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飲食店が紙媒体のパブリシティで成功した事例 

1.費用をかけないで広告宣伝をする方策


 多くの小規模事業者は、広告宣伝に費用をかけることに不安を抱きます。効果が見えにくく、費用対効果が不確かであるためです。しかし、そんな時には、費用をかけずに広く情報を発信できる「パブリシティ(Publicity)」の活用を検討してみてはいかがでしょうか。パブリシティは、メディアを通じて無料で情報を伝える方法です。

 本記事では、市役所の広報誌という紙媒体を使ったパブリシティによって業績を向上させた小規模事業者の成功事例をご紹介します。この記事を最後までお読みいただくことで、役所の広報誌に取り上げてもらうための具体的な方策を知ることができます。

2.私が、紙媒体のパブリシティで成功した飲食店の事例を述べる理由

 私はガソリンスタンドの運営会社に21年間勤務し、現場に身を置いてきました。在職中に中小企業診断士の資格を取得し、その後経営コンサルタントとして独立し、現在に至ります。このように店舗の現場経験が豊富であることから、店舗を構えてご商売をする事業者へのご支援に専門性があります。

 この専門性を見込んだある市役所から支援要請を受けた私は、今回ご紹介する飲食店をご支援することになりました。この記事は、私がご支援をする中で、同店がどのようにパブリシティに繋げていったのかをご紹介するものであり、私がこれらの取り組みを提案した当事者であることが、この事例を述べる理由となります。

3.小規模な飲食店が紙媒体のパブリシティに取り上げられるまで

(1)情報発信の強化

 同店は創業4年目で女将とパートタイマー3名で運営する居酒屋です。より事業を拡大したいとの思いで、市役所に経営相談に訪れました。市役所から支援要請を受けた私は、同店が情報発信をほとんどしていなかったことを知り、ブログとSNSを用いて毎日情報発信することをお勧めしました。

 ただし、闇雲に情報発信するのではなく、ブログではストック型情報を、SNSではフロー型情報を発信することが効果的と言えます。以下でこれらの情報を説明していきます。

  • ストック型情報
    一度作成された後に基本的には変化せず、長期間にわたって参照され続ける情報。この情報は、専門性をアピールするのに適しており、ブログを活用して検索結果に表示されることを狙います。居酒屋におけるストック型情報の例として、特定の料理のレシピや、店主が選んだ地酒の紹介記事などがあります。

  • フロー型情報
    時間の経過とともに変わり続ける新しい情報。日々の出来事や近況を伝えるのに適しており、SNSのタイムラインに表示されることで、近況報告を狙います。居酒屋におけるフロー型情報の例として、季節ごとのおすすめメニューや日替わりの料理の紹介、当日の仕入れ状況による特別メニューのお知らせなどがあります。

 同店は、発信する情報をこの2種類に切り分け、ブログとSNSで毎日情報を発信して集客力を向上させていきました。

(2)店舗改装

 同店は老朽化が進んでおり、小上がりの畳はかなり傷んでいました。さらにトイレは和式であり、使い勝手が良いものではありませんでした。そこで、当市の店舗改装に使える補助金を活用して、畳を入れ替え、トイレを洋式に改装しました。

 顧客は「畳が新しい」という理由や「トイレが洋式」という理由で訪れる居酒屋を決めるわけではありません。ですが、「畳が古くて何となく不潔」、「トイレが和式で使いにくい」ということは、同店を訪れない理由にはなり得ます。同店は、顧客が訪れない理由を潰し、集客力を向上させていきました。

(3)メニュー開発

 同店の女将はある地方の出身であり、その地方に住む親戚がいるため、地元ならではの食材を手頃な価格で調達することが可能でした。

 新メニューの開発においては、他店では提供できない独自のメニューを検討することが重要です。この視点から、女将の出身地でしか手に入らない食材を使用し、その地方の郷土料理を提供するのは効果的な戦略です。

 そこで、いくつかの郷土料理を新たなメニューとして導入しました。そして、これまで文字のみで構成されていたメニュー表に変更を加え、上部に郷土料理の写真を掲載して視覚的にアピールしました。また、新メニューを紹介するチラシを作成し、周辺地域に配布しました。

 同店は、このように同店でしか提供できないメニューを開発し、集客力を高めていきました。

4.小規模な飲食店が紙媒体のパブリシティに取り上げられた理由

 同店は、上記の取り組みを行うことで、業績を確実に向上させていきました。市役所としては、経営相談を通じて業績が上がったという成功事例を手にすることが出来たと言えます。市役所の経営相談が税金の無駄遣いではないということもアピールする必要がありました。そこで、市役所の広報誌で同店を取り上げることとなりました。

 そして、女将にインタビューをして、市役所に相談に来た背景や、専門家派遣で変化したことなどを広報誌に掲載しました。これは同店にとっては無料の広告宣伝になり、さらに集客力が向上することとなり、結果として売上が倍増しました。

5.小規模な飲食店が紙媒体のパブリシティに取り上げられた事例のまとめ

 この記事では、パブリシティを活用することで、無料で効果的な広告宣伝を実現し、店舗の魅力を広く伝えることができた小規模飲食店の成功事例を紹介しました。専門家の意見を取り入れ、ブログやSNSによる情報発信、店舗の改装、独自のメニュー開発といった取り組みを行い、集客力を向上させたからこそ、市役所の広報に掲載されたと言えます。

 同店は、行政の支援制度を活用して、業績を向上させることで、パブリシティに繋がるという好循環を実現させました。ぜひ、ご自身の店舗でも取り組んでみてください。

 もし、集客力向上という課題を抱えている場合は、以下のリンクからお気軽にご相談ください。


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