FC東京vs川崎フロンターレ~用意したデザインを結果に~[Jリーグ第26節]
26節は多摩川クラシコ。6月のおわり以来約1ヶ月ぶりの味スタです。鬼門川崎に鬼門味スタ。鬼門×鬼門です。
メンバー
・FC東京
前節から両SBを白井と徳元に変更。頂点にはディエゴが復帰。
・川崎フロンターレ
5試合引き分けからの2連勝で7戦負けなしの川崎。前節からは大南に代わって五輪帰りの高井が復帰。2試合連続2得点の山田新が頂点。シン・ヤマダの横断幕よい。
前半
立ち上がりにペースを握ったのはFC東京。FC東京はCBとCHがビルド隊。両SBは高い位置へ。
ひとつG大阪戦から修正されていたのはSBまでのルートの作り方。G大阪戦ではCBとSBの距離が遠く開通していない場面が多めだった。特に岡は開通していないときでも、無理やり長友に繋ごうとしてロストする場面が多かった。
しかし、今節はCHが間に入ることでルートを開通。開通していないときは無理に繋がずに配置が整理するまで持つ、GKを使うという形でビルドアップができていた点はよかった部分。
敵陣まで前進したFC東京は徹底して右サイドから突撃。ディエゴは頻繁に右に流れて、CHの高と小泉も参加して4人5人ととにかく人数をかけてオーバーロード。数的優位を作ってサイドから突破を図る。
サイドを突破してからクロスという形で立ち上がり何度もシュートチャンスを作ったFC東京。ここで1点、2点と取ることができれば違う結果になったかもしれない。ただ結果は0点。これを遠藤が決めていれば、、安斎の足が届いていれば、、で終わらせたら優勝は遠い。
攻撃のデザインを詳しく見ていくと、サイドに人数をかける分、ゴール前に用意できるターゲットは少なくなる。ディエゴは頻繁にサイドに参加していたため、ターゲットとなるのは仲川と遠藤の2枚。
この2枚がターゲットとなる場合、ハイボールでは勝負できないため、低くて速いボールをGKとCBの間に蹴り込む可能性がかなり高い。相手が取ってくる選択がわかりやすければ川崎としても守りやすくなる。
得点を取るためにFC東京に足りなかったのは別の選択肢も用意すること。例えば川崎が低くて速いボールを警戒してGKと CB間を閉じてきたらマイナス方向のクロスを選択して高や小泉、徳元が待ち構える。サイドに参加していて遅れて入ってきたディエゴがフィニッシュ!なんてのも考えられる。
実際に何度もシュートチャンスに繋げていたのでデザイン自体は悪くない。ただもう1つ別の選択肢を用意して相手の裏をかくなど、得点の可能性をより高めるアプローチはできたと思う。
チャンスを掴めないでいると先にネットを揺らしたのは川崎フロンターレ。15分。マルシーニョのクロスに山田が頭で合わせて先制点。
白井は大外の三浦に引っ張られてより危険なCB-SB間に穴を空けてしまったし、土肥はマルシーニョの利き足を考えれば滑らなくてよかった。徳元は競り勝てないのは仕方なしとして、もっと身体をぶつけたかった。少しずつ川崎が上回り繋げた得点。
先制したあとボールを握ったのは川崎。川崎の保持もCBとCHの4人がビルド隊。対してFC東京は2トップとCHがプレス隊となり同数を当てる振る舞い。
FC東京のマークが噛み合えば、川崎は脇坂や家長が降りてきてビルド隊として参加。噛み合わせをずらしていく。ディエゴと仲川の2トップは相手を背中で消しながらプレスに向かう、つまり1人で2人を監視することができないため、中盤で浮いている選手がいれば簡単にプレスは空転する。というかいなくても割と簡単に空転する。
また、川崎は大島や橘田が降りて後方3枚を形成。これにより遠藤や安斎のプレスを誘い出してWG裏のSBへ。さらに徳元や白井をSBまで誘い出して、SB裏へマルシーニョや家長、また山田がCFの位置から走り込む。
そして5分後の20分に2点目。ファンウェルメスケルケンのクロスにまたも山田が頭で合わせて追加点。
前の枚数は足りていたのに山田に全くストレスをかけられずにヘディングを許してしまったCBの2人は痛恨の極み。大志は怒ってよい。
一度敵陣まで押し込んだ川崎はビルド隊4人でただでさえ守備貢献の低いFC東京の2トップを無力化。仲川とディエゴはほぼプレスバックもしないため、4-4ブロックの前でのらりくらりとボールを動かす。
横方向に動かしてブロックを横にスライドさせ、バックパスを使って縦に誘い出して穴を空ける。空いたエリアに人とボールを送り込みゴールに迫る。決定的な3点目は決まらなかったが、完全に川崎ペースで45分を終えた。
後半
0-2で後半。FC東京は安斎に代えて荒木。仲川が右WGへ。
後半の立ち上がりは保持の時間を増やしていくFC東京。荒木が広く動き回り、相手を外して引き付けていく。50分の白井のクロスの場面なんかは荒木ー仲川ー白井の3人の関係だったが、内外の出し入れで川崎の目線を動かしたことでクロスをあげた白井はフリー。ディエゴとのタイミングが合えば1点という形だった。
人を入れ替えて保持では良い場面が見えたが被保持では好転せず。右WGが安斎から前残り気味になる仲川に代わったことで、川崎は誘い出す作業をせずとも左サイドの深い位置まで運べるようになる。
2点リードしている川崎にとって、高い位置まで運んでFC東京全体を押し下げてしまえば、カウンターを喰らうリスクも減り攻撃としては十分。押し下げてから横に揺さぶる、可能性の低い縦パスやクロスを入れる必要もないので、引き付けてからバックパス、2トップ周辺でビルド隊4枚が保持を安定させてまた深い位置まで、、。という繰り返しで時計を進めていく。
前半から特にディエゴの守備が見ていられないほど厳しいものであった。34歳という年齢である以上は2度追い3度追いは要求できないが、対面の相手に運ばれて外されてはいけない。あれだけ簡単に外されてしまうのであれば、プレスいかない方がよいレベルであった。
ボールを奪う修正が必要なFC東京だったが60分に小泉と原川、69分にディエゴと仲川に代えて俵積田と小柏を投入するが、その直後に決定的な3点目。
岡。乗り越えよう。
終盤には相手のミスだったり、俵積田で無理やり押し込んだところから遠藤、小柏、白井が決定機を迎えるが決めきれず。0-3。完敗です。
おわりに
前半戦に続いて0-3でシーズンダブル。
前半立ち上がりの攻撃のデザインは悪くないものであった。これを決定力不足で終わらせずに、より得点の可能性を高めるアプローチができるかである。
一方で守備の方はかなり厳しいものであった。プレスは空転。ディエゴはあの感じだとスタートから使うのは厳しい印象であった。岡と土肥はこれを経験として乗り越えよう。
試合結果
2024.8.11
FC東京 0-3 川崎フロンターレ
味の素スタジアム
【得点】
川崎フロンターレ
15' 山田新
20' 山田新
72' 高井幸大