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企業の公式noteはナラティブへの共感と、リアルな事例のおすそ分けが大切だと気づいた、1年間の編集活動を振り返る

皆さん、こんにちは。ロート製薬公式note編集部の柴田です。

昨年5月にリニューアルした、ロート製薬公式noteも1年を迎えることができました。いつもお読みいただき、ありがとうございます!

この1年を振り返ると、一つひとつのテーマで大切に議論して進めているうちに、もう1年経つのか…!という感覚です。正直、このチャレンジはまだまだ始まったばかりだと捉えていますが、今後のためにも、この節目に成果と学びを記してみたいと思います。

モノづくりを生業にする所帯の大きな老舗企業が、この1年noteを通じてどのように「企業活動を伝える」挑戦をしてきたのか、少しでも参考になればうれしいです。

左:柴田春奈(広報・CSV推進部 兼 人事総務部)
右:山田偉津子(戦略デザイン本部 兼 プロダクトマーケティング部)

成果:9本の記事で約7万人の方とつながることができた

この1年、1~2か月に1本のペースで、じっくりと9本の記事を公開してきました。その結果、リニューアル前の数年、1記事あたり10前後のスキ数だったのが、この1年でつくった9記事の平均スキ数は150を超えました(2022年5月2日時点)。

歴代のスキ数トップ10のうち、9本がリニューアル後の1年で生まれました。

スキやビューの数の増加はより多くの人に届き、共感していただけた軌跡であると捉え、とてもうれしく感じています。また、一つひとつのスキが届くたびに、双方向でつながれた感覚があり、「私たちの挑戦のおすそ分けが少しでもお役に立てたなら、伝える努力をして本当によかった!」と毎回あたたかい気持ちになりました。

ロート社内からの反応もリニューアル後は活発に寄せられるようになり、
「社内でも当たり前になっていることを再度捉え直すきっかけになった」
「そもそも知らない話も多く、勉強になった」
「取引先の人との会話のきっかけにしている」
といった声が記事を公開するたびに届き、全国で働く仲間とのインナーコミュニケーションを促進するきっかけにもなりました。

この成果は、リニューアルを経て広報担当1名から、2~3名の編集部のチーム体制になった当初からうまくいったわけではありません。毎度議論を重ねながらたことでたどり着くことができました。企画から編集までのプロセスも改善しようとの意識でチャレンジしてきたこともあり、改めて振り返ってみるとさまざまな学びがありました。

ここからは、編集部での1年間の試行錯誤の学びを共有したいと思います。

所信表明が北極星のような指標になった

昨年3月頃、noteリニューアルを目指して、複数ある社内のオウンドメディアとSNSの位置づけを整理し、noteのメディアの方針やターゲットを検討しました。既存のオウンドメディアは、ロート製薬の商品を買ってくださっているなど、ロート製薬とすでに接点があり、応援してくださっている方や、健康情報を必要としている方にお越しいただくことがほとんどです。

しかし、noteは商品や健康情報ではないきっかけでロート製薬と出会うことができる「オープンな場」。一つひとつの記事をじっくり読まれる読者が多いので、さまざまなテーマを通じて、お伝えする機会をつくりたいと思うようになりました。

noteリスタートにあたってはまず、所信表明をまとめました(noteリンク

テーマをブレストしてみると、目薬や肌ラボなど数多くのブランドに関するチャレンジや、社員一人ひとりが輝けるような働き方への工夫などさまざまなアイディアが出てきました。そこで各テーマに共通する提供価値を議論し、メディアを動かし続けるための指針になる、北極星になるような言葉を、次のように定めました。

「読んでくださった方の、心と体がウェルビーイングになるきっかけをつくること」

ロートがさまざまな商品を通じて叶えようとしている生活者のウェルビーイング。身体だけでなく、心も社会的にもすこやかで幸せなことを意味しています。このnoteの活動を通じて、私たちがどのような想いやプロセスでそれらを叶えようとしているのかを共有し、皆さんの仕事や生活のウェルビーイングのヒントになるようなコンテンツにしたいという意思表明でした。

これがあることで、いま世間ではどんな健康の課題が気になっているんだろう、どんなビジネスの課題が注視されているんだろうというアンテナを張り、ロート製薬のさまざまな事業を通じた挑戦の中で、共有すると反響が大きそうなテーマは何か、と深掘りして議論できるようになりました。

特に反響があった2本

中でも、450以上のスキがつき、最も多く反響をいただけたのがD2Cプロジェクトに関するnoteです。

ロートのD2Cプロジェクトについてのnoteが最もスキを集めました(noteリンク

記事にも登場した編集部の山田は、こう振り返りました。

ロートにとって大きな変革の足掛かりとなるプロジェクトであり、そのチャレンジを記したnoteへ、多くの共感をいただくことができました。これは「ロート製薬のオンラインショップリニューアルプロジェクトの裏側」ではなく、挑戦している課題を客観的に昇華して、「90以上のブランドを抱える企業のD2C化」とつけました。「90もブランドあるとD2C化もそりゃ大変だよね…」など、挑戦の難しさや意義に、共感いただいたように思います。
 プロセスも丁寧に紹介できるようつとめたため、「参考になる」とたくさんのコメントとシェアをいただくことができました。D2Cの挑戦もまだまだ続いているので、良いタイミングで続編を出せたらいいな、と思っています。

