを持って折り合っていかれる方っていうのは、どんどん登場されるんじゃないかなとは思いますね。

【水上】まさに連続してるんですよね、暮らしと仕事がそのままね。空間にどう落とし込んでいくかみたいなところがまさに色々これから試行錯誤されるかなっていうところですね。

【竹内】そこのコミュニケーションからいわゆるアイスブレイクみたいなことが出来たりとか、やっぱり商談の仕方だったりセールスってのも変わってきたりとかはあるのかなと思います。今後も引き続きウィズコロナということろで様々なテーマというのはお届けしていきます。今回一番リクエストあったワークスペースというところで、何か資産になる部分があったら嬉しいです。では、本日はこの辺で失礼させていただきます。ありがとうございました。

【水上】ありがとうございました。

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