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可換環の定義〈龍孫江の環論道具箱〉

可換環というのは,龍孫江がずっと好きで学んで(学生時代にはちょっとだけ研究もして)きたものです.この環論道具箱では,主に可換環に絞って,その目的意識や道具立てを紹介していきたいと思います.

定義(環)

ring)とは下記なるものをいう:

  •  集合 $${A \ne \emptyset}$$

  • 機構 2つの2項演算 加法 $${+}$$,乗法 $${\cdot}$$,要素 $${0, 1 \in A}$$
    (ただし,$${0 = 1}$$の可能性はありうる)

  • 公理系 

    • 加法・乗法はともに結合則をみたす
      $${(a+b)+c = a+(b+c)}$$,$${(ab)c = a(bc)}$$

    • $${0}$$は加法の,$${1}$$は乗法の単位元である
      $${0+a = a = a + 0}$$,$${a \cdot 1 = a = 1 \cdot a}$$

    • 任意の要素は加法に関する逆元をもつ
      $${a \in A}$$に対し,$${a+b = 0 = b+a}$$なる$${b \in A}$$が存在する

    • 加法は交換則をみたす
      $${ a+b = b+a}$$

    • 分配則が成り立つ
      $${a (b+c) = ab + ac}$$,$${(a+b) c = ac + bc}$$

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