また私自身もTakramの田中さんと、UXデザインについて対話した回は特に印象に残った取材となりました。

ロート製薬は目薬をはじめとした、ものづくりの会社ですが、時代は"ものづくり"から、デジタルを活用した"ことづくり"が中心に移行してきているのではないか?と思っていました。しかしTakramの田中さんとの対話を通じて、ロートはモノを中心にした"ことづくり"を昔から脈々と行っていたんだ。と気づくことができました。

これから先の未来は分からないけど、だからこそ私たちがやるべきことは意外にシンプル。もちろん、そう簡単なことではないけれど、気が引き締まった取材の時間でした。

Takramの田中さんと、UXデザインを考えたnote(noteリンク

「より伝わりやすい型」を模索し、原型が見えてきた

 編集部内で取材と編集に没頭していたら、あっという間に1年が経っていきましたが、はじめはストーリーを赤裸々に語ることさえ、チャレンジだと思っていました。しかし、いただく反応を見ながら、客観的に伝えたいメッセージと読み手の気持ちとの距離感を調整し、より伝わりやすい型のようなものが掴めてきました。

なぜ今語るのか?誰を想像して語りかけるのか?誰のレンズを通じて伝えるのか?を大切にし、書いては議論を繰り返す。

この制作の過程こそが、今のロート製薬公式noteの型になりました。これらはこの1年間の私たち自身の成長にもつながり、日々の仕事にもつながるインサイトになっています。

リスタートを切った当初は、ブランドや商品をもとに「ロート製薬」が主語となる記事をストーリーとして編集し、制作していました。しかし本数を重ねるなかで、ナラティブの中でどのような学びだったのかを共有することの方が重要なのではないか、と考えるようになりました。また記事執筆のうえでは、私たちならではの取り組みも誰にでも通じる言葉に置き換えることも意識しています。

編集部キックオフ時の資料の一部。
当時はブランドや商品、取り組みの裏側をお伝えするコンテンツを多く想定していました。

正直、これまでのnoteは、一人ひとりの話を丁寧に聴くことに終始してしまっていました。精いっぱいだった、との表現が適切かもしれません。仲間と共に、読者の視点に立った時にどうなのか?これまでの視点を少しずらし、検討することで、さらに深く、状況は異なれど読んでくださる皆さんに活きるような記事制作ができていると感じています。

ロート製薬123年の歴史で生まれた事例やメッセージのおすそ分けをするイメージを編集部内で持ち、"読んでくださった方の、心と体がウェルビーイングになるきっかけをつくる"という、意思表明として立てた方針が、実践を通じて、より鮮明になりました。

読者の皆さんからの反応として、ビューやスキの数はもちろんのこと、SNSなどを通じていただくメッセージも一つひとつ拝見しています。おすすめとして紹介いただいたり、noteのマガジンにセレクトしていただくなど、どんなテーマで興味を持ってくださったのかも分かり、その一つ一つのシェアが多くの方にご覧いただくきっかけとなることも、体感できました。

公開直後だけでなく、公開から何ヶ月か経ってから、noteをご覧いただき、スキを押してくださる方もいらっしゃいました。noteならではの、時間をかけて届いていくスピード感も発見でした。「旬なネタ」ではなく、いつ読んでも発見がある、楽しめる、そんな普遍的なメッセージを目指してこれからも記事を作っていきたいです。

これから:引き続き共感しやすく伝えることと、新しいコミュニケーションの広がりを目指して

まだまだ皆さんのなかにある「ロート製薬」のイメージはそう多くはないでしょう。アイケアやスキンケアの事業の裏側から、新しい取り組みの食や再生医療の事業、また私たちならではの働き方や文化のことまで、さまざまな切り口でナラティブを意識してお伝えしていきたいと考えています。

社内のメンバーからの社内のあらゆる話に耳を傾けながら、一企業の取り組みを読者の視点で企画を考え続けたい。せっかく「読む」時間をいただくのであれば、役に立つ、後押しできるなど有意義な記事でありたいと思っています。公開直後に限らず長きにわたって読んでいただきたいので、読む人にとってどういう価値があるのか、客観的な視点で、自らの活動を見つめ、伝えていく予定です。

またnoteの醍醐味は一方的に伝えるというよりも、さまざまな形で反応をいただける双方向な対話のような感覚だと思うので、これからもコミュニケーションの場にしていきたいです。
 
記事を制作し公開、そこから生まれる反響にうれしさを実感した昨年度を土台に、今年はさらにその数を増やしながら、これまでにはなかったnoteの発信を起点にtwitter上で会話が広がったり、取材したり、取材されたりと、新たな形のコミュニケーションもつくれたらうれしいな、と思っています。

 一社でできることも限られますから、このnoteを通じて少しでも同士となってくださる皆さんと、未来をつくるきっかけになればうれしいです。終わりはないこの取り組み、今後ともどうぞよろしくお願いいたします。

お読みいただき、ありがとうございました。SNSなどで、感想をお寄せいただけたらうれしいです。すべて読ませていただきます。 

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