タロットカード解説【１９　太陽『The Sun』】

キーワード：希望しかない！

【解説】

　大きく描かれた『太陽』の下、子どもが裸で馬に乗り、手には赤い旗をはためかせている。子どもがいる地上にはヒマワリの花が満開だ。ヒマワリは英語で“sunflower（太陽の花）”と呼ばれ、地上にも『太陽』がいくつも並んで咲いている。
　静かな印象の図柄だった『月』のカードの次に、とても強いエネルギーを感じさせるカードが来た。『太陽』のカードの正位置はそのイメージどおり、“成功”“回復”“明るい未来”…と希望しかない意味の単語が続く。『０』の『愚者』から始まった長い旅もいよいよ大詰めを迎えようとしている。
　『太陽』と神とした太陽信仰はエジプトをはじめ日本でも存在しており、人間が感じる『太陽』の偉大さは世界共通であることが分かる。始まりの朝に昇り、植物に光を与え、人間に希望を与える。古代の人間は『太陽』が命の源であるように感じたのだろう。毎日命が生まれ、成長していく度に輝きを増していく。小さな人間に与えられた大きなエネルギー、それはタロットカードの『太陽』でも同じイメージである。
　また、何者かが旗をはためかせて馬に乗っているこの状況、実は『死神』でも同じシチュエーションだったのを覚えているだろうか。『死神』は黒い旗を持って人間の命を奪っていたが、『太陽』の子どもが持つ旗は、赤くて大きな旗である。赤い色から、燃え上がる強い命のエネルギーを感じる。『死神』と『太陽』。切っても切れない生と死の関係性が描かれているようだ。
　さて、馬に乗る子どもに注目してみよう。頭につけられた“赤い羽根”はどこかで見た記憶はないだろうか。そうだ、すべての始まりのカードである『愚者』が頭に飾っていたものだ。『愚者』はこれまでの長い旅の“葛藤”の中で“知識”を得て、いかなる“苦難”も“破壊”も“不安”も乗り越え、自分が一体何者であるのか、これからどうやって生きていくべきか、何をしたらいいのか…それら全てを悟ったのだ。『愚者』はもう何も恐れない。何も恐れないから、豪華な服を着て富を自慢する必要もない。何も恐くないから、書物を持って賢いふりをしなくてもいい。何の葛藤もないから、両手を広げて世界のすべてを受け入れていける。子どものように何も着飾ることなく、ありのままの自分でいられる。筆者は以前、『愚者』の解説中、『愚者』がタロットカードにおける“過去”を示す“左側”に進んでいると指摘した。けれど、今思えば“左側”で正解だったのだろう。『愚者』の向かう先は広い広い世界ではなく、自分の本質である心の中にあったのだ。この世界に生まれたままの自分になる旅だったのだ。
　子どもには明るい未来しかない。大きく輝くしかできない純粋無垢な子どもの未来は希望しかない。今ようやく、ゴールが見えたのだ。

【正位置/逆位置】

正位置：
成功、希望、覇気、幸福、ツイている、日々が充実する、行動的、繁栄、進歩、エネルギーで満たされる、意欲的、チャンスが来る、明るく前向きでいられる

逆位置：
意力が無くなる、挫折、意気消沈、成功しない、若気の至り、先が見えない、妨害される、根気がない、不注意、依存、長続きしない、トラブル続き、子どもっぽい、体調不良

【恋愛】

正位置：
幸福な恋愛、相思相愛、うまくいく、祝福される恋愛、最高の相手、結婚、出産、見合いも吉、ツイてる、積極的に自分をアピールすると良い

逆位置：
別れ、愛が冷める、長続きしない、結婚相手にはならない、周囲に反対される、浮気でモメる、酷い仕打ちを受ける、自信を失う、わがまますぎる、子どもっぽい恋愛

【片想い】

正位置：
恋が叶う、順調に進展、好きな外見、純粋な言動が良い、ポロネーズされる、なんでも話せる人、隠さなくてもいい関係、積極的にアピールすること

逆位置：
叶う可能性が低い、すれ違う、縁がない、わがままを言ってしまう、相手の気持ちに配慮できなくなる、友人ともめる、行き当たりばったりな言動

【相手の気持ち】

正位置：
明るい人、エネルギッシュな人、素直な人、一緒にいると楽しい、純粋な人、好意、長く一緒にいたい、一緒にいると力をもらえる人

逆位置：
相性が合わない、お互いまだ分かりあえていない、積極的になれない、恋愛に疲れている、考えすぎている、愛情が冷めた、子どもっぽい

【仕事】

正位置：
満足する結果が出る、やりがいのある仕事、視野を広げると良い、昇格する、努力が実る、良い協力者が現れる、発展する、周囲と上手くいく

逆位置：
ハードな仕事、業績が急降下する、不注意、周囲との対人関係でトラブル、やる気が起きない、周囲の気配りができない、単純なミスが増える

【未来】

正位置：
交際がスタート、楽しい毎日、心身ともに満たされる、自分の気持ちに従うこと、気の合う友人ができる、やりたいことをすると良い、願いは叶う

逆位置：
忙殺される日々、不安を抱えながら過ごす、未熟、足場を固めること、物事の中断や延期、心を閉ざしてしまう

＊リーディングの際に注意すること＊

タロット占いにおいて、各カードの意味をただ暗記するだけの学習法は意味のないものである。上記の解説はあくまでも参考である。由来や意味合いから貴女のインスピレーションを働かせ、お客様に合ったアドバイスを提示していくことが重要になる。

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