体験会の難しさ

8月に3回、母校であり指導先でもある東京都立東大和高校野球部の、中学生の部活動体験会のサポートをした。

バッティングとトレーニングのグループに分かれた時の、トレーニングチームの指導が私の役割だった。
時間は20~30分ほどで、人数は2~8名くらい。
高校生にもアシスタントに入ってもらうのだが、これは本当に難しいのだ。

何をやるのか、そして、どうやるのか。
体験会に来てくれた中学生は、当たり前だが、全員がそのまま、受験して、かつ野球部に入るわけではない。むしろ、翌年の春に入部してくれる選手のほうが圧倒的に少ない。

体験会の目的は、少しでも、魅力ある部活であることを伝えて、1人でも多くの選手が、「ここでやってみたい」って、思ってもらえるかなのだが、上っ面だけの雰囲気は、おそらく中学生にも伝わる。
その中の、ひとつにトレーニングもある。

短い時間で、かつ彼らの能力がわからない中で、どうやって喜んでもらえるのか。何を持ち帰ってもらうのか。

まず考えるのは、野球につながるトレーニング。
そして、これが一番難しいのだが、今日の1回限りの短時間で、選手自身が頭と身体で理解できるものを提供できるかどうか。
もちろん、劇的に変化するような魔法はないのだが、少なくても
「あー、なるほど」
「そうだったんだ」
「面白い」
「なんだか、このあとにバッティングしたら打てそう」
そんなふうに感じてもらえたら。

体験会後のアンケートを見させてもらう限りは、ポジティブな感想が多いのでホッとはしているのだが、実際に本音の部分ではどうだったのか。

ただ、個人的には、とても貴重な体験をさせてもらった。
これは、何も体験会の短時間の1回限りのセッションでなくても、同じなのだ。
セッションを受けた選手自身が、何かしら変化を感じる、ポジティブに感じた時間にならなければ、そのセッションは失敗なのだ。仮にそれが1回限りのものだったとしてもだ。

「昨日より1ミリでもいいから上手くなった、選手自身がそう感じる練習」が良い練習なのだ、言い方を変えれば、それができるのが良い指導者なのだ。

8月の中学生の部活体験会のサポートをすることで、改めて、そう思った。


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