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【roku youメンバー紹介】SELは余白を生むもの。子どもたちの可能性を探究する教育を求めて(玉城哲真)

roku youはひとりひとりのメンバーがラーニングクリエイターとして、学校とともにSELを実践しています。そこで、noteにて不定期でメンバー紹介を行なっていきます。それぞれのメンバーの教育に込めた思いやroku youでの活動をお届けします。

【roku youメンバー】
玉城哲真(たまき てつしん)
roku youラーニングクリエイター
関西外国語大学で小学校教員免許・中高教員免許(英語)を取得し、卒業後は大阪府公立小学校教員として勤務。沖縄県に戻ってからは、Hanaわらび(多世代教育プラットフォーム)の代表として、高校生の探究学習や小学生へのプログラミング教育などの実践を行う。また、キャリア教育コーディネーターとして、うるま市キャリア教育事業「ミライカナイ」に関わる。その後、roku youへ参画。沖縄県の高校で探究学習の実施や教材開発に携わる。
<専門性> ファシリテーション、探究学習、地域教育
<興味関心> 心理学、日本酒、アニメ、podcast
●Facebook https://www.facebook.com/profile.php?id=100008007105171 ●Instagram https://www.instagram.com/tamatetsu1658/

【interview】SELは余白を生むもの。子どもたちの可能性を探究する教育を求めて

もっと子どもの個性を引き出すような教育や問いが行えないだろうか――。

小学校の教員として勤務していた時、僕はそんな自分の理想に押し潰されそうになっていました。僕が採用されたのはちょうどコロナ禍に突入したタイミング。子どもたちにのびのびとした振る舞いを許してあげることもできず、集団教育をいかに効率的にリスクなく行えるかが重視されている時期でした。

周囲の先生方には優しくサポートをしてもらったものの、当時の僕には学校の大量の仕事に対応できるだけの能力が伴っていませんでした。さばききれない業務量。さらに、自分のやりたい教育観との乖離……。

そんな挫折感が積み重なり、クラスの子どもたちにきちんとお別れも告げられないまま教員を辞めて、沖縄県に戻ってきました。

■学校の外側から教育に携わる

故郷の沖縄県に戻り、しばらくはゆっくりと心身を癒すつもりでいました。しかし、元気を取り戻していくうちに膨らんでいったのは、やはり教育への関心でした。

そこで僕は「Hanaわらび」という多世代教育プラットフォームを仲間達と立ち上げます。ここでは、学校の外側から、高校生の探究学習や小学生のプログラミング教育、リカレント教育など多様な教育に携わりました。中でも、僕が一番夢中になったのは高校生の探究学習でした。高校生1人1人の相談に乗り、本当にやりたいことは何なのかを対話する。生徒たちもイキイキしていましたし、個性を大切にできる教育に関われたことで僕自身も教育への思いを取り戻していくことができました。

そうした経験の中で、roku youとも出会いました。僕が探究学習で子どもたちと関わっていると、代表の(下向)依梨さんに「哲真、生徒と話している姿が一番キラキラしているね!」といわれました。依梨さんのこの言葉に、僕は高校生と対話する時間が心から好きなのだと気がつきました。そして、対話を重ねながら、共に「本当にやりたいこと」を探究していく時間を大切にしようと思うようになっていったのです。

■自分の可能性に気づく「余白」の重要性

振り返ると、僕は大学に入るまで、周囲に合わせていることが多く、自分から「こうしたい」と選択することなく道を歩んできたように思います。大阪府の大学への進学を決断したタイミングくらいから、自己選択をする回数が増え、自分の可能性に気づくことができました。自ら挑戦する中で、「僕ははこんなことをしたいのだ」「こういう可能性があるのだ」と気づく瞬間があったんです。

僕が見る限りでは、今の中高生も自己決定する機会がほとんどないのではないかと思います。さらには教育の格差により、挑戦する機会も平等ではないと感じます。だからこそ、僕は学校の外側から公教育に携わり、子どもたちが広い世界を垣間見る機会を設け、可能性に気づくチャンスを作っていきたいと思っているのです。

SELは、「余白」を大切にする教育であると感じています。余白がなければ、「自分はこれできるんだ」「自分これが好きなんだ」と自分の可能性に気づく瞬間は生まれません。この余白がある土壌作りができるのが、SELだという感覚が僕にはあるのです。

SELでは、自分と向き合って、相手と向き合って、そこから全体性として社会と向き合っていきます。中高生はこの第一段階である自分と向き合う時間がそもそも少ないのです。自分と向き合う土台作りがSELによって可能になり、そこから自分で挑戦する探究学習につなげていくことができるのではないかと考えています。

■「マイ感」を大事にする教育環境を目指して

僕はroku youで主に高校の探究学習に携わり、大きく2つの役割を担っています。1つ目は探究の授業のコンテンツを作り、その授業を実践していくこと。高校生たちの本気の眼差しややる気、情熱を感じながら、「次の展開はこうしていこう」と考えるのがとても楽しいです。2つ目は、生徒たちの探究をサポートするメンターを授業に招き、自分のやりたいことに気づくきっかけ作りを行うことです。生徒たちが新たな視点を得る機会になるという意味で、すごくやりがいを感じています。

探究学習では、主にチームでプロジェクトを遂行していきますが、その中でも自分のやりたいことを表現する「マイ感」を発揮することが重要だと考えています。これからも子どもたちと丁寧に関わり合いながら、そのきっかけ作りを行っていきたいと考えています。

大人になるまでに子どもたちが、自然に非認知能力を身につけるにはどんな教育が必要か。もしかしたら、その答えは子どもたちの個性によって異なるかもしれません。数値化できない部分もあると思いますが、先生方が見取りながらその子に合った学び方を進めていけるような教育環境作りを目指していきたいです。

また、僕自身は子どもたちのあらゆる姿を許容する大きさを備えつつ、外の人を繋げたり自分の中で問いを立てたりする手伝いをし、刺激を与える存在でもありたいです。そのために、教育についての学びをアップデートしながら、学校現場に関わり続けたいと考えています。

【これまでのメンバー紹介はこちらから】


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