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厚労省幹部人事異動が横滑り滞留状態に…|迷想日誌

8月7日を中心に厚生労働省の幹部人事異動がありました。事務次官は、平成30年7月に就任した鈴木俊彦氏(東大卒昭和58年厚生省入省、前職・保険局長)が留任となり、3年目となります。通例、1~2年で退官となることを考えると、異例といえるでしょう。

しかし、今年は新型コロナウイルス感染症対策の継続性が求められますので、こういう人事もあり得ます。
全体としても、コロナと働き方改革対応を重視した人事となっています。
また、事務次官とともに、厚生労働審議官(土屋喜久氏、東大卒昭和60年労働省入省)のトップ2が留任したことで、人事が滞留状態となりました。

ただし、医務技監は3年間務めた鈴木康裕氏が退官し、福島靖正国立保健医療科学院長を登用しました。
医務技監とは、事務次官級ポストで、保健医療分野の重要施策を一元的に推進するための統括的役割を担います。
平成29年7月のポスト新設から鈴木康弘氏が当たっていましたが、さすがに4年目とはいかず、人事刷新を優先したようです。

労働分野では、最年長の昭和59年労働省入省組で同期の藤沢勝博氏(京大卒、前職・雇用環境均等局長)と定塚由美子氏(東大卒、前職・人材開発統括官)がとうとう退官しました(長年取材等にご協力いただきありがとうございました)。
定塚由美子氏は、初の女性官房長として注目された人物です。
両氏とも、統計不正問題などで、以前の国会質疑において矢面に立っていました。
当時、かなりの心労があったと聞いています。

その藤沢勝博氏の後任に労働基準局長から回った坂口卓氏(阪大卒昭和60年労働省入省)、定塚由美子氏の後任に職業安定局長だった小林洋司氏(一橋大卒昭和61年労働省入省)が着任しました。
労働基準局長には吉永和生氏(東大卒昭和63年労働省入省、前職・官房審議官)、職業安定局長には田中誠二氏(京大卒昭和62年労働省入省、前職・官房総括審議官)となっています。
なお、中央労働委員会事務局長は吉本明子氏(東大卒昭和60年労働省入省)で留任です。

昭和59年労働省入省組の上記2人が退官したことで、年次管理の逆転現象がほぼ解消していますが、天井のフタが取れず横滑りがめだつのが特徴です。
コロナ禍で、対策の継続性を重視したトップ2の留任が重くのしかかっているようです。

労働新聞編集長 箱田 尊文

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