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【やってはいけない!後編】部下のモチベーションを下げる上司の特徴9選

1.部下のモチベーションを下げる上司


 「部下がやる気を出してくれない」と感じている上司の方は多いのではないでしょうか。この問題の根底には、上司が気付かないうちに犯しているコミュニケーションの失敗があるかもしれません。

 このシリーズでは、部下のやる気を削いでしまう「パフォーマンス・キラー」と呼ばれるコミュニケーションスタイル9つの特徴を解説しています。前編では「批評」「レッテル貼り」「表面的な賞賛」を述べ、中編では「相手を無視したアドバイス」「押し付け」「脅迫」をご紹介しました。

 今回は後編として、最後の3つ「転嫁」「理論武装」「元気づけ」を取り上げ、これらの問題点とその解決策について見ていきます。

2.私が部下のモチベーションを下げる上司の特徴9選を述べる理由

 私が部下のモチベーションを下げる上司の特徴9選をお伝えしている理由は、私自身がかつてそのような特徴を持つ上司であったからです。私はガソリンスタンドの運営会社に21年間勤め、13年間店長を務めましたが、部下とのコミュニケーションがうまくとれず、彼らのやる気を削いでいる時期がありました。

 その後、モチベーションやコミュニケーションについて学び、実際に現場で試行錯誤を重ねることで、部下との関係性を改善し、組織の業績を向上させることに成功しました。この経験から、上司と部下の間に良好なコミュニケーションを築くことが、組織全体の成果向上につながると強く感じています。

 現在、中小企業診断士として、同じような課題に直面しているリーダーに対し、改善のためのアドバイスを行っています。では、本題に入っていきましょう。

3.部下のモチベーションを下げる上司の特徴9選(後編)

(7)転嫁:責任の押し付けと問題の本質からの逃避

 「転嫁」とは、問題の本質から目をそらし、別の話題にすり替えることです。これは、自分の責任を回避したり、問題解決を先延ばしにしたりするための、無意識的な行動であることも少なくありません。

 例えば、部下から「職場の人材が不足していて成果が出ません」と報告を受けた際に、「それは君の能力不足じゃないか」と責任を部下に押し付けることは、典型的な転嫁です。このような対応は、部下を萎縮させ、問題解決の意欲を奪うだけでなく、上司への信頼感も失わせます。このようなパターンに陥らないためには、以下を意識しましょう。

  • 共感と傾聴: 部下の話を遮らず、最後まで聞き、共感の言葉をかける。

  • 問題の本質を明確にする: 問題の本質を一緒に考え、解決策を模索する。

  • 責任の共有: 問題解決は上司と部下の共同作業であることを意識し、責任を分担する。

(8)理論武装:一方的な論理展開でコミュニケーションを遮断

 「理論武装」は、自分の意見や考えを論理的に裏付け、一方的に相手に押し付けることです。一見、合理的で正しいように思えますが、相手の状況や感情を考慮せず、コミュニケーションを遮断してしまう危険性があります。

 部下から新しいアイデアを提案された際、「それは非現実的だ」と一蹴してしまうことは、理論武装の一例です。確かに、アイデアの実現可能性を検討することは重要ですが、相手の意見を尊重せず、一方的に否定してしまうと、部下は自分の意見を言いにくくなり、組織全体の活性化を妨げることになります。このようなパターンに陥らないためには、以下を意識しましょう。

  • 相手の意見を尊重する: 部下の意見を尊重し、異なる意見も受け入れる姿勢を示す。

  • 双方向のコミュニケーション: 相互に意見交換を行い、より良い解決策を探る。

  • 柔軟な姿勢: 状況に応じて、自分の考えを変えることも厭わない。

(9)元気づけ:空虚な励ましで問題を矮小化する

 「元気づけ」は、部下を励まそうとする行為ですが、具体的な解決策を示さずに安易な言葉で済ませてしまうと、かえって逆効果となることがあります。

 例えば、部下から「仕事で悩んでいることがある」と相談された際、「大丈夫、きっと乗り越えられるよ」と安易に励ますことは、部下の悩みを軽視しているように感じさせてしまいます。このような言葉は、部下の不安を解消するどころか、むしろ孤独感を増幅させる可能性があります。このようなパターンに陥らないためには、以下を意識しましょう。

  • 具体的なアドバイス: 抽象的な励ましの言葉ではなく、具体的なアドバイスやサポートを提供する。

  • 問題解決を支援する: 部下が問題を解決できるように、必要なリソースや情報を提供する。

4.部下のモチベーションを下げる上司の特徴9選(後編)のまとめ

 部下のモチベーションを下げる上司の特徴9選について、前編・中編、そして今回の後編を通じ、具体的な事例を交えて解説してきました。

 「批評」「レッテル貼り」「表面的な賞賛」「相手を無視したアドバイス」「押し付け」「脅迫」「転嫁」「理論武装」「元気づけ」という9つの特徴は、一見すると些細なことに思えるかもしれませんが、これらの行動が積み重なることで、部下のモチベーションを大きく損ない、組織全体の活性化を妨げる可能性があります。

 上司は、部下の話を傾聴し、共感し、具体的な行動でサポートすることで、部下の成長を促し、組織全体の目標達成に貢献することができます。

 部下とのコミュニケーションは、組織の成功を左右する重要な要素です。 上司として、部下の能力を信じ、彼らが成長できるようサポートしましょう。

なお、個別企業のモチベーションを高める方策について、ご相談も受け付けております。以下のフォームからお気軽にお問い合わせください。


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