【店舗経営】顧客層の拡大で売上アップを実現させた成功事例
1.業績悪化の打開策
コロナ禍で売上を大きく落とした店舗は数多いわけですが、新型コロナウイルス感染症が第5類になっても、客数が戻らず厳しい状況が続いている店舗も相応にあるはずです。このような場合に、顧客層を拡大することで、事態を打開できる可能性が高まります。
顧客層とは、特定の商品やサービスを購入する可能性のある人々のグループを指します。このグループは、年齢、性別、所得、職業、ライフスタイル、趣味、地域などの属性によって分類されることが多いです。
この記事では、高齢者が主要顧客層であった雑貨店が、不良在庫の利用と仕入れ先の協力で高齢者以外の客層を拡大し、売上をアップさせた事例をご紹介します。
2.私が、顧客層の拡大で売上アップを実現させた雑貨店の事例を述べる理由
私は21年間、ガソリンスタンドの運営会社に勤務し、その間に中小企業診断士の資格を取得しました。現在は、ガソリンスタンドの現場で得た経験を活かし、経営コンサルタントとして活動しています。
そんな私が、ある商工会から地域の雑貨店の支援を依頼されました。この雑貨店は売上低迷に悩んでいましたが、経営革新計画の策定、パブリシティの活用、ポイントカードシステムの導入などにより、売上高を12年ぶりに前年越えさせました。これら取組みの詳しい内容は以下のリンクをご参照ください。
同店は主要顧客層の高齢化が進んでいましたが、これら顧客がお年を召してしまうと来店客が枯渇してしまいます。つまり、高齢者予備軍や若年層といった新たな顧客層をいかに開拓するかという経営課題を抱えていました。同店は、上記の取り組みで業績を改善させることはできましたが、この課題が解決できたわけではありませんでした。
そこで、今回ご紹介する取組みでそれらの課題解決にかなり近づくことが出来ました。私はこの戦略に携わった当事者であるという点が、この成功事例をお伝えする理由です。では、具体的な内容について詳しくご紹介していきます。
3. 顧客層の拡大策
(1)ノスタルジアマーケティングの展開
同店では、長年倉庫に眠っていた不良在庫を昭和レトロ商品として大特価セールで販売しました。ちゃぶ台や畳ほうきなど、懐かしの品々がずらりと並ぶ光景は、地域住民の心を掴み、多くの来店客を呼び込みました。
昭和レトロ商品は、人々の心に深く根ざした「あの頃」を呼び覚ましましたが、若い世代の集客にも効果を発揮しました。この世代にとって、昭和レトロ商品は新鮮で興味深い存在です。SNSでのシェアや話題作りにも繋がりました。
とはいえ、昭和レトロ商品が飛ぶように売れたわけではありません。このセールはあくまでも話題性を高めて若い客層を呼び寄せる目的がありました。ただし、物珍しさで来店した顧客は手ぶらで帰ることはなく、同店で扱う他商品の販売が促進されていく効果もありました。
なお、同店が展開したノスタルジアマーケティングの詳しい内容は以下のリンクをご参照ください。
このように、集客力を向上させた同店ですが、その後まもなくコロナ禍が訪れ、集客を自粛せざるを得なくなりました。以下は、その際にとった戦略です。
(2)仕入れ先の協力
新型コロナウイルス感染症が拡大してしばらくの間は、マスクの需要に供給が追い付かなくなりました。ですが、同店はマスクの品切れを起こすことはありませんでした。
同店は、創業180年という長い業歴を誇ります。その歴史の中で、多くの仕入先を開拓するとともに、その関係性を構築してきました。コロナ禍で同店は、その仕入先1軒1軒に電話をして、マスクを1袋で良いから分けてくれないかとお願いしました。
ケース単位での販売は渋る仕入先であっても、長い付き合いの同店が「1袋だけ」とお願いすると、協力してくれる仕入先がいくつかありました。1袋であっても100件の仕入先が協力してくれれば100袋の品ぞろえができることになります。
このような取組みでマスクの在庫を切らすことのなかった同店の情報を、顧客がSNSで拡散し、顧客層を拡大することに繋がっていきました。
5.顧客層の拡大で売上アップを実現させた小売店の成功事例のまとめ
同店の事例から学べるポイントは、不良在庫をマーケティングのために活用することと、多数の仕入先との強固な関係を築くことです。
ノスタルジアマーケティングを駆使して昭和レトロ商品を大特価セールで販売することで、中高年層だけでなく若年層も引き寄せ、話題性を高めました。
また、多数の仕入先の協力により、コロナ禍でも安定したマスク供給を実現し、顧客層の信頼を得ることができました。そして、これらの取り組みは、顧客層の拡大に繋がっていきました。
この記事が、皆様の経営における一助となれば幸いです。なお、小規模店舗の顧客層拡大に関するお問い合わせは以下のリンクからお寄せください。
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