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ロンドン・ナショナル・ギャラリー展。8月10日の日記

小学校のときの図書館を訪れる夢。小学生のときに読んだ本が、同じ配置で本棚に並べられている。図書館は薄暗い。ほかにも小学生たちが何人か読書しているようだ。彼らはとても静かだ。私は小学生のとき、江戸川乱歩シリーズが好きだった。アルセーヌ・ルパンシリーズも気になっていた。それらの本がどこにあるのか探す。本棚に手をやると、古い日記が置いてあった。パラパラと中を見る。それは私が小学生のときに書いて、わざと図書館の片隅に置きっぱなしにした日記だった。私は誰かに読まれることを期待して、でも読まれることを恐れて、本棚に埋もれさせるようにそっとその日記を置いたのだった。どうやらその日記は私以外の誰にも読まれていないらしい。日記に書かれている文字はとても美しかった。

11時半に起き、用意をする。久しぶりにメイク。ご飯を炊き、食事する。

出かける。久しぶりの電車。上野の東京文化会館でDと待ち合わせ。国立西洋美術館で開催中のロンドン・ナショナル・ギャラリー展へ。坂口恭平さんがTwitterで褒めていて興味を持ったのだった。

思ったより混んでいる。最初のほうの宗教画っぽいものは興味が湧かなかった。いろんな人の絵が展示してあると、どうしても興味のない絵も見ないといけなくなる。私もDも、絵を見るスピードは早い。興味のない絵はただ見るだけで足早に通り過ぎる。興味のある絵はじっくり見る。よかったのはやはり最後の印象派の絵だ。モネ、ルノワール、セザンヌ。圧巻はゴッホのひまわりだ。これを生で見れるというだけでも、この展示会に行く価値はあるだろう。ゴッホのひまわりは7点あるという。そのうちの1点は損保美術館で見たことがある。けれども、今回展示されているひまわりは、格別だった。微妙に色合いの違う黄色が、生命力を迸らせ、分厚く塗りたくられている。溢れんばかりのエネルギー、前向きな力、というものだけでなく、なんか狂気のようなものも感じた。明るすぎるのだ。この絵は、ゴッホがゴーギャンを黄色い家に迎え入れる前に、ゴーギャンのために描いた絵だという。友情の証のような、とても純粋な気持ちで描かれているのだ。

展示数は少なく、一時間もしないうちに見終わる。美術館を出た後はエビスバーでビールを一杯だけ飲み、上野公園を散歩。湯島まで歩いていき、炉端焼きの店に入る。ハイボールを飲み、焼き鳥、さんま、かに味噌グラタンなどを食べる。おいしかった。

秋葉原まで歩く。夜になるといくぶん暑さは和らいだが、それでもマスクをして歩くのは暑い。人のいないところではマスクを外す。それにしても皆、律儀にマスクをしている。コロナが怖いからというよりも、人目を気にしてマスクをしている人も多いんだろうなと思う。日本人の同調圧力はすごいものがある。

あちこち歩いて、美しいものを見て、おいしいものを食べて、笑って汗かいて、とても良い一日だった。

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