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Queen #3: Freddie Mercury, Brian May

Freddie Mercury - Mr.Bad Guy (1985)

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 強烈なインパクトを持つロックボーカリスト、それは声質や歌い方だったりするが、その中でもダントツにインパクトを持っている天性のコメディアン、いや、エンターティナーと云うべき、クィーンのフロントマンとして一世を風靡した完全なゲイ人、フレディ・マーキュリーその人。

 1985年リリースの初ソロ作「Mr. Bad Guy」は、もうジャケットからしておかしい。絶対普通じゃないのは中学生でも分かった。「何か違う」印象が拭えなかったが、テレビを見てノエビア化粧品のCMのバックで流れる「I Was Born To Love You」の伸び伸びとして艶やかで思い切りの良い歌声と曲のメロディは瞬間的に記憶に留めるには十分なインパクトを持っていた。それがこの人のソロ作の印象。当時このアルバムも聴いたと思うけどすぐに飽きてしまったのか、ジャケットに違和感を覚えたのか、あまり聴いた記憶がない。不思議だ。

 さて、そんな事で再度「Mr. Bad Guy」を聴いたが、総論的には実に良くできたポップな歌モノアルバムで、売れないワケない程見事だと思う。しかしフレディの歌声がここまで気持ち良く収録されていて、歌い上げているのもクィーンの作品を含めてもそんなにない。クィーンの時はもうちょっとバンドに合わせている部分もあるが、ここでは何の制約もなく思い切り歌っている。見事だ。そしてクィーン最後の作品ともなった「Made in Heaven」は正にクィーンの曲としてもおかしくない出来映えで、バックが違うと云ってもあまり違和感なく、ブライアン・メイのギターが聞こえてくる感じ。続いての「I Was Bone To Love You」はもうやはりこの80年代のドラムの音で聴くのが良い。そしてこれもまたフレディの見事な歌声が素晴らしい。

 どうしてもこのヘンの曲に集中するけど、曲のタイトル見るだけでかなり怪しいのが多い。「Man Made Paradise」とか「My Love Is Dangerous」とか。しかしどれも美しさがあるのがフレディらしくて割とクセになる。この後のバルセロナでのモンセラート・カバリエとのデュエット作「Barcelona」でもその美しさは保たれているけど、この美意識こそがフレディの貫禄だ。そしてやはり楽しく聴けるところがコメディアン。

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