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広末涼子や後藤真希のようなアイドル史を変える人が居なくなった。AKBや乃木坂ら無個性アイドルの時代はそろそろ終わりを告げるのか。

どんな世界にも時代や価値観を大きく変える人物が現れることがある。スポーツ界や学問界だけでなく、アイドル (芸能) 界にも当然現れる。しかし、近年ではそんな大物を見掛けなくなったのは何故だろうか。

松田聖子を超えるアイドルは居ない

私は松田聖子世代よりも下の世代にあたるが、松田聖子さんほど世間に対して影響を与えたアイドルは居ないのではないだろうか。現在の肩書は歌手だが、この人においては職業「松田聖子」と書いても問題無いだろう。

いわゆる「聖子ちゃんカット」など個人が前面に出るブームを起こし、本格的な歌手転向や結婚、離婚などスキャンダルにまみれても尚、彼女のカリスマ性は失われず、もはや信仰の対象とも言える存在になった。

松田聖子さんの凄いところは外見だけでなく天性の歌唱力だろう。過去から現在、そしてこれから先も外見頼りのアイドルは往々にしてすぐに消えて行くが、何か光る技量があれば歳を重ねたとしても活躍は出来るのだ。

広末涼子や後藤真希が残したインパクト

松田聖子さんには劣ってしまう存在だが、広末涼子さんも大きなインパクトをアイドル史に残したのは間違いない。彼女も同様に「広末ヘア」と呼ばれるショーヘアを流行らし、アヒル口の代名詞とも言える存在になった。

彼女も松田聖子さんと同じくアイドルを経て歌手や女優へ転身し、結婚や出産、私生活のスキャンダルなども散見されたが、過去の実績や演技力が評価されて今でも芸能界に残って活動をすることが出来ている。

歌手としての才能は賛否が分かれるところで、個人的には好きな声質ではあるが、決して歌が上手いとは思わない。それでも未だに何故か聞いてしまうのは広末涼子さんのキャラクターに依るものだろう。

後藤真希さんは13歳 (中学2年) の時にモーニング娘。に加入し、直後に発売された「LOVEマシーン」でいきなりのセンターを務めた。  中学生とは思えないルックスが注目を集めて同グループの黄金期を支えた。

彼女もかなりの人物ではあるが前述のふたりほど傑物ではなく、個人としてもそれほど大きな業績は残せていない。しかしながら、世間に与えたインパクトは広末涼子さん以上であり、アイドルシーンにも影響を与えた。

ただ、後藤真希さん個人よりも「モーニング娘。」というシステムの方が後世のアイドル界に影響を与えたのは間違いない。従来は公にしないオーディションを見せることで、デビュー前からファンとの一体感作り上げた。

後に日本のアイドル界を席巻するAKB48や乃木坂46など坂道グループも 「モーニング娘。」の影響を大きく受けている。 しかし、卒業してからも幸か不幸か元〇〇という肩書に縛られ続けているのは副作用のひとつだろう。

個人よりもグループに左右される現代のアイドル

松田聖子さんや広末涼子さんなど個人単位で活躍するアイドルは次第に姿を消して行き、その代わりに「おニャン子クラブ」の系譜を継ぐ多人数グループがアイドル界を牽引して行くようになった。

前述の「モーニング娘。」で多人数グループブームに火が付き、そこにストーリー性や握手券システムを導入した秋元康系アイドルが台頭し、個人だけでなく小さなアイドルグループらは一気に苦境に立たされた。

これらのグループは個人では足らないが集まることで裾野を広げ、その中の誰かがアイドルファンの琴線に引っ掛かる仕様になった。かわいい子からそうでない子、スタイルや髪型、出身地なども幅広くなっている。

その反面、強い個性を放つアイドル (メンバー) が業界から少なくなってしまい、グループのイメージやブランドに依存する人が増えた。卒業後に芸能界から姿を消す人が多いのは分母が大きいだけでは無いだろう。

また、AKB48は村 (そのグループを推す層) の外にまで届くヒット曲が複数あるので今も「懐メロ枠」として音楽番組に出演しているが、乃木坂46は村内にしか届かない曲ばかりなのでグループの将来が心配である。

そんな中、ソロになった平手友梨奈さんが活動を再開して注目を集めているらしい。彼女は没個性が進む現在のアイドル界では珍しいタイプで、一部のファンからは信仰の対象になるほどの支持を集めている。

その点からすると、後藤真希さんから始まった多人数アイドルのブームは平手友梨奈さんで終わったのかも知れない。原点回帰の流れが事実なら、彼女たちがどう頑張ろうと沈みゆく太陽を呼び戻すことは出来ないのだ。

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