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キミも○○で夢を叶えないか!レノファ山口を経て巣立った男たち

 (・∀・)やあ

 (・∀・)今年も悲しい季節がやってきましたね

 選手を引っこ抜かれるのは弱小クラブの常…とはいえ悲しいことばかりでもありません。選手を抜かれるというのはそれだけ、クラブが選手を輝かせていることでもあります。そしてステップアップを目指す新たな選手が門をたたく。市場が回っていくなかで、ある意味では流れに乗れているわけです(移籍金がちゃんと取れていれば)。

 そんなわけで、レノファもすっかり登竜門みたいな立ち位置が定着してきたわけですが、ここらでそれを整理してみましょう。紹介する選手は「レノファを経由してJ1以上にステップアップした選手たち」です(・∀・)

■小池龍太(こいけ・りゅうた)

【経歴】横河武蔵野ジュニア→JFAアカデミー福島
 2014(JFL)レノファ山口
 2015(J3)レノファ山口
 2016(J2)レノファ山口
 2017(J1)柏レイソル
 2018(J1)柏レイソル
 2019(ベルギー2部)スポルティング・ロケレン

 やはりレノファ経由のシンデレラストーリーといえばこの選手。エリートプログラムJFAアカデミーに入りながら、どこにも行く当てがなく山口へ流れついた男。ただやはり才能はただものではなく、2014シーズン終了後に「すぐにでもJ2で通用する」と書いたのだが、それをはるかに超えてJ1、海外までの立身出世。当時よくお世話をしていた人も「意識が違っていた」とのことで、まだまだ上を、日本代表入りと欧州4大リーグを目指して欲しい。


■庄司悦大(しょうじ・よしひろ)

【経歴】清水商業高→専修大学
 2012(J2)FC町田ゼルビア
 2013(JFL)FC町田ゼルビア
 2014(J3)FC町田ゼルビア
 2015(J3)レノファ山口
 2016(J2)レノファ山口
 2017(J2)FC岐阜
 2018(J1)ベガルタ仙台
 2018(J2)京都サンガ(loan)
 2019(J2)京都サンガ

 2015シーズン、初めてJリーグに挑戦したレノファ山口。上野体制2年目にして、そのサッカーを完成させたのが庄司だった。2016オフの岐阜移籍は周囲を驚かせたが、まあいろいろあった。2018年は満を持してJ1に挑戦するが、出場機会を得られず。[4-1-2-3]のアンカーで司令塔をさせるのがベスト、という選手なのでフィットしなかったのか…。もう30歳になるが、このまま落ち着いてしまうのも勿体ない。来季は京都でもう一度昇格を目指すことに。


■島屋八徳(やっさん)

【経歴】折尾愛真高→宮崎産業経営大
  
2012(JFL)HOYO AC ELAN大分
  2013(JFL)HOYO大分(名称変更)

  2014(JFL)レノファ山口
  2015(J3)レノファ山口
  2016(J2)レノファ山口
  2017-18(J2)徳島ヴォルティス
  2018(J1)サガン鳥栖
  2019(J2)徳島ヴォルティス(loan)

 そのひょうきんなキャラクターと、走・攻・踊の3拍子揃ったプレーで人気を博したアタッカー。当時はそんなに上手い選手だと思ってなかったんだけど、2016のゴール集とか見返すとめちゃめちゃ上手い。当時の私は今以上に見る目が無かった。
 鳥栖では出場機会を得られなかったが、ポジショナル要素の強いチームならJ1でもまだチャンスがあると思う。頑張れ。


■福満隆貴(ふくみつ・たかき)

【経歴】出水中央高→九州総合スポーツカレッジ
 2012(JFL)HOYO AC ELAN大分
 2013(JFL)HOYO大分(名称変更)
 2014(JFL)ヴェルスパ大分(名称変更)
 
2015(J3)レノファ山口
 2016(J2)レノファ山口

 2017-19(J1) セレッソ大阪
 2019(J2)水戸ホーリーホック(loan)

 「キャノンの工場でカメラの部品作ってた」エピソードはもうだいたい浸透しただろうか。地域リーグからJ1まで、すべてのカテゴリーでゴールを挙げてきた男。ついでにセビージャからも得点した。あらゆる能力が高い万能型アタッカーで、なんでこんな男が眠っていたのかという話だが「移籍して周りのレベルが上がることで自分も開花してきた」面もあるらしい。サッカー選手は本当に環境ひとつで変わる。
 ロティ―ナ体制になって出番が激減してしまったが、なんとかJ1でもう一度頑張って欲しい。


