【roku youメンバー紹介】自分と他者の感情を大切にした「共育」を目指して(白石綾)
roku youはひとりひとりのメンバーがラーニングクリエイターとして、学校とともにSELを実践しています。そこで、noteにて不定期でメンバー紹介を行なっていきます。それぞれのメンバーの教育に込めた思いやroku youでの活動をお届けします。
【interview】自分と他者の感情を大切にした「共育」を目指して
「私が大事にしたい教育を実践している人たちがここにいたんだ!」
roku youにはそんな思いを抱いて参画をしました。一人一人の個性を大切にし、自分の感情や思いに気づくことを促していくSELのアプローチは、私が求めてきた教育のカタチだったんです。
そんなふうにroku youにときめいた背景を説明するには、少しだけ私の話をさせていただく必要がありそうです。
子どもの頃は、厳しい家庭で育ったこともあり、親のいうことにすべて従わざるを得ない環境にいました。学校でも「良い子」として扱われ、先生からも「えらいね」「すごいね」と言われ続けていたように思います。私にとっての「正解」は、親や先生の期待に応えていくこと。そのため、自分の感情に目を向けることはありませんでした。
こうした育ちがいかに歪なものだったかということに気づいたのは、大人になってからです。「何を感じているのか」「何をしたいのか」を問われても、自分のことをうまく表現することができませんでした。
自分の人生は自分で決めていくしかありません。
しかし、私は大人の期待に応えることに慣れすぎて、自分の心を感じ取り、自分が進みたい方向へ舵を取ることができなくなっていたのです。
誰かと話をしていても、自分の考えを伝えることが苦手で、「どうせ私の言葉なんて意味はないだろうな」「間違っているんだろうな」という恐怖心に襲われてしまう。自分の思いを表現しないので、周囲からは感情のない淡々とした人間だと思われていました。
でも、それが悔しくて悔しくて……。
頭の中ではぐるぐるとさまざまなことを考えているんです。しかし、それを掴み取ってみんなの前に提示することができませんでした。
■思いに正解・不正解はなく、あるのは「違い」
漠然と「変わりたい」という思いを抱えていたときに、コーチングと出会います。「自分の感情を話してみて」「どんなことを考えているの?」と丁寧に投げかけてくれる人たちと出会い、「私の話を聞いてくれる人もいるんだ!」と驚きました。そして、私の思いに価値を見出してくれるならば、自分の言葉で話さなければいけないと感じるようになったのです。
自分の思いを伝え、相手の思いを聞く経験を経ていく中で、人の考え方に正解・不正解はなく、あるのは「違い」だけだということが腑に落ちていきました。さらに、違いがあることが問題なのではなく、違っているのは当たり前で、だからこそ、話し合いながら理解していくおもしろさがあるのだとも思えるようになっていったのです。
小さい頃から自分の感情を丁寧に掬い上げ、それを表現し、他者と受け止め合う経験をしていくことができれば、私のように回り道をする人は少なくなるのではないかと思います。そんな思いから、学校は自分と他者の感情を感じる体験を積んでいく学びの場であることが大事なのではないか、と思うようになっていきました。
■窮屈な社会から共に変化する柔軟性のある社会に
「こうしなければいけない」と抑圧されて育った大人たちが作る社会は、つまらないし、窮屈です。子どもたちがもっと柔軟に自分の心を表現できるようになっていけば、社会の彩りはもっと豊かになるはず。大人が変わってくことと、子どもたちがもっと自由になっていくことは両輪であると思っています。
私は今、主に沖縄の地で子どもたちに関わっています。お年寄りから赤ちゃんまで多世代と関係しながら育つのが当たり前の沖縄の子どもたちは、他者を思いやる力に長けていると感じます。また、伝統行事などの中で社会的能力や表現力を身につけている子も多いように思います。素晴らしい子ども時代を過ごせる環境がある一方で、自分の個性を表現しにくいといった外圧を感じることもあります。より自分らしさを大切にしていくためには、ノンジャッジメンタルに、自身の思いを話し合えるような経験がとても大切になってくるのではないでしょうか。
これまで学校の教育は「教える」+「育つ」で「教育」でしたが、今後はより「共に育つ」の「共育」が大切になっていくと考えています。子どもだけでなく、先生も保護者も関わる地域も皆で育つ。
そして、先生は「育つ」サポートをするプロフェッショナルです。自分に伴走してくれたり成長を信じてくれたりする経験は、社会に出たらそうできるものではありません。だからこそ、小中高でそうした大人に出会える体験はとても支えになると思うのです。
もう一つ、私が大切にしたいと思っているのは、受け取る側のタイミングです。私自身も「変わりたい」と思ったタイミングで動き出すことができました。子どもも大人も変化を受け入れる時機は人それぞれ異なります。しかし、絶対にいつかその必要性に気づく時がくる。
「共育」に関わる私たちは、いつか訪れる成長や変容を信じることこそが大事なのだと思います。roku youでは、「共育」の一旦を担い、多くの子どもと大人が自分を大切にしながら響き合える場をつくっていきたいと思っています。
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