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音楽する惑星

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空想のライヴ・スポットです。音のない音楽です。
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記事一覧

Charles Mingus at Musical Planet

チャールズ・ミンガス(Charles Mingus) 絵・音座マリカ  文・泉井小太郎 Better Git It In Your Soulおまえのことを喋るんだ と あなたは言う 息をしているんならな でも ぼくは 喋りたくない さんざんな目に遭ってきたんだ 足弱のガキの頃から 足弱の老いぼれになるまで これ以上ぼくが ぼくであってたまるもんか そうさ 前を向いて いつも笑ってきて こころでも泣かなかった それがブルースだろ ぼくのことはどうでもいいが ぼくのソウルは

Gary Peacock at Musical Planet

ゲイリー・ピーコック(Gary Peacock) 絵・文 泉井小太郎 Garyこの世から去ったと あなたの仲間は嘆き 嘘っぱちだと 最初の奥さんは撥ねつけ みんなおろおろ あなたはどこに どうしているのか もう一度 あなたの指で あの弦が弾かれることがあるのか 二度と弦は震えることはないのか  * 禅を学んだあなたは 生きているにしても 死んでいるにしても (泰然と)雲中座禅 あるいは (飄然と)雲外独歩 そんなふうではないだろうか    ♪ 九月の初め、Twi

Bird Lives!

2020年8月29日はチャーリー・パーカー生誕100年の日。 これを記念して六角文庫では、 音座の陶像によるジャム・セッションを楽しみました。 まずはカルテットで、パーカーに倣って「Out of Nowhere」の演奏中に「happy birthday to you」を。それから 「Ornithology」 「Bird of Paradise」。 ひとり抜けていつものトリオ。 モンク生誕100年、ビリー・ホリデイ・メモリアル、ファイブ・スポット・メモリアルなどでも演奏して

Bob Marley at Musical Planet

ボブ・マーリー(Bob Marley) 陶:音座マリカ  文:泉井小太郎 Positive Vibration 雨の 昔の 火の 髪の 男は歌った 悲しみは 甲羅で固まる…ものではない 苦しみは とぐろを巻く…ものではない 鋼の 頬と 心と 明日 雨あがりの 虹   ♪ ボブ・マーリーの「キャッチ・ア・ファイアー」をレンタルしている時に、彼の訃報が飛び込んできた。何か因縁を感じたので、返さずにそのまま買い取った。気に入ればそれが出来る店だった。 1981

Django Reinhardt at Musical Planet

ジャンゴ・ラインハルト(Django Reinhardt) 絵:音座マリカ  文:泉井小太郎 Minor Swing 放浪する民 放浪する音 雲と 水と 風と それからひとかけらの心 越えて行くのは 地平線 心平線  * ギターが弾み フィドルが曲ねる 魂は自由だ 大いなる楽器だ 魂は滅ぶにさえスイングする   ♪ ジャンゴのギターを初めて聴いたのはFMラジオ。『ルシアンの青春』のテーマとして流れたから、映画公開の1973年か1974年のことだったかもしれない

Art Pepper at Musical Planet

(投げ銭方式で全文公開しています。) アート・ペッパー(Art Pepper) 像:音座マリカ  文:泉井小太郎 Trip空想は 木の 石の とっておきの旅である 病人も ベッドの舟で航海する 空想だから 漂流も 難破もかまわない 囚人なら なおさら旅である 目を瞑れば どこまでも空は広がり ここもいまも消滅する 出来うるならば 空想は終わりなく そのまま 空想の中へ姿を晦ましたい   ♪ 1963年サン・クエンティン刑務所に収容されている時に、ペッパーは「トリッ

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Puma Jones at Musical Planet

ピューマ・ジョーンズ(Sandra Puma Jones) 絵・音座マリカ  文・泉井小太郎 One Live嵐のようなバンドがやって来て 嵐のような男が吠えている 黒雲と 稲妻と どこかに ぽかりと開いた青空と 雨は降る 風も吹く びしょ濡れに泣いたら 塵や芥は洗われていった 嵐の眼で 女(女神)は踊り この世になく歌い この世の魂を天へ巻き上げた    ♪ ピューマ・ジョーンズはソロ・シンガーではない。レゲエのコーラス・グループ「ブラック・ユフル-」の紅一