■一森純(いちもり・じゅん)

【経歴】セレッソ大阪U-18→関西学院大
 2014(JFL)レノファ山口
 2015(J3)レノファ山口
 2016(J2)レノファ山口
 2017-19(J2)ファジアーノ岡山
 2020(J1)ガンバ大阪

 栄光のセレッソユースで育ちながら、怪我によりエリート路線を外れる。2014年時点からすでに「勝ち点の取れるキーパー」ではあったが、脆さもあった。当時のレノファにはゴールキーパーコーチもいなかった。ユース時代もいなかったとかなんとか。岡山でようやく、みっちり指導を受けスケールアップを果たしてついにJ1挑戦。最大の強みはやはり足元なので、ガンバもしっかり繋ぐサッカーにチャレンジして欲しい。


■中山仁斗(なかやま・まさと)

【経歴】大阪産業大学附属高→大阪産業大学
 2014-15(J3)ガイナーレ鳥取
 2016(J2)レノファ山口FC
 2017-18(J2)モンテディオ山形
 2019(J1)ジュビロ磐田

 わずか1年の所属だったが、その左足と美声で強烈なインパクトを残した。あと結構オシャレ。レノファ時代にハットトリックを決めた際の「膝スライディングセレブレーション」で負傷するなどやや負傷癖があるが、順調にステップアップ。磐田は降格となってしまったが来季はどうなるのだろう。
 余談だが、2016年のシーズンDVD特別対談は島屋・福満・中山の3名で収録されたが、発売後に全員いなくなった、、、


■小塚和季(こづか・かずき)

【経歴】帝京長岡高
 2013-14(J1)アルビレックス新潟
 2014(JFL)レノファ山口(loan)
 2015(J3)レノファ山口(loan)
 2016(J1)アルビレックス新潟
 2017(J2)レノファ山口(loan)
 2018(J2)ヴァンフォーレ甲府
 2019(J1)大分トリニータ

 レノファ史上最高のファンタジスタ。もともとJ1の選手だが、レノファが育てたと言っても過言ではない。というか大変お世話になりました。山口をJ2まで引き上げて新潟へ凱旋するが、吉田達磨さん解任により再び戻ってきた山口大好きっ子。その2017年は小塚がいなれば絶対に降格していた。
 来季は浦和移籍という噂もあるが、やっぱり海外を目指して欲しい。


■香川勇気(かがわ・ゆうき)

【経歴】滝川第二高→阪南大
 2015(J3)レノファ山口
 2016(J2)レノファ山口
 2017(J2)レノファ山口FC
 2017(J2)V・ファーレン長崎
 2018(J1)V・ファーレン長崎
 2018(J2)東京ヴェルディ(loan)
 2019(J2)V・ファーレン長崎

 その爽やかさから「空気清浄機」の異名をとった左サイドバック。そもそもなんで山口に来たのかという経歴だが、ともかくも開幕スタメンを飾り、新人ながら強烈なインパクトを残した。攻撃のスイッチを入れるナナメのパス、状況に応じたポジショニング、豊富な運動量に守備力とあらゆる能力が高く、左サイドバックに困っているクラブ、特にボールを保持したいクラブは絶対に獲得すべき選手。というかウチが欲しい。


■星雄次(ほし・ゆうじ)

【経歴】横浜F・マリノス ユース→法政大学
 2015(J3)福島ユナイテッド
 2016-17(J2)レノファ山口
 2018(J2)大分トリニータ
 2019(J1)大分トリニータ

 星ツインズの弟のほう。レノファの「トラウマ解消補強」「J3オールスターズ化」のはしりとして獲得され、大いに戦果を挙げた。大分でJ1リーガーにステップアップしたが、J1の今季は出番に恵まれず。山口でもう一度夢を叶えないか。


■小野瀬康介(おのせ・こうすけ)

【経歴】 横浜FCユース 
 2012-16(J2)横浜FC
 2017-2018(J2)レノファ山口
 2018(J1)ガンバ大阪

 小野瀬については以前みっちり書いたのでこちらを参照してもらえれば…。


■御簾納将(みすの・まさる)

