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だから、わたしは恋に落ちない。

生まれて32年目にしてようやく、わたしが運命の恋に落ちない理由が発覚。それは長年感じ続けた違和感の正体を突き詰めた瞬間だった。
私は「普通」ではないらしい。

何でも話せる大親友とコロナに阻まれ1年以上会えず久々に再会したときのこと。「最近どう?」巷で噂のお洒落なカフェで、女子間ではよくある話題。友達の旦那や家族の話を聞き、いざわたしのターン。特にこれといって報告できる出来事もなく「ない」という部分を深掘りする。ただこれについての自己分析にはいつも本当にしっくりくる答えに出会えず、いつしか自分を「欠陥品だから」と思うようになっていた。親友にしてみれば「?」でいっぱいでそんなことないとしか言えないわたしの話。わたし自身も自分が分からず説明もできず長年もやもやし続けている、ということに気付き始めていた。

多分この時、こんなことを話していた。
一人で生きていきたいわけではない、誰かと生きたいとは思う。でもなかなか誰かを好きにならない。人として信頼してるかどうかが大事、性別や年齢は関係ない。

親友は所謂ノーマル・ストレートで、わたしもこの時はまだ自分もそうだと思っていた。ちょっぴり癖はあるけれど、もしかしたらバイセクシャルと呼ばれる部類かもしれないけれど、恋愛自体は「普通」に恋に落ちるタイプだと。
今にして思えば、似て非なるものをうやむやにしているのでしっくりこなくて当然だ。

その日の帰り、長く電車に揺られながら親友との会話を思い出していた。そしてふと思い立ってスマホを取り出し検索してみた。世の中には私と同じ気持ちの人がいるかもしれない。誰かがあなたは「〇〇ですよ!」と教えてくれるかもしれない。たしか「セクシャリティ 診断」みたいなワードだった。そこで出会ったのが「anone,」というサイト。質問に答えると2000通りある組み合わせからもっとも近いパターンを教えてくれる。そこで初めて根本的にわたしは恋愛指向が「普通」と違うと知った。

それまでの私は、性的欲求の対象が同性か異性かそれ以外か両方か無いかと分けているのが「セクシャリティ」で、誰を対象にしたところで恋に落ちる仕組みはみんな同じだと思っていた。だけど「anone,」はそうじゃないことを教えてくれていて、そこが一番の衝撃だった。わたし自身は「普通」には当てはまらず、でも別にそれがスペシャルだという感じでもないのがよかった。わたしの周りにはいなかったけれど、世の中にはたくさん自分と同じような人がいて、これが欠陥というわけではないのだと思えた。まさに「しっくり」の瞬間だった。

具体的にはわたしは「デミロマンティック」というやつで、強い信頼関係がある人に対してのみ稀に恋愛感情を抱くセクシャリティ(表現の仕方は様々だが端的にいうとこんな感じ)だそう。この時点でお分かりだろうか、そもそも前提として「強い」信頼関係が必要でその中でも「稀に」恋愛感情を抱く、というわたしにとって恋の始まりは、狭き門を潜ってきた巡り合わせだけで起こす奇跡中の奇跡らしい。つまり、ビビッとくる、は起こらない仕組みの上にわたしは生きている。
だから、わたしは恋に落ちない。

ちなみにわたしが言い続けている「普通」とは、平均とったら多いだろう部分のこと。そっちチームじゃないのに混じって暮らし、足並みを揃えることに違和感があって当然だった。猫じゃないのに猫として育った犬のような。そりゃあ屋根の上にジャンプできなくてもしょうがない。そもそもの造りが違う。もう無理はしなくていい。

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