見出し画像

Kate Bush

Kate Bush - The Kick Inside (1978)

画像1

 先日ピーガブについてあれこれ見てたらケイト・ブッシュと一緒にやってる「Don't Give Up」のPVに出会って、これがまた実に革新的で演劇的なビデオで、二人がずっとキツく抱き締め合って交互に歌っている。歌う時は土台が回転してそれぞれの顔が見えて、バックはデカい月で面白いなと。それでケイト・ブッシュも久しく聴いてないと思い出した。

 1978年リリースのファーストアルバム「天使と小悪魔」。日本盤と輸入盤ではジャケットが違っていたので些か混乱したけど、どうも日本独自のジャケットだったみたい。どうしてもこのピンクのタンクトップを着たケイト・ブッシュのアップの方が印象が強いが、CDではリリースされていないのかな。ウワサでは15歳の時からデヴィッド・ギルモアにその才能を見初められて、あまりにも若すぎるのでしばし様子見してから待望のデビュー。もちろんギルモアもたくさん手助けしているらしいけど、ギルモアさんこのレコーディング時期はピンク・フロイドの「狂気」を作った頃?創作意欲旺盛だった時期で、良い影響及ぼしているかもしれない。

 自分も随分若い頃にこの作品に出会って、何か妙な浮遊感を味わった。キライじゃなかったけどポップスでもないし、ロックらしいロックでもないし、何だろ?でも面白い感覚。凄く音楽的に色々なモノが詰まっている作品のイメージ。そこからン十年の間には何十回もこの名盤「天使と小悪魔」を筆頭にケイト・ブッシュの数々のアルバムを聴いてその深さを楽しんだが、今聴いてもこの鮮やかな衝撃は軽く味わえる。やはりかっ飛んだ作品ばかりを連発していたケイト・ブッシュの原点です。捨て曲が全くないし、しかも普通に一般人でも聴ける軽さも持っている。同時に不思議な事にロック好きなディープな人達にも訴えかけるロックさもある。この人はホントに独自の世界を築き上げてる。演劇から来てるから、演劇的な部分や喜劇的な音楽の創りを持っているのが特徴的だけど、そのお茶目なボーカリゼーションも独特の歌い方。

 ユニーク、という言葉が似合う。彼女の異世界に入り込むと抜けられなくなるし、音的な側面で聴いているとこれほどまでにたくさんの音色を使う作品もそうそうない事にも気付く。どうしてこんな音がここで出てくるんだ?と探求するとスタジオワークにハマる。でも、やはりケイト・ブッシュの歌声を単純に楽しむのが一番聴きやすい。きっと彼女はそういった曲それぞれが持っている演劇性を具現化したくてステージを練っただろうし、音色の世界に凝りすぎて「ドリーミング」を創っただろう。そしてあまり漏れてこないのが彼女のプライベートな側面。結婚して子供がいるのかな?どうだろ。もう50歳前後だろうから素敵なマダムになっているだろう。今や30年以上も昔となったこの「天使と小悪魔」を聴いても全く色褪せない名作なのでそれで満足しよう。しかし「嵐が丘」の美しさは群を抜いているくらい感動が溢れる曲です。

ここから先は

18,161字 / 15画像
この記事のみ ¥ 100

好きなロックをひたすら聴いて書いているだけながらも、聴くための出費も多くなりがちなコレクターの性は皆様もご承知の通り、少しでも応援していただければ大感謝です♪