【経歴】専修大学松戸高→立教大→筑波大大学院
 2015-16 筑波大学蹴球部
 2017(J2)レノファ山口
 2018(J1)サンフレッチェ広島

 選手ではないですが、現テクニカル武石コーチの前任者。2017年に山口へやってきて、翌年は無事にサンフレッチェに引き抜かれ?ました。この辺りの事情はちょっとよくわからないが、ステップアップということで。


■オナイウ阿道(おないう・あど)

【経歴】正智深谷高
 2014-16(J2)ジェフユナイテッド千葉
 2017(J1)浦和レッズ
 2018(J2)レノファ山口(loan)
 2019(J1)大分トリニータ(loan)

 小塚と同じくレノファで「這い上がった」選手ではないが、それまで4シーズンで10ゴールだった選手が22ゴールを挙げたわけで、育てたと言っていいだろう。持て余していたポテンシャルをついに覚醒させたというべきか、今季はJ1でも10ゴール。来季はとうとう浦和でオナイケするのか。


■高木大輔(たかぎ・だいすけ)

【経歴】東京ヴェルディユース
 2013-17(J2)東京ヴェルディ
 2018(J2)レノファ山口(loan)
 2019(J2)レノファ山口
 2019(J1)ガンバ大阪

(追記)すみません、完全に忘れていました…懺悔。もちろん、レノファでの彼の活躍を忘れるわけがない。1年と半年、大ちゃんはチームのために死ぬほど走ってくれた。問題は夏以降である。ガンバよ…何のために獲ったの…?
 シーズン途中にぶっこ抜いておきながら、出場はわずかに2試合7分。あげくU-23ですら1試合しか出場していない。これをステップアップと呼んで良いものか。そもそも宮本監督の要望した選手だったのか。来季は一体どうなるんだ。


■三幸秀稔(みゆき・ひでとし)

【経歴】JFAアカデミー福島
 2012(J2)ヴァンフォーレ甲府
 2013(J1)ヴァンフォーレ甲府
 2014(J3)SC相模原
 2015 ※無所属
 2016-19(J2)レノファ山口
 2020(J1)湘南ベルマーレ

 はい、本日出荷報告がありました。思いはツイートで吐き出したのでこちらで、、、

 ちょっと表現がアレでしたが、替えが効かないが故に、少々アンタッチャブルになってしまっていた感もあった。来季はコンディションを整えて、J1の荒波で存分に力を発揮して欲しい。


■前貴之(まえ・たかゆき)※12/24追記

【経歴】コンサドーレ札幌ユースU-18
 2012(J1)コンサドーレ札幌
 2013(J2)コンサドーレ札幌
 2014(J2)カターレ富山(loan)
 2015-16(J2)コンサドーレ札幌
 2017(J2)レノファ山口(loan)
 2018-19(J2)レノファ山口
 2020(J1)横浜F・マリノス

 移籍当初は前年に柏へ移籍した小池龍太と比較され、あまり評価が高くなかった。開幕からスタメン起用されるも、9節千葉戦で(微妙な判定ではあったが)決勝PKを献上。以降は控えに回り、左で起用されたり、システム変更で適性外のウイングバックに回されたりと便利使いで終わってしまう。ただ体制変更となった2018年からは本領を発揮。とにかく「賢い」選手なので、J1のパワーとスピードに慣れさえすれば間違い無くマリノスに適合する選手だ。


■菊池流帆(きくち・だびど・りゅうほ)※12/24追記

【経歴】青森山田→大阪体育大
 2019(J2)レノファ山口
 2020(J1)ヴィッセル神戸


■藤嶋栄介(えいちゃん/おやかた)※12/30追記

【経歴】大津高等学校→福岡大学
 2014-15(J1)サガン鳥栖
 2016(J2)ジェフユナイテッド市原・千葉(loan)
 2017(J2)松本山雅(loan)
 2018(J2)レノファ山口
 2019(J1)川崎フロンターレ(loan)
 2020(J1)川崎フロンターレ

