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鬼気迫るアル・パチーノの演技から目が離せない~「スカーフェイス」

日本ならばヤクザ映画、欧米ならマフィア・ギャング映画。
実際の社会では忌避すべき存在を描く映画なのだが、すたれることなく名作が生まれてくるのはなぜなのだろうか。
今回はマフィア映画の傑作の名高い、1983年公開「スカーフェイス」

マフィア映画と言えば、アル・パチーノである。何といっても、ゴッドファーザーシリーズでその名を知らしめ、その後のキャリアも数多くのマフィア映画に出演し続けてきた。
本作では、ゴッドファーザーのインテリ臭漂うマイケルとはまた違った、泥臭いキューバ流れのチンピラを演じきっている。そもそも目がイっちゃってる。。見るからにアブなそうなヤツなのだ。

マフィア映画では成り上がりの過程を描く作品も少なくないのだが、そういう作品って案外学ぶところが多い気がする。この世界は理というより情が色濃い世界。でもそういう人間同士のつきあいは当然我々カタギの世界でも必要なわけで、彼らの濃密な情の世界での立ち居振る舞いが勉強になったりする気がするのだ。

このスカーフェイス、よく語られるのはラストの銃撃戦のシーン。アル・パチーノ演じるトニーが追い詰められて、マシンガンで襲ってくる敵を撃ちまくる場面だ。しかし、最後はあっけなく背後から撃たれて、唐突に幕を下ろす。まるで打ち上げ花火のような終焉。この場面を描くために約3時間にわたって描いてきているかのようでもある。

ただ、上り詰めていくところはよいのだが、凋落していくところはやや性急な印象もあったかな。ボスから奪ってまで結婚した妻との関係も、もっと深掘りしていくかと思いきや、うーん。。という感じで。

ジェットコースターのような栄光と挫折を追体験するという点では、刺激的な作品ではあったと思う。

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