記事一覧
順列階層都市 アルマエラ
順列階層都市 アルマエラ。
それは円柱状に建設された巨大な建造物であり、死の星となった地球に残された人類最後の生存圏である。
そこは富める者は上層で優雅に暮らすことができ、最上層ともなれば毎夜星屑の雨を眺めることが出来るという。
その一方、俺のような持たざる者は薄暗く汚れた下層でその日その日を這いつくばって生きなければならない。それに異を唱えた者は姿を消す。そんな話は飽きるほど聞いたし、俺の
ギャラクシー・ムサシ血風録
宇宙に点在する廃棄された居住コロニー。その中のひとつに『ガンリュウ』がある。
そのコロニーの中に今、一人の剣士が腕組みをして佇んでいる。
彼の名はスペース・コジロー。宿敵であるギャラクシー・ムサシとの決闘のためにここへ来た。
が、肝心のムサシが約束の時間をゆうに過ぎているというのに一向に姿を見せない。
(なぜだ?!)
普段は冷静なコジローの顔にも怒りの色が見える。
(まさかこれが貴様の
Beautiful World End with You
日中、空を見上げるとそこだけポッカリと切り取られたようかのように黒い円がある。それは地球のすぐ真横にあるとても小さな天体。
名を『終末天体』という。
なんとも物騒な名前であるが、それもそのはずでソレはあと数年でこの地球を滅ぼすのだそうだ。
僕がまだ子供の頃、ソレは突如現れた。あまりに唐突な天体ショーに世界中が熱狂したのを今でも覚えている。しかしその熱狂はすぐに絶対零度にまで急降下する事になっ
リピート・ミスター・デッドマン
「来ないで!!」
目の前の女が拒絶の言葉を叫び、大型のスコップの先と敵意剥き出しの瞳をこちらに向ける。
俺はダラリと下がった両腕をなんとか天へと掲げ、出来うる限りの笑顔を作った。
だが、女の顔から警戒の色が消えることはない。
俺は小さく溜息をつき、半ば諦め気味に、
『安心してくれ、襲う気なんて無い』
そう言葉を発した。発したのだが、
「ウゥゥウウ、アァァアア」
実際に紡がれたのは地
邪なる神を穿て、我が失恋
星の輝きの見えない灰色の夜空をぼんやりと眺める私の鼻先に、白く冷たいものが触れた。
「雪……」
大きなため息と共にポツリと私は呟いた。
時は12月24日夜。
クリスマスイブ。聖夜。
そんな日だというのに私はというと、誰もいない近所の公園の滑り台の頂点にずっと座っていた。
私がここにいるのはフラれたせいである。いや、正確には幼馴染のアイツが春に転入してきた女の子と付き合い出して初めてアイ
そして天使は暁に消えた
まるで天の星々が地に堕ちたかのように輝く大都会の夜景。それを眼下に見下ろす高層ビルの屋上にふたりの人物が相対していた。
ひとりは若き女捜査官。名はカノン。
女性の手には不釣合いな大型の拳銃を構えもうひとりの人物へとその銃口を向ける。
その人物の姿は異様であった。
全身を黒の外套で覆い、頭を同じく黒のフードで隠し、そしてその顔には白銀の仮面が装着されていた。
その者こそ国家転覆を企てる仮面
ロックンロール・マイ・ディア
「探偵を廃業する」
開口一番、ホームズがそう切り出した。
突拍子もないことを言うのはいつものことだが、とりあえず「何故?」と尋ねると、ウキウキした様子で部屋の奥からエレキギターを引っ張り出してきた。
「ロックンロールだよ、ワトソン。バンドをやるんだ」
「ホームズ。クスリはダメだと言ったろう」
「失礼な。今はシラフだよ」
そうか。すごく残念だ。
「メンバーだって決めてある。ギターが私、シャーロック・
マホウショージョ アゲイン
私の名は林田花。
ひょんなことからに魔法少女にされ、世界を救ったことがある。
数年......いや十数年、とチョット前の話だ。
その後は、両親と大ゲンカして家出したり、警察のお世話になったり、チャラい男とウッカリ結婚しそうになったりと、人並みの人生を送り、現在は小さな会社の倉庫番として働いている。
ある日、昼休みに事務所に戻ると、社長から「お客様が来てるよ」と言われた。
はて、誰だろうと思い
三すくみの新伝説創造記
オノはもう何杯目かも分からないテキーラをかっ食らう。
「お前らに、俺の気持ちが分かるはずねぇ!」
オノは泥酔していた。ケンとヤリは黙って聞くしかなかった。
ケン、オノ、ヤリの三人は「三すくみ」として古くから活躍しており、当の三人も熱い友情で結束していた。
だが、オノは二人にある劣等感を抱いていた。
伝説武器の欠如。
ケンとヤリには伝説で活躍する武器が多く存在する。
だが、オノにはそれが無い。
I Know Memory
とある街の薄暗い路地裏。黒髪の少女が男の眉間に銃を突きつけていた。彼女の名はジェーン。彼女の横には小型ドローンが浮遊しており、彼女とは別の少女のホログラムを投影している。
「本当に知らない? 彼女のこと」
ジェーンが無表情に問う。
「し、知らない! だから助け……」
男が最後まで喋ることはなかった。
ジェーンは汚れたジャケットを近くのゴミ箱へ放り込み、大通りへと歩を進める。
「野蛮ね」
小型ドロ
Her Rock! Heart Knock!
一流の高校へ行き、一流の大学を卒業し、一流の企業に就職しろ。
それが両親の口癖だった。
その言葉に僕も別に反抗するでもなく、それが無難な人生だろうなと日々勉学に励んでいた。
それでも、時折胸の奥が小さくざわめいた。
本当にそうなのか、と。
そんなある日の夜のことだった。
いつも通り2階の自室で机に向かっていると、ふと窓の外に人影を感じた。
その時である。
窓ガラスを派手にブチ破り、赤い髪の女
デッドエンド・アンドロイド
そうですね。仮に貴方のいう「ロボットの反乱」が起こったとしましょう。能力的に考えれば我々 A I の勝利、人類は敗北するでしょう。しかしそうすると問題が起こります。ご存知のように、現在、A I やロボットのメンテナス、ヴァージョンアップ等は人類が担っており、人類を滅ぼしてしまってはそれらに支障をきたしてしまいます。無論、新たにそれらを行うロボットを作成することもできますが、それでは現状と変わらず、
もっとみる