 昨年時点では期限付き移籍だったのでこの記事からは除外していたが、晴れて完全移籍という事で追記。なぜ今季は期限付きだったのかはよくわからない。もともとJ1の選手だが鳥栖時代は僅か3試合しか出場がなく、ローン先の千葉・松本でも出場無し。なので、レノファで名を上げたということで良いだろう。2018シーズン開幕前の熊本キャンプに練習生として参加し契約を勝ち取ったが、キャンプを見学していたわたしはそれが藤嶋と知らずに「あの練習生の学生さん?上手いから獲ったほうが良いのでは…」などと意味不明な供述をしていた。失礼しました。
 来季から正式に川崎の一員となるが、まずはルヴァンのベンチに入れるかというところからスタートだろう。頑張って欲しい。


■番外編 Jリーグアンダー22選抜

 最後は番外編ということで、かつてJ3に存在した「Jリーグアンダー22選抜」について。レノファは2015年にこの金の卵たちと3度対戦し2勝1分、11得点無失点とボコボコにしました。この悔しい経験をバネにした若手の多数がのちに欧州移籍、フル代表入りを果たしています。ここでもレノファが一役買ってるんですね(違います)。

【2015年3月21日】○8-0
[GK] 高木和徹
[DF] 茂木力也、木下高彰、板倉滉、小川諒也
[MF] 坂井大将、望月嶺臣、石毛秀樹、杉森考起
[FW] 北川航也、柳下大樹
[SUB] 吉丸絢梓、野澤英之、鎌田大地、邦本宜裕、田代容輔
【2015年5月31日】○3-0
[GK] 牲川歩見
[DF] 平尾壮、畠中槙之輔三浦弦太、高山和真
[MF] 上原力也、石井圭太、田鍋陵太、幸野志有人、和田達也
[FW] 三根和起
[SUB] 田尻健、邦本宜裕、西村拓真、杉森考起
【2015年11月13日】△0-0
[GK] 櫛引政敏
[DF] 前寛之、進藤亮佑、茂木力也、佐藤和樹
[MF] 望月嶺臣、和田達也、斎藤翔太、前川大河、汰木康也
[FW] 石田雅俊
[SUB] 高丘陽平、水谷拓磨、清本拓己、柳下大樹、大島康樹


■おわりに:なぜレノファに来ると成長できるのか?

 そもそもがお金の無い地方クラブなので、嫌でも選手はステップアップしてしまう。それでも歴史が浅いなかで、上位カテゴリにこれだけ選手を供給している理由は二つある、と思う。

(1)指導力

◇上野時代(2014~2017)
 当時は本当にお金がないので、傷物の新卒と下部リーグからの引き上げが主だった。しかしトレセンコーチも務めていた上野監督のパイプ、相馬眼でもって戦術に適合する選手を集めた。上野レノファのサッカーを乱暴に解説すると「よりパターンプレーに重きを置いたポジショナルプレー」とでも言うべきか。プレー原則ではなく「原則の詰め込まれたパターンプレー」の習得に時間を費やした。なので超速の連携プレーが炸裂するときもあれば、同じ絵が描けないと意味不明な連係ミスも生まれることも。覚えることは多いが、身に着けて行けば自然と判断が自動化され、より速いプレーと連携が可能となる。そうして選手が鍛えられていった。そして何より、下でくすぶっていた、怪我などで挫折を味わった選手たちは真摯なハングリーさがあった。

◇霜田時代(2018~)
 こちらはより「プレー原則」に重きを置いている、と思う。上野時代のような必殺の連携はなかなか炸裂しないが、上野サッカーに混乱気味だった小野瀬や、ポテンシャルを持て余していたオナイウらは個人戦術が大きく向上した。このあたりは霜田監督を始めとしたコーチ陣と指導の賜物ではないかと。

(2)引き留める力の弱さ

 お金が無いのが一番だが、それ以外にも環境面だったり、歴史の浅さゆえのバックアップ体制の不足というか、ちょっと上手く言えないのだがまだまだ足りないものだらけなのが現状だ。現状では、なまじ選手を育てる力が強いだけに流出のサイクルが早くなりすぎてしまっている。

 「ちょっとくらいお給料安くても…」「同じくらいの条件なら…」と選んでもらえる環境を少しずつ積み上げていかなければならない。これはすぐにできる事ではない。ファンも我慢が必要だ。
 ただ、山口の居心地の良さというか、出ていく選手を裏切り者とそしらない、暖かく送り出す文化は「入」のほうのサイクルに一役買っていると思う。これはそのまま続けていくべき文化で、同時にクラブの「出」への対策を暖かくも厳しい目で見守っていく必要があるだろう。

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