Youssou N'Dour - Assane Thiam

(投げ銭方式で全文公開しています。) ユースー・ンドゥール(Youssou N'Dour) アッサン・チアム(Assane Thiam) 陶:音座マリカ  文:泉井小太郎 Sabar鳥でも虫でもいい 美声はあるのだ 一度聴くと 耳が虜になる声が 虫でも鳥でもいい 心を打つなら 魂を駆り立てるなら どこへ 未知へ 無方へ 一人の少年が歌った 美声はあるのだ 音楽が 草原が渦巻き バオバブの木が 星の種をいっぱいに着ける    ♪ キューバ音楽の香りにフランスの美意識

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Bud Powell at Musical Planet

(投げ銭方式で全文公開しています。) バド・パウエル(Bud Powell) 画:音座マリカ  文:泉井小太郎 Blues For Bouffemontぼろぼろの 空を広げて それは 笑っているのか 泣いているのか もう一度 恋する誰かのように そうだよな ピアノに向かえば 零落も 落魄もない 淡々としてはいても 胸の裡に 寒暑はある 人生は 音楽ではない そんなことも 難しいことだったが ピアノに触れれば 自己も 他己もない    ♪ 7月31日には必ずかけるレコ

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音楽する惑星(復刻版)

「Musical Planet ―音楽する惑星」は音座マリカのイベント・ページとして1996年11月にスタートしました。音楽がテーマの絵画と陶像作品を展示、企画、プロデュース、テキストは泉井が担当しました。 1998年から空想ライヴ・スポットとして再出発、何度かのリニューアルを経て、現在のnoteバージョンに至っています。一番多く出演したのは閑古鳥です(笑) 今日7月17日は、ビリー・ホリデイのメモリアル・デイ。初期の頃の記事が外付けハードディスクに見つかったので、それを

Don Cherry and Charlie Haden

(投げ銭方式で全文公開しています。) ドン・チェリー(Don Cherry) チャーリー・ヘイデン(Charlie Haden) 画:音座マリカ  文:泉井小太郎 Song For The Whalesある夜 ラッパは飄々と飛び ベースは訥々と這う 鯨のために チェのために 海と音楽の解放のために ある夜 ベースは跳びはね ラッパは越境する 虹を 水平線を 鯨を人を大気圏を 耳よ 心に伝えてくれ この星は音楽する惑星なのだ    ♪ ジャズを聴き始めて最初に買った

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Eric Dolphy at Musical Planet

(投げ銭方式で全文公開しています。) エリック・ドルフィー(Eric Dolphy) 陶像:音座マリカ  文章:泉井小太郎 Something sweet, something tenderそうか 昼飯食いに出たのか 時計に 七つの謎を仕込んで あれから五十年 なにか甘くて なにか優しいものを見つけたか そんな人に会えたか 男の留守は淋しく 五十年が 五億年のようにも思えた    ♪ エリック・ドルフィーは鳥の鳴き声をずいぶん練習したそうだ。鳥の歌い方や、話し方。どん

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Augustus Pablo at Musical Planet

(投げ銭方式で全文公開しています。) オーガスタス・パブロ(Augustus Pablo) 絵・文 泉井小太郎 Meditation Dub眼を瞑れば 蝶が飛ぶ 荘子の夢のようにか 夢は 記憶を解体し 五官を解放する 蝶を追って 瞑想すれば 雨は開き 揚子江の南にも ナイル川の東にも 天の川の中洲にも至る    ♪ 30年以上も昔の話、犀川べりに空き家を見つけて住んだ。大正2年の落書が壁にある見越しの松の一軒家。ブロック塀はもとは粋な黒塀だったのだろう。あまりの侘び

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Duke Ellington at Musical Planet

(投げ銭方式で全文公開しています。) デューク・エリントン(Duke Ellington) 陶像:音座マリカ   文章:泉井小太郎 Lotus Blossom泥は 水と土と 微生物のジャングル 混沌と 親和と 流動のオーケストラ 一粒の 音が蒔かれて 雨と 時と 光が降れば 神秘はひらく 不思議は踊り出す    ♪         普段、ビッグバンドはあまり聴かない。と言いつつ、ある日はエリントン楽団を、ある日はベイシー楽団を、また別の日はアフリカのサニー・アデのジュ

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