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憎みきれないクズ男[女殺油地獄]

先ほど鬼女紅葉について書いたので今度は道楽息子与兵衛について書く。

こちらも大人気作品だ。

はっきりいって道楽息子与兵衛はクズすぎてどうしようもない。
クズになった環境は仕方ないのだが、周りのいらぬ親切がどんどん与兵衛をさらにクズしていく。
なんか悲しい。
とんでもないクズなのに、手を差し伸べたくなる。
しかしそれが与兵衛をますますクズにする。
何でこんなの大人気なんだろうと思いながら、自分もまた与兵衛についついおせっかい焼きたくなるのに気がつく。

自分の気づきと矛盾する心の動きを楽しめる作品だ。

与兵衛は与兵衛として精一杯生きたと思う。どうしようもなくクズだけど、どうしようもなく愛された。

以上感想終わり。

大阪天満の油屋、河内屋徳兵衛は番頭あがりで遠慮がちであった。それを良いことに、義理の息子である与兵衛は増長し、店の有り金を持出しては新町の遊女に入れあげる放蕩者であった。
母親のお沢と徳兵衛は懲らしめのために与兵衛を勘当したものの、小遣い銭に事欠いては不憫であるとして、同じ町内の油屋、豊島屋の女房お吉の手から密かに銭を与えていた。
それでも遊ぶ金に困った与兵衛は、金貸し綿屋小兵衛から義父の偽判を用いて一貫匁の金を借り受ける。借金を返すあてなど持っていない与兵衛は、日限に責められてお吉に急場を逃れるための無心をするが断られる。二進も三進も行かなくなった与兵衛はついにお吉を惨殺。店の掛け金を奪う。
何喰わぬ顔でお吉の三十五日の供養に列席していた与兵衛だが、天井でネズミが暴れ、殺しの現場で与兵衛がお吉の血潮を拭った古証文を落とす。それには動かぬ証拠として与兵衛の署名があり、悪事が露見した与兵衛は直ちに召し取られた。
初段。野崎観音。難波北の新地の遊女 小菊は侍客につれられ、船の野崎参りである。本天満町の油屋豊島屋の女房 お吉はすじむかいの同業ののら息子、河内屋与兵衛に意見する。与兵衛は遊び仲間の三人連れで、小菊の客の会津侍にケンカをふっかけ、高槻藩の小姓頭が殿の代参の路次にであって、その小袖に泥をはねあげ、徒士頭の叔父・山本森右衛門に押さえられ助かる。
二段。河内屋。徳兵衛は元の番頭であって、旧主の死後たのまれての入り婿であるから、与兵衛はとかく遠慮がちな徳兵衛をバカにする。与兵衛の兄・太兵衛は弟を放逐するように母にすすめる。与兵衛が金を貸さないと言って義父を足蹴にするが、母もあきれてついに家から追い出す。
三段。豊島屋。5月4日夜、亭主はかけを集めていったん帰ってまたでかけるが、その留守に徳兵衛と女房とべつべつに訪ねてきて、与兵衛に小遣いをみつごうとお吉にたのみこむ。ものかげでこれを知った与兵衛はその小遣いでは不足だとして、かねを貸せとゆすり、お吉に断られるなり、ついにお吉を店先で惨殺する。
新町・北の新地。与兵衛は、新町から新地へと遊び回る。叔父 森右衛門は意見のためにその後を追う。
豊島屋。お吉の三十五日のとむらいに、与兵衛は証拠がそろってめしとられる。

Wiki 女殺油地獄より

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