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芸人のパラドックスの話

芸人はすごく特殊で、河原者だったくせにいつの間にか大衆の中に入り込んで、市民権を得ながら何度かブームになり、いつの間にか文化として娯楽の真ん中に居座っている。

そして芸人は「やりたい事をやる為に、やりたくない事をやる」という矛盾と戦いながら成長していく。

「世の中の仕事はそうだよ」と思うでしょ?

ちょっと違うんだよな。


肩書じゃなくて生き方

芸人というのは本来「肩書きじゃなくて生き方からくる呼び名」である。

こう生きるという姿勢や理念などの個が持つ強力なアイデンティティ
自身のエンターテイメントの表現で稼ぐというアーティスト性
圧倒的自己顕示欲と承認欲求の押し付け
この辺りを提供することを労働とし対価を受け取るという、所謂「わがまま」と取られる言動と、普遍的な俗世界からの逸脱の免罪符を「己の欲求で」得て、それをスキルだと認知してもらう浅ましさ。

芸人は狂気をエンターテイメントに変えて飯を食うことができる。

芸人とは生き方で飯を食う職業だ。

これは僕の思想なので他の芸人は各々の表現で定義すればいい。

ただこれだけは言える、今の世の中だからこそ「肩書き芸人」と「生き方芸人」の違いは明白に分かれていく。


肩書きが芸人

何を指すかは明記しないが、これは「アスリートと喧嘩屋の違い」に近いかもしれん。
ルールがなくなっても戦える姿勢は大事かと。

どっちがいいかは本人が決めればいい。


狂気を金に変えること

マジで狂っていると思う。

ただ笑わせればお金をもらえるわけじゃない。
日本の芸人の9割はご飯が食べれる状況じゃないんだ。
お笑いコンテストの決勝に行っても、まだアルバイトしている芸人さんも普通にいる。

面白いと思って笑っても、芸人の狂気に対して生活できるほどのお金を払うことはほとんどない。

でも生活できてる芸人もいるよね?
あれ狂気じゃないの?

売れてる芸人は狂気じゃないの?


狂気だと思われてない

1つは「狂気じゃない」面白いことにはお金は払う。
人は幸せなら自分の富を分配してくれるからね。

2つ目は、実際は狂気なのにそれを「狂気だと認識させない。または狂気だということを薄める」こと。
狂気性をごまかすこと。

売れてる芸人はこの辺だと思っていい。


大衆に歩み寄る

ここが1つ目のポイントなんだけど、売れるためにはまず「大衆性に寄り添う」ことが大切で、とてつもなく簡単な近道である。

ただ、前述した芸人の定義でいうと、明らかに大衆性を欠く人格と思想が根本にあるので、芸人の表現したいアイデンティティは大衆性から離れている可能性がとてつもなく高いのだ。

これを押し殺して大衆性に寄り添う言動をすることは大変である。
なぜなら、芸人とは生き方を指すので、自分のアイデンティティを曲げることは「自身の否定そのもの」だから。

この発想から、若手は大衆性に寄せず尖っていて、歳を重ねるごとにアイデンティティを削りながら大衆性を身につける芸人が多い。

尖るとは「お客さんの共感度に寄り添ってない言動で、内容が非大衆的でマイノリティな、大衆性よりも自身の思想を優先させた言動」のことです。


全ては狂気のために

初心にかえろうか。
芸人は何がしたいのか。
めちゃくちゃ簡単に表現すると「好きなことだけで生活したい」のだ。

けど大衆に寄せるのは好きなことじゃないよね?
そうしなきゃ生活できないのは矛盾してるよね?

それでもアイデンティティを殺して大衆に寄せるべきだと思う。
その理由は、そうすると後々ちゃんと狂気をお金に変換してくれるから。

大衆性があると受け入れられやすい

受け入れられると人間が認知される

人間が認知されると、芸の幅が広がっても受け入れられやすい

さらに人間が認知される

この芸の幅を広げるタイミングで自身の狂気性を足していけばいい。

知らない芸人より友達の方が面白いでしょ?
あれは「面白いと認知しているから」であって、その認知があると「笑う準備を勝手にする」から必然的に面白くなる。

テレビによく出る芸人で笑いやすいのはそれもある。
あの人らの狂気に、いつの間にか慣れてしまっているんだよ。


順番を間違うな

大衆は狂気ありきじゃ受け入れない
けど芸人は狂気を見て欲しい
それなら狂気を見せる土台を作ればいい
なら先に大衆性を見せよう
そしたら最終的に「好きなことだけで生活できる」ことになるから。


狂気を捨てるな

何度でも同じことを言い続けるが、芸人とは生き方なんだ。

大衆性に寄せる方法は簡単に売れる方法であって、これを芸人らしい生き方と勘違いしないように。

自分の感性を疑うな。
いつでも芸人の姿勢を忘れるな。


システム思考

歴史を学んで現在に活かし未来を見る。
「その歴史を学び現在に活かす」ことが大衆性だと思う。
そうすることで、自分の狂気をどう未来に反映させるか見えてくるのだ。

書道も、ちゃんと書けるから崩し字が活きる。
崩し字しか書けない人はただの下手だよ。
「あの人ちゃんとした習字できるよ」という錯覚させといて、いつのまにか好きな崩し字で稼ぐ強かさこそが芸人だよ。

馬鹿正直に自分の狂気性ばっかりアピールしてる芸人は馬鹿だから。



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