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コロナショックへの対応で日本が変わる…|迷想日誌

厚生労働省がまとめた今春の民間主要企業賃上げ要求・妥結状況によりますと、平均妥結額は6286円で、前年に比べ504円減少となりました。賃上げ率にすると2.00%で、前年に比べ0.18ポイント下回っています。

「労働新聞」が年初に掲載した賃金コンサルタントの予想では2%前後を予想していたので、ほぼその通りとなっています。
ただし、年初予想では、新型コロナウイルス感染症の影響は一切加味されていません。
また、実際にも3月中旬ごろまでは、新型コロナウイルス感染症が日本経済にこれほどのダメージを与えるとは思ってもいませんでした。

大きく影響したのが、昨年10月からの消費税増税による経済の落ち込みです。
これをきっかけに、7%程度のGDP落ち込みがあり、日本経済に冷水を浴びせてしまいました。

賃上げの推移では、平成26年に13年ぶりに2%台に乗り、2.19%となりました。
その後、2.38%、2.14%、2.11%、2.26%、そして令和元年に2.18%となっていました。

結果として、アベノミクスも賃上げによるデフレ傾向の脱却・インフレ転換と日本経済の規模拡大の手前で失速し、これに新型コロナウイルス感染症の拡大が重なって主要目的を達成せずに終わってしまいまいました。残念でなりません。

簡単にいえば、鳴り物入りのアベノミクスも従来続いていた財政緊縮主義の呪縛から逃れられず、中途半端だったことが最大の原因です。
日銀による異次元の金融緩和までは良かったのですが、車の両輪としての積極的財政出動が疎かになってしまいました。

しかし、新型コロナウイルス感染症に伴う政府の経済対応は、全体としては評価できます。
6月にまとめた「骨太の方針」でも、プライマリーバランス達成目標の記述がなくなり、一旦棚上げとなったようです。
このため、積極的財政出動がようやくここで実現された結果、GDPの落ち込みは世界と比べてそれほど悪いものではなくなっています。

バブル経済の崩壊やリーマン・ショック後の政府による経済失政が、「失われた30年」を招き、経済的にも政治的にも世界的地位の大幅ダウンにつながってしまいました。
今回のコロナショックをどう乗り切るかで、さらに10年後の日本が見通せます。
正しい経済政策と来年以降の賃上げが日本を変えていくはずです。

労働新聞編集長 箱田 尊文

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