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食品製造業の競争力の源泉は管理能力


[要旨]

おせち料理を製造している久松は、60人のパートタイマーで年間16万食のおせち料理を製造しているそうです。そして、このパートタイマーのシフトをうまく組むことが大量の製品を製造する鍵になっており、同社の競争力の源泉になっているそうです。


[本文]

先日、TBSの情報番組のがっちりマンデーに、福岡県糟屋郡粕屋町で、おせち料理を製造している、有限会社久松の社長の松田健吾さんがご出演しておられました。同社では、年間で16万食のおせち料理で27億円の売上を得ているそうですが、これを60人のパートタイマーで製造しているそうです。

パートタイマーひとりあたりの年間製造数は約2,600食、年間売上高4,500万円ということになります。製造原価率が仮に50%だとしたら、ひとりあたり付加価値額は2,250万円という、高効率経営が実現できていると思います。では、なぜ、このような業績をあげることができるのでしょうか?一般的には、製品の品質がよい、製品の原材料がよい、価格が安いなどの要因が思い浮かぶと思います。

でも、同社の強みは、パートタイマーのシフトの組み方が優れていることが、競争力の高さになっているそうです。おせち料理は、当然、出荷日は年末です。そこで、同社では、1月から12月までかけて、おせち料理を手作りで製造していくそうです。具体的には、1月から4月までは、料理を加工し、5月から10月までは料理をますにつめて冷凍し、11月から12月は箱の組み立てをしてくそうです。

16万食を60人で1年かかりで製造するといえば簡単に思われますが、無駄なく、遅れなく製造するためには、パートタイマーの細かなシフトを組むスキルが必要になり、これが他社には追随できないそうです。このように、同社の強みは、製品そのものではなく、管理能力で発揮されているようです。いまは、製造業は、品質での差別化が難しなっているので、「しくみ」で勝負するよい事例だと感じました。

2022/2/3 No.1877

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