ユーザー数を増やしたい時に_立ち止まって考えたい6つのこと

ユーザー数を増やしたい時に、立ち止まって考えたい6つのこと

令和おめでとうございます(今さら)。Retty のぐちです。Startup Hackなテーマとして今回はWebサービスのユーザー数を増やしたいと思った時に立ち止まって考えたいことについて書きたいと思います。

最近サービスを立ち上げるであったり、ユーザー数を伸ばしたいだったり、UUグロースに関する相談を頂く機会がちらほらあります。有難い限り。

しかしRettyで4,000万ユーザーまでの成長に携わった経験からすると、結論闇雲にプロモーションにお金をかけたり、とりあえずでSEOをやっても上手くはいきません。どれだけ良いノウハウを持っていても、どれだけお金を突っ込んでも、ずばり見立てが悪いと全ては宝の持ち腐れです。

この記事はこんな方におすすめです。

・新しいtoCサービスを立ち上げるにあたって、どうユーザー数を増やすか考えている
・ユーザー数を増やすことがミッションの仕事をしている
・ユーザー数を増やしているが、その後どうスケールさせるかイメージが湧いていない
・ユーザー数を増やしたいが、何をすれば良いかわからない
・なんでも良いから、とにかくユーザー数を伸ばしたい!!!

ではどう見立てるべきなのかを解説していきます。

①そもそも利用者数のマーケット規模はどのくらいなのか

まず大事なことは何事においても市場規模。マーケットインなサービスを作る場合、市場規模もしくは売上のトップラインがどのくらいかを見積もると思いますが、ユーザー規模も同様。現状のユーザー規模がどのくらいなのか、今後伸びるポテンシャルがあるのかを見立てることがまずファーストステップです。

売上に関しても言えることですが、立ち上がりは良かったが、思ったより伸びなかった・・・なんて話はよくあります。KPIを設定するためにもここはまず抑えておくべきでしょう。

わかりやすい方法として、競合サービスの利用者数がどのくらいかということを調べることです。IR資料を見れば売上利益の主要KPIとして、多くの会社がユーザー数を掲載しています。不動産なら不動産、美容なら美容など業界トップがどのくらいのユーザー数なのか、上位サービスを足し合わせるとどのくらいの数字になるのかからマーケットにいるユーザーの規模感、業界トップに立った時の数値感を見立てます。

やや数値のブレはありますが、SimilarWebというサイトのトラフィック数値を参考にする方法も有効でしょう。

ポテンシャルに関しては対象の世代が増えるか減るかなど社会的なトレンドを参考にする必要がある場合もあります。言わずもがなですが、日本の子ども世代ターゲットなら下降トレンドでしょうし、東南アジアの若者ターゲットなら今後も伸び代ありです。

競合が全く情報を公開していない、どうしようもないという場合も往々にしてあります。その時はどうすれば良いか。諦めず何としても情報は集めるべきです。投資家の力や調査会社、業界に精通している人でも良いので、死ぬ気で情報ソース探さないと、目的地がないまま暗闇をさまようようなものなので、まずここは手触り感のある数値にしておくべきです。

②どのマーケティングチャネルが適切なのか

「新しくサービスを立ち上げるのでとりあえず記事メディアを始めようと思う」、「やっぱりCGMモデルがスケールするから良いかな?」という話を聞くケースもありますが、今のタイミングでそのプロモーション手法が有効なのかは本当に慎重に考えるべきです。

コンテンツ関してでは、記事や口コミを集めるのは結構時間がかかります。例えば口コミでは、LIPSのように昨今急速に立ち上がったサービスもありますが、領域によるものの、普通にやればSEOに効く口コミコンテンツを集めるには2〜3年以上はかかるでしょう。実際どのくらいのコンテンツ量が集まればSEOで有効なのか、それにはどのくらい時間がかかるかはしっかり考えるべきです。アクティブ率の高いユーザーと接点を持つにはInstagramやYoutubeが有効ですし、CVアクションを求めるならLINE@で始めてみた方が自社メディアを持つよりよほど効果的でしょう。

プロモーション観点ではリスティングで検索ユーザーを刈り取りに行くべきか、対象のペルソナが明らかならソーシャルの広告でリーチすべきなのか。コンテンツよりも途中の打ち止めが簡単なので、実際にテストしてみるのが有効です。

今からどのくらいのスピードで成長したいのかで適切なチャネルを選ぶべきです。

③“いつ”人とオカネをかけるべきなのか

大規模なマス・マーケティングをかけて一気にグロースさせた例としてはメルカリの例があまりにも有名ですが、どのタイミングで人とお金を突っ込むかは非常に迷いどころだと思います。

