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傾聴できないリーダーが抱えがちな「反応準備バイアス」とは

1.リーダーの傾聴を阻む思い込み

 経営者やリーダーとして、部下とのコミュニケーションは欠かせないものですが、会議や面談中に部下の声へ耳を傾けられない瞬間があるのではないでしょうか?実は、その背景には「反応準備バイアス」といった思い込みが潜んでいる可能性があります。

 バイアスとは、人が物事を判断したり意思決定を行ったりする際に影響を与える偏りや思い込みのことを指し、様々な種類があります。バイアスは、個人の経験、信念、感情、文化的背景などによって形成されるため、特定の情報や視点を重視し、他の情報を軽視する傾向が生じます。

 当記事ではバイアスのひとつ「反応準備バイアス」がどのように傾聴を妨げ、どう対策をとるべきかを以下で見ていきますが、その前に私がこのテーマを取り上げる理由について見ていきます。

2.私が傾聴できないリーダーが抱えがちな「反応準備バイアス」を述べる理由

 私が傾聴できないリーダーが抱えがちな「反応準備バイアス」を述べる理由は、このバイアスを克服した経験を多くの方にお伝えしようと考えたためです。

 私は21年間ガソリンスタンドの運営会社に勤務し、うち13年間は店長を担いました。当初、店長経験が浅かった私は、反応準備バイアスによって部下の話を十分に傾聴できず、自分の指示や命令を押し付けるようなリーダーシップをとっていました。このような姿勢は、部下のモチベーションを下げ、チーム全体のパフォーマンスにも悪影響を及ぼしていました。

 しかし、在職中に中小企業診断士の受験勉強を始め、コーチングに出会ったことで私自身のリーダーシップスタイルに大きな変化が訪れました。特に、「傾聴」の重要性を学び、部下の意見に耳を傾けることの価値に気づいた結果、部下のモチベーションが向上し、チームのパフォーマンスや売上にも好影響が現れました。

 現在、中小企業診断士として経営コンサルティングを行う中でも、この「傾聴」の姿勢を大事にしています。実際に問題を抱えたクライアント企業の経営者やスタッフの話を傾聴することで、本人が解決策を見出せることも少なくありません。

 以下では、「反応準備バイアス」の内容とその克服方法について詳しく見ていきます。

3.傾聴できないリーダーが抱えがちな「反応準備バイアス」

(1)反応準備バイアスとは

 「反応準備バイアス」は、相手が話している途中で、自分は次に何を言おうかと考える傾向です。このバイアスにより、相手の話の内容に対して十分に集中できなくなります。上司が部下の話を聞きながらも、自分が次に何を言うかを常に考えているため、「傾聴しているふり」の状態を生み出し、コミュニケーションがうまくいかなくなる原因になります。

 私は、ガソリンスタンドの店長として部下と面談をする際に、このバイアスが働き自分の発言を考えながら部下の話を聞いていた時期があります。部下にしてみると、自分の話をきちんと聞いてもらえた感が薄く、面談の効果は高くなかった印象があります。

 私は、このバイアスを排除するべく、頭の中を空っぽにして、ただただ部下の話を聞くことを意識しました。ですが、頭の中を空っぽにしようと頑張れば頑張るほど、何を言おうか考えてしまいます。そこで、以下の対応をとりました。

(2)反応準備バイアスを克服するために

 私は、頭の中を空っぽにしようと頑張るのではなく、以下の行動を意識的に取るようにしました。

  • 相手の話に対して、頷いたり相槌を打ったりすること。大きさや頻度を変え、単調な頷きや相槌にならないようにしました。

  • 相手の話でポイントとなる部分を繰り返すこと。相手の話を全て復唱するのは現実的ではありませんし、意味も大きくありません。話のポイントになると判断したキーワードやフレーズをそのまま繰り返しました。

  • 相手の話を自分の言葉で言い換えること。これにより、相手の話の中で、理解できていない部分が明らかになり、その説明をもらうことで、理解が深まります。

 これらの行動を意識することによって、相手の話に参加する姿勢が強まり、結果として頭の中が空っぽになりました。より詳しい内容については、以下の記事を参考にしてください。

4.傾聴できないリーダーが抱えがちな「反応準備バイアス」のまとめ

 傾聴できないリーダーが抱えがちな「反応準備バイアス」は、コミュニケーションの質を低下させ、組織全体の成長を阻む大きな要因です。自身の思い込みに気づき、自らの態度を見直すことが、真のリーダーシップにつながります。

 傾聴を通じて新たな気づきを得ることで、より良いリーダーシップを発揮できるでしょう。今後のコミュニケーションに、反映させてみてください。

 なお、リーダーの効果的な部下との接し方について、個別のご相談も受け付けています。以下のフォームからお気軽にお問い合わせください。


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