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[要旨]

管理会計は、マネジメントを行う上での重要な判断材料を提供するツールであり、リスクを回避する観点からも、方針決定のときに、会計的な要素を欠かすことは避けなければなりません。


[本文]

前回まで15回にわたり、主に、管理会計について説明してきました。中には、理解が容易でないものもありましたが、あえて、そのような管理会計について触れたのは、管理会計とマネジメントは密接な関係があることをお伝えしようとしたからです。確かに、事業活動は、年を追うごとに複雑化してきており、今後、どのように展開していくべきかということは、簡単には判断することはできません。このような背景から、管理会計がどれだけ優れているとしても、会計的な側面だけで判断するべきではないと思います。

だからといって、会計的な要素をまったく抜きにして、事業方針を判断することがあるとすれば、そのことの方が、リスクは高まってしまうとも思います。このように書いては失礼ですが、経験の浅い経営者の方は、まず、会計的な要素を基に経営判断を行って、経験を積んでいくことが大切だと思います。そして、経験を重ねていってから、一般的な人ができないような、思い切った判断を行うことが基本でしょう。

ときどき、独善的な判断を行った結果、失敗してしまう経営者の方がいますが、同じ失敗でも、根拠をもって判断した結果失敗した場合と、あまり根拠がないにも関わらず判断した結果失敗した場合では、それによって得られる学びの大きさは、まったく違うと思います。すなわち、単なる無謀と、深慮したうえでの英断は、大きく異なるということです。

ここまでは、少し大げさに書きましたが、銀行も、融資をしている会社の経営者が、根拠に基づいた判断をしながら事業に臨んでいるか、成り行きだけで事業に臨んでいるかには大きな関心を持っています。そこで、銀行からの評価を高めたいと考えている経営者の方は、自社の方針を伝えるとともに、その根拠として管理会計を活用していくことをお薦めします。そして、そのような対応は、自社の事業の足腰を強くすることにもつながります。

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