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みんなちがって、みんないい

みんなちがって、みんないい ———
このフレーズは今や広く知られるようになりました。金子みすゞの詩【私と小鳥と鈴と】のなかの一節です。

目には見えない「優しさ」や「人の心」の大切さを、やさしい言葉で綴った金子みすゞ。この「みんなちがって、みんないい」にも、どんな人でも分け隔てなく認め、受け容れることの大切さが込められています。そして自分自身をも。また現代においても、多様性やLGBT、BLMの運動にも当てはまり多くの人々の共感を得るでしょう。
みすゞが生きた明治~大正時代は、女性は家事・炊事・育児に従事することが”常識“だった。みすゞの夫は日々遊郭通いの、家庭を顧みない悪い夫であったが、夫からしてみれば、家庭を守る事だけやってればいい妻が、詩の創作に明け暮れている。西條八十ら高名な詩人からも高い評価を得、いわゆる有能な「クリエイター」で「アーティスト」だったみすゞ。擁護するわけではないが、彼なりに孤独や寂しさを感じていたのかもしれません。しかし、女性であろうが自分の生き方があり、どうしてもやりたいことがある。女性だからと諦めるわけにはいかない。みすゞのやさしい詩のなかに強いものを感じます。
ついに夫からも詩の創作と仲間との文通を禁じられ、みすゞにある強い決意をさせます。これまでに病院で貰っていたカルモチン(睡眠薬)を少しずつ貯め、夫への強い言葉での抗議の手紙と、3歳の娘・ふさえを母に託す手紙をしたため、自決しました。死の前日は、いつも変わらず母と叔父と娘と4人で団欒の時を過ごしたそうです。
まだ26歳。自決までには計り知れないほどの懊悩があったでしょうが、生き抜く別の方法があったのでは、と思わずにいられません。
 この詩には鈴が出てきますが、ペンネームの「みすゞ」は「美しい鈴」とも書けますね。

この歌をYoutubeでお聴き頂けます(画像をクリック)
◆【わたしと小鳥と鈴と】二部合唱(二重唱)

私と小鳥と鈴と表紙2

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「私と小鳥と鈴と」 金子みすゞ

私が両手を広げても、
お空はちっとも飛べないが、
飛べる小鳥は私のように、
地面(じべた)を速くは走れない。

私が体をゆすっても、
きれいな音は出ないけど、
あの鳴る鈴は私のように 
たくさんな唄は知らないよ。

鈴と、小鳥と、それから私、
みんなちがって、みんないい。

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