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長く焦がれた建築を見に行くことが、好奇心の種をもたらしてくれる

こんにちは、ロンロ・ボナペティです。

突然ですが質問です。
皆さんには長い間、「一度は見に行ってみたい!」と焦がれている建築はありますか?

僕にはそんな建築が国内にも、海外にもごまんとあります。
たまの休暇を利用してそのうちのひとつでも見に行こう、と出かけるのですが、そのたびに手に負えない量の宿題を抱えて帰って来ることに気づいたんです。

宿題って何だ、と思ったそこのあなた。ご安心ください。タイトルに書いてあります。
そうです、「いつか行ってみたい」と思っていた建築を見に行くと、必ずそこから好奇心の種を拾ってきてしまうんですよね。
これは誰しも経験のあることではないでしょうか。建築にそこまで興味のない人は、ご自身の好きなジャンルの作品を思い浮かべていただければ大丈夫です。

つい先月のこと。
久しぶりに、各地の有名な建築作品を見て回る建築行脚を敢行しました。
5日間ほどかけて、東海地方の建築を巡るなかで、学生時代から「いつか必ず」と心に留めていた重量級の建築を3つほど旅程に組み込みました。
仮にA、B、Cとしましょう。

実際に建築を体験した際の心境の変化はさまざまでした。
Aについては、
「うおぉぉー! やっぱ凄く良い! この建築家の真髄って感じだ。写真で見てた時は自由にデザインで遊び倒した、って印象だったけど、ちゃんと町の歴史と文化を蘇らせて、未来につないでいこうっていう事業の意図がデザインに表れてる。この建築があることで地域一帯の古い建造物・文化にも興味が向くし、何より素晴らしいのはこの建築が出来て以降、同じ思想でたくさんの建築物が周囲につくられた点。同じ建築家が後年になって増築も手掛けているし、稀に見る傑作だわぁ!」
という感想をもちました。
この建築はある芸術家の作品を展示する施設で、その芸術家自体がその土地の建築文化が育んだといって良い、芸術作品と建築との結びつきが非常に強いものでした。
結果的にこの建築を見た僕は、その芸術家の手掛けた作品は当然のこと、その地域で育まれてきた、教科書には取り上げられない建築文化にいま興味をもって調べています。
デザインに興味をもった、そのデザイン自体も満足のいくものだったうえ、さらにその建築が成立した背景に興味を広げていく、やっかいな宿題を持ち帰ってきてしまったわけですね。

続いてある教会建築B。
実はこちらについては、なぜ行ってみたいと思うのかがよくわかっていませんでした。
著名な建築家が設計した、非常に美しい礼拝堂をもつ教会です。
多くの建築好きが「感動」という表現を使ってこの教会を紹介する。
僕はそこへ行って感動したいのか、あるいはどのようにして感動的な空間が生み出されているのかを知りたいのか。
同じ建築家による作品を他に見たことがないので、まずは代表作品を抑えておこう、というライター根性によるものなのか。。
結果的に牧師さんご自身に隅々までご案内していただいて、礼拝堂の美しさにはもちろん感動しつつ、それだけではない教会建築の使命を知ることとなりました。
その魅力については連載中の「建設の匠」にて書かせていただきましたのでぜひ! 読んでください!
思わず拾ってきてしまったたくさんの宿題のうちのいくつかは、ここにまとめることができました。

そしてこの建築家についてもっと知りたいというモチベーションも急上昇中。
さらに、なぜ見に行ってみたいと思ったのか、まだ自分の中で納得のいく答えが見つけ出せていません。
ほかの建築も色々と見ながら、引き続きこの宿題と向き合っていかなければいけなさそうです。

最後にCについて。
これはなんとも意外な顛末となりました。
Cはまた別の超人気建築家による作品で、僕自身彼の設計した建築の写真や図面を見ると、見に行きたくてたまらなくなる、そんな建築家です。
これまでにもいくつか、その人の作品を見てきましたし、そのたびに「雑誌で見ていたあの建築が! いま! ここに!」とひとり興奮していました。
特に今回見に行ったCは、その建築家の初期代表作でもあり、ずーっと以前からいつか必ず、と思い続けてきた建築のひとつでした。
結果どうだったのか。
なんとまぁ不思議なことに、写真や図面で疑似体験していたのとほぼぴったり重なる空間体験だったのです。
思い描いた通りのシークエンス、スケール感、そしてあらかじめ「知っていた」高揚感。
大体の建築は見に行く前と行った後では、何かしらその印象が変わったり、よくも悪くもイメージしていた体験とのギャップを感じることがほとんどです。
そしてそのギャップがまた新たな「なぜ?」をもたらしてくれやがるわけですね、やっかいなことに。
決してがっかりしたわけではなく、建築を見て興奮しているのは間違いありません、家でその姿を思い描いていた時と同じように。
これがこの建築に限ったことなのか、この建築家の作品をたくさん見てきたからこそ体得した特技なのか、結局わからずじまいで建築Cを後にしました。
これもまた、時間をかけて追求する必要がありそうです。

そのほかにもたくさんの建築を、その街やそこに関わる人びととの交流も含めて体験することができた5日間は、同時にたくさんの宿題を僕に与えてくれました。
ひとつひとつ、じっくり考え、調べ、自分なりの答えを見つけ出すことに時間を割くことは、また次なる好奇心につながる終わりのない探求です。
僕はこのようにして世界と接点をもつことができるようになりました。皆さんはどのように世界とつながっていますか?
今回の旅で拾ってきたたくさんの宿題を、このnoteという場で発表していければと思っています。

最後まで読んでいただきありがとうございます。サポートは取材費用に使わせていただきます。