見出し画像

【売上2.2倍】ファミリー層マーケティングで成功したスポーツ用品店の事例

1.ファミリー層マーケティングの成功事例


 大手事業者の参入やネットショッピングの普及により、売上が厳しい状態の小売業は多数存在します。大手事業者は品ぞろえが豊富であったり、ネット通販業者は安値で販売したりするので、小規模店舗は太刀打ちできないと考えがちです。

 ですが、自店の主要な客層にマッチしたマーケティングを展開することによって、大手事業者やネット通販業者に対する差別的優位性を構築することが可能です。

 今回ご紹介するスポーツ用品店の主要な客層はファミリー層でしたが、手作り新聞に顧客の記念写真を掲載し、店頭で配布することによって、売上高が2.2倍になりました。この事例を詳しくご紹介していきます。

2.この記事でファミリー層マーケティングを取り上げる理由

 ファミリー層マーケティングとは、家族連れの顧客をターゲットにして、商品やサービスが売れる仕組みを構築していく活動を指します。今回の事例は、親と未成年の子どもをターゲットとしたものです。

 この事例企業は、個人で運営するスポーツ用品店であり、主に野球用品を取り扱っていましたが、大手のスポーツ用品店が近隣に進出し、売上が落ち込んでいました。

 そこで、同店は地元の商工会議所にご相談することにしました。対応した職員は、店舗ビジネスに専門性の高い弊社に同店のご支援を依頼されました。

 これは、私がガソリンスタンドという小売業の現場に21年間身を置き、在職中に中小企業診断士の資格を取得して経営コンサルタントとして16年の実績があることを踏まえたものです。

 そして、同店には親子で野球用品を買いに来る顧客が多いことに着目し、以下でご紹介するファミリー層マーケティングを展開することとなります。

3.売上を倍増させた具体的な取組み

(1)手作り新聞の構成

 同店は、ファミリー層マーケティングとして、月に1回手作り新聞を店頭で来店客に配布することとしました。この新聞は、同店のスタッフがパソコンで作成し、「店長からのご挨拶」、「専門家のコラム」、「イベント情報」、「クーポン券」に加え、「お客様の記念写真」という項目から構成されています。

 特に「お客様の記念写真」コーナーでは、前月に来店されたお客様の購買記念写真を掲載することで、リピーター獲得に繋げています。以下でその取組みを詳しく解説します。

(2)記念写真を撮影するアプローチ

 例えば、母親と子どもが来店し、子ども用のグローブを購入したとします。会計後、スタッフが母親に対して「グローブを買った記念にお母さんとお子さんが一緒に写った写真をお母さんのスマホで撮りませんか」と声をかけ、希望された場合は、お母さんのスマホを使用してスタッフが写真を撮ります。

 次に、同店の手作り新聞を手渡しながら、「当店が店頭で配布しているこの手作り新聞の来月号に掲載させていただきたいので、当店のデジカメでもう一枚撮影させてもらえませんか」と提案します。

 顧客が承諾してくれた場合は、自店のカメラでも撮影します。そして「来月1日発行の新聞に掲載させていただきますので、ご来店いただき、お受け取りください」と声をかけます。

(3)手作り新聞の波及効果

 翌月、同店店頭で新聞を受け取った親子は、嬉しそうに写真を確認します。そして、来店したついでに別の商品を買っていくケースもあり、この手作り新聞は、一見、再来店を促す取組みに思えます。ですが、この新聞はそれ以外の効果も発揮しました。

 自分の写真が掲載された新聞を受け取った子どもは、それをチームメイトにも見せたいと思い、練習時に新聞を持参します。

 新聞を見たチームメイトは、「あそこのスポーツ用品店で買い物をすると新聞に載せてくれるんだって!」と話題にし、興味を持ったチームメイトが来店し、売上増加に繋がっていきました。

 「お客様の記念写真コーナー」に10名の顧客が掲載された場合、その10名が所属するチームメンバーに広告が出来ることになるということです。仮に1チーム10名の選手がいたとすれば、単純計算で100名に広告できることになります。

 手作り新聞は、単なるチラシではなく、顧客との関係性を築くための重要なツールと言えるでしょう。

4.写真掲載の許可を得る際のポイント

 最後に、顧客の写真撮影や掲載に関するポイントをまとめます。

  • 撮影目的を明確に伝える

  • 無理強いはしない

  • 個人情報の取り扱いについて説明する

  • 掲載前に写真を再度確認してもらう

 この記事では、ファミリー層マーケティングの事例として、お客様の笑顔と満足を生み出す手作り新聞を取り上げました。ファミリー層をターゲットとする店舗は取り入れてみてはいかがでしょうか?

 なお、自社にマッチしたファミリー層マーケティングを模索する場合は、以下のリンクからお気軽にお問い合わせください。弊社ホームページのお問い合わせフォームに移動します。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?