パブリシティを活用した成功事例:費用をかけずに広告効果を得る方法
1.費用をかけずに広告効果を得る方法
広告宣伝をしたいものの費用が気がかりな小規模事業者は、パブリシティ(Publicity)の活用を検討してみてはいかがでしょうか。これは、広く知られるようにするために、メディアを通じて情報を発信することであり、原則として費用はかかりません。
この記事では、新聞という紙媒体のパブリシティを活用して、業績を向上させた小規模事業者の事例をご紹介します。この記事を最後まで読むことによって、新聞記事に取り上げてもらうための行動が分かります。
2.私がパブリシティの成功事例を述べる理由
私はガソリンスタンドの運営会社に21年間勤務し、その間に中小企業診断士の資格を取得しました。小売業の現場における豊富な経験を活かし、現在は経営コンサルタントとして仕事をしています。この経験を背景に、店舗経営において培った知識と実績を駆使して、多くの企業の支援を行ってきました。
そのような中、ある商工会から地域内の雑貨店を支援して欲しいという要請がありました。この雑貨店は売上が伸び悩んでいましたが、効果的なパブリシティ戦略を取り入れることで、新聞記事に取り上げられるなどの成功を収めました。
私は、この戦略を提案した当事者であり、このことが当事例を述べる理由となります。では、具体的な内容を見ていきましょう。
3.小規模な雑貨店がパブリシティに取り上げられるまで
(1)経営革新計画の承認取得
その雑貨店は、商圏に大型ショッピングセンターや全国展開するチェーン店が進出してきており、ネット通販の普及も相まって来店客が減少していました。特に若年層の来店が減り、昔から同店を利用する高齢層だけが来店しているといった状況でした。
このような同店が抱える「店頭販売をいかに活性化するか」「高齢層以外の来店をいかに増やすか」という課題を解決するためには、原資が必要でした。そこで、介護施設の居住者向けにお菓子や洋服などの出張販売をして、さしあたっての資金を確保することとしました。そして、この取組みを行政の中小企業支援策のひとつである「経営革新計画」にまとめ、行政から承認をもらうことにしました。
この「経営革新計画」は、中小企業が実施する新規事業の計画であり、例えば新製品や新サービスの提供、または既存製品やサービスの新たな提供方法などが対象となります。
企業がこの「経営革新計画」を作成し、都道府県の審査に通過すると、承認書が授与されます。この承認を得ることで、補助金の審査で加点されたり、特別利率融資に申し込めたりする特典があります。
介護施設への出張販売という新たな取組みを経営革新計画にまとめ、都道府県から承認を得た同店は、この承認をパブリシティに活用しました。
(2)新聞社へのアプローチ
経営革新計画が承認されたことを受け、同店は「介護施設への出張販売が都道府県知事に認められた」という内容のプレスリリースを作成しました。そして、これを11の新聞社に送付し、同社の取り組みや地域の高齢者への貢献について訴求しました。
この積極的な情報発信が実を結び、ある新聞社から取材の申し込みがあり、同店の取り組みが新聞に掲載されました。これによって地域住民をはじめ多くの方々に、同社の活動が知られることとなったのです。
さらに、この新聞記事を通じて、介護分野の業界誌から取材の申し込みもあり、この業界誌にも同店の取り組みが掲載されました。その結果、介護施設からの出張販売依頼が殺到するなど、大きな反響を呼ぶこととなります。
これをきっかけに資金を得た同店は、店頭販売を活性化させ、12年ぶりに売上を前年越えさせることとなります。この店頭販売の活性化に関する取り組みは次回の記事でご紹介します。
4.経営革新計画の承認の活用方法
なお、経営革新計画の承認を得て、新聞社に訴求すれば必ず記事に取り上げられるわけではありません。ですが「〇〇知事の承認を得た計画に基づく◇◇販売中」「当店は〇〇知事の承認を得た計画に基づいて事業を展開しています」といった告知物を作って、成果に繋げている以下の事例もあります。
5.パブリシティを活用した成功事例:費用をかけずに広告効果を得る方法のまとめ
小さな雑貨店が、メディアを活用して、新たなビジネスチャンスを掴んだ事例をご紹介しました。
経営革新計画の承認は、単に補助金や融資を受けるための手段にとどまらず、自社の取り組みを広く世の中にアピールする機会となります。今回の事例のように、メディアへのアプローチを行うことで、思わぬ形でビジネスチャンスが広がる可能性も秘めています。
中小企業が生き残っていくためには、変化を恐れず、新しいことに挑戦していくことが重要ですが、経営革新計画の作成は、その第一歩と言えるでしょう。地元の商工会や商工会議所、市区町村役場の専門家派遣制度を利用すれば、費用も掛かりません。経営革新計画の作成からパブリシティへ繋げていきましょう。
もし、貴社の経営革新計画の作成でお困りのことがございましたら、以下のリンクからお気軽にご相談ください。弊社ホームページのお問い合わせフォームへ移動します。
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