メルカリという最高の教科書があることもあり、最近はPMF⇒継続率の高いサービスを構築⇒小規模プロモーションテスト⇒資金調達でCMというフレームが綺麗にできつつあります。競合がいつ仕掛けてくるかのタイミングを読みながら、適切なタイミングで突っ込むことが大事ですね。強いサービスは経営者がこのタイミングを読むのが絶妙な感があります。

また記事でグロースするとしてもどのくらいの編集部、ライターの体制を構築するかなど、グロースのためのモデルの仮説検証を早めに終え、人とお金を突っ込むフェイズに移行していきたいところです。

④自社の強みや資産を活かせるのか

Rettyはユーザーさんの口コミコンテンツが主体のCGMですが、記事メディアによってユーザー数を増やそうと試みた時期がありました。しかし結論としては止めました。

理由は様々ですが、一つの理由としてCGMというRettyの資産があるのにもかかわらず、別の手法でユーザー数を伸ばすことが筋が悪いことでした。

CGMが故に、サービスを良くすることが、コンテンツに繋がり、ユーザー数の増加に繋がり、売上拡大に転じるというこの循環から外れた形は、戦略やリソースの一貫性が失われるという意思決定でした。

当時は他にもやり方があるのではないかと歯がゆい思いでしたが、今ではリソースが分散せず、ブレずにサービス改善を推し進めることができたので、良い意思決定だったように思います。

Rettyが保有するメディアや編集部は、現在ではRettyの世界観や食の楽しさを伝えることをどちらかと言えば目的として置いています(Rettyグルメニュースは本当に楽しくてエモくて美味しそうなメディアです。)。ユーザー数を増やすことはミッションではありません。

口コミ、Q&A、記事、DB型情報など様々な強みが各サービスあると思いますが、強みを活かしたコンテンツ作りとユーザーグロースが中長期的なサービスの真の価値に繋がるのではないでしょうか。

もし新たに記事を作るとしても既存サービスとのシナジーは必要かと思います。既存のQ&Aコンテンツに来訪するユーザーに役立つ記事メディアなど。

⑤ユーザーにとって本当に価値のある施策なのか

閲覧ユーザーを主眼に置いて言及すると、「とにかくキーワードボリュームがあるターゲットワードを洗い出して記事を書き続けてます」、「ユーザーの投稿がめちゃくちゃ増えています」というような声はよく聞きますが、そのコンテンツが閲覧ユーザーにとって本当に意味があるものなのかを考えるべきです。

記事を書き続けたとしてもキーワードを抑えただけで、課題を解決するような内容でなければ意味がありません。Q&Aコンテンツが集まっていたとしても、よくある質問ではなくニッチな質問回答ばかりでは、見に来た別の人の参考になりません。投稿コンテンツでも漫画の創作や服のコーディネートなど様々種類がありますが、閲覧ユーザーも楽しめるものでないとなかなか閲覧ユーザーのグロースには繋がりません。

コンテンツがあればOKという話ではなく、ユーザーにとって本当に意味があるものなのかということは考えるべきです。

自分も検索ボリュームがあるからといういう理由でたくさんコンテンツや記事を作ったことはありますが、役立つコンテンツ目的で作らなかったものは大体失敗しました。少し考えればわかることですが・・・

⑥獲得したユーザーは継続してサービスを利用してくれ、ビジネス価値に繋がるのか

WebプロモーションやASO、CMで獲得ユーザーが増やす。アプリでいうCPIがいくら合ったとしても、実際に獲得したユーザーが継続するロイヤルカスタマーにならないなら意味がありません。結論としてCPAが合うのかヘビーユーザーになるのかまで見るべきでしょう。

闇雲に記事を書こうという時は大体ここが引っかかります。検索で記事を見に来ただけの人に再訪する理由を作るのはなかなか難しい。ポイントメディアなどアフィリエイトで獲得したユーザーも同様。チャネル毎の継続率やLTVはしっかり見て、良きものに最適化していきたいところです。

閲覧ユーザーが増えたとして、それがすぐに売上に繋がるかは別問題です。Rettyではかつてまとめの印象が強すぎて、電話予約やネット予約が存在することをわかってもらえていない時期がありました。ユーザーインタビューをすると、お店の詳細ページの存在すら知られておらず、辛い気持ちになりましたが、ユーザー数が増えれば即ち儲かるわけではありません。売上に繋がる閲覧ユーザーを直ちに獲得するのか、売上に繋がるまでのタイムラグを許容するのかは戦略立てが大事です。

結論、闇雲に記事SEOやプロモーションを行えば良いというわけではない

当たり前と言えば当たり前ですが、どのくらいのマーケットでどのようなターゲットに対して、施策を打つかまずは計画が重要です。その上でどの手法が良いのか仮説検証を繰り返していくべき。

頑張ったけどマーケットがなかった。お金に繋がらないPVを増やしてしまった。なんてことにならないようにしましょう。

このマガジンの説明はこちらの記事にあります。他の記事もぜひ読んでみてください。


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