オープンクエスチョンでコミュニケーションを高める方策
1.オープンクエスチョンを用いてコミュニケーションの質を高める
部下や同僚とのコミュニケーションを改善し、より深い信頼関係を築きたいと思いませんか?その鍵となるのが、相手の考えや感情を引き出す「オープンクエスチョン」です。
オープンクエスチョンを効果的に活用することで、相手が話しやすくなり、意見やアイデアが自然に引き出され、建設的な対話が生まれます。今回は、私自身の経験を交えながら、オープンクエスチョンの使い方とそのメリットを解説します。なお、本題に入る前に私がオープンクエスチョンを取り上げる理由について見ていきます。
2.私がオープンクエスチョンをテーマにした記事を書く理由
私がオープンクエスチョンについて書こうと思った理由は、私自身がかつて、この質問技法を用いて、部下とのコミュニケーションを改善できた経験があるからです。
21年間、ガソリンスタンドの運営会社に勤務し、うち13年間は店長を務める中で、店長経験が浅かった頃の私は、部下の話を聞けていませんでした。そんな私が、部下に適切なオープンクエスチョンを投げかけることを意識したことで、コミュニケーションは改善していきました。
今、中小企業診断士として様々な経営者の方々とお会いする中で、この経験が役立っていることを実感しています。そこで、かつての私と同じようにコミュニケーションに悩んでいる方のために、オープンクエスチョンの力を伝えたいと考え、この記事を書くことにしました。
3.オープンクエスチョンとは
質問には回答がYes・Noに限定されるクローズドクエスチョンと、Yes・Noに限定されず、自由に意見を述べられるオープンクエスチョンがあります。
クローズドクエスチョンは、相手との関係性が浅い場合や、確認を取りたい場合に有効とされています。これに対してオープンクエスチョンは、深く考えてもらいたい場合や、意見を引き出したい場合に有効とされ、コミュニケーションの質向上に繋がりやすいと言えます。
例えば以下の質問はクローズドクエスチョンの例です。
朝食は摂られましたか
こちらへはお車で来られたんですか
最近、いいことありましたか
休日はとられてますか
スマホはお持ちですか
コーチングを活用したことがありますか
これに対して以下の質問はオープンクエスチョンの例です。
朝食は何を食べたんですか
車はどこに置かれたのですか
どんないいことがあったのですか
前回はいつ休日がとれたのですか
スマホを持つきっかけは何ですか
コーチングをどのように活用されたのですか
部下の話を聞く場合には、オープンクエスチョンが降ってくるまで、ひたすら「頷き・相槌」「繰り返し」「言い換え」をしながら聞き続けることが有効です。以下では、私が経験した事例をご紹介します。
4.オープンクエスチョンの事例
私がガソリンスタンドの店長を担っていた頃、ある若手社員が商品販売に苦戦していました。そこで、私は彼との面談の機会を設け、彼の悩みをひたすら傾聴しました。その中で降ってきた以下の質問を投げかけました。
「ガソリンスタンドで販売する商品の中で、最も自信のあるものは何ですか?」
彼は「タイヤです」と答えました。これをきっかけに、彼はあれもこれもではなく、タイヤだけを集中的に販売することとし、業績を大幅に伸ばすことができました。
この面談で私が予めアドバイスを準備していたり、回答がYes・Noに限定されるクローズドクエスチョンばかり投げかけていたりしたとしたら、良い結果は出なかったかもしれません。
この事例では、まずオープンクエスチョンを投げかけることだけを決め、あとは適切なオープンクエスチョンが降ってくるまでひたすら傾聴したことがポイントとなります。
5.まとめ:オープンクエスチョンでコミュニケーションを高める
オープンクエスチョンを活用することは、コミュニケーションの質を高めるために非常に効果的です。傾聴の結果、降ってきたオープンクエスチョンで、部下の成長を促進し、信頼関係を深めることが可能になります。
コミュニケーションは双方向のプロセスであり、オープンクエスチョンを使うことで、より豊かな対話が生まれ、チーム全体のパフォーマンス向上にも寄与します。オープンクエスチョンを日常のコミュニケーションに取り入れ、反応準備バイアスを克服し、より良い人間関係を築いていきましょう。
なお、質問などコーチングを駆使した人材育成に関するご相談も受け付けております。以下のフォームからお気軽にお問い合わせください。
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