【創作note】僕は分身の術が使えない

頭からお湯を被って
おかしな頭を泡立てようと思った時に
いざシャンプーがなかったら……
とびきり素敵なフレーズが浮かんだ時に
そこにメモ帳がみえなかったら……

もしもそんなことになったら
僕は路頭に迷ってしまうから
今そこにある分だけでは安らげない

もう一つのシャンプーを、もう一つのメモを、
ペンを、お茶を、折りたたみ傘を、
モバイルバッテリーを……
もう一つ、もう一つ、できればもう一つ、
もっともっと、もっと、もっと、もっと

自分自身が一人であることの不安を、
ほんの少しでもフォローするために、

明日のアップロードがなくなってしまう前に、
ここに一つの「下書き保存」を、
もう一つ、もう一つ、もう一つ、
いつか書いた詩を、いつか書き損じた詩を、
いくつも、いくつも、いくつも、
「下書き保存」(これではまだ不十分)

キッチンの底には
忘れられたいつかのレトルトカレーと
古ぼけたポエムが眠っている

#ポエム #下書き保存 #エッセイ #おやすみ

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