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【描かないことを考えた人】国立新美術館開館15周年記念展 李禹煥 Lee Ufan


まず…一言、言いたい。
この展覧会の総重量が気になる!

重い、硬い、たまに柔らかい

の、連続から始まるこの展示。

やっぱり、石って存在感が凄い。石に名前はないかもしれないけれど、もう立派な李禹煥の石になりそこに有る訳で…
いわゆる彫刻家ならそこから石を削ったり磨いたりで作品にするのだろうけども、
そこに有る、在るだけで良い
という事が「もの派」の始まりなのかもしれない。

【「もの派」という言葉】

もの派という言葉の直接的さにいつも笑ってしまってイマイチなぜそれが、ということを理解していない。けれど作品を見るたびに感じれば良いだろう、という事で今、ぼんやりと輪郭の様なものが浮き出ているところだ。なんでも調べりゃすぐ分かる時代だがそこは私の鑑賞ペースでゆっくり知っていくつもりだ。

【赤い座布団の異質さ】

一点、異質な展示があった様に思える。
布やガラスに石があると無機質な、とか硬派な作品に見える。
しかし同等の石が、赤い座布団の上に在ると急に「鎮座」という単語が出てきて「人っぽさ」「擬人的」な感じがするのはなぜか。
何というか「ありがたい仏像を拝むものそれは実はただの石で狐に化かされていた」的な昔話の様な…
赤い座布団の縁起の良さ、俗人ぽさがそうさせるのか。そういう習慣のない圏の人から見たら他の作品と同等無機質に感じることができるのか。
赤い座布団が出てきた時、急に雰囲気が変わったことを記しておきたい。

【スター大集合】

一筆書きの気持ちの良い線の羅列。
「線より」シリーズ。
李禹煥氏のドローイング作品が好きで、ありがたいことに関東近県の公立美術館が所蔵品として持っている。
どこかしらの美術館で何かしらの作品を見てきた。ただ、ばらばらの場所で別の時間軸で同じシリーズを見たことにより、「どこで、何を」見たかがわからなくなっていたのも確かだ。
写真撮影OKな美術館なら撮って見比べる事ができるが、全ての美術館がOKではないのでなかなか難しい。
が、しかし今回のこの大回顧展のお陰で
各美術館の70年代の筆のシリーズが一部屋に集結したのは熱い展開だったと勝手に感激している。
東京都現代美術館の所蔵品のとなりに東京国立近代美術館の所蔵を並べるところなんでもう…!!

これは東京国立近代美術館の常設展での展示風景。
今回こちらも駆けつけていた!


これがしたかったのだよ!!私は!!!と。
この部屋の構成をした人と気が合いそうです。
(会場配布の見取り図には意図的なのか印刷が間に合わなかったのかわかりませんが、展示室に対応する展示品番号位置記載がなかった。係の方に聞いたら分かりやすく教えてくださいました)

今回、やはり順を追ってみることのできる回顧展の意味、楽しさを味わえた展示な気がしました。もう一度見たい。
(追記:1週間後、子供と一緒に再度、見に行った。李さんのシンポジウムにも当たったのでご本人の講演も聞けました)

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