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業界レポート 職業紹介・労働者派遣業

今回は弊社独自で行っている業界レポート「職業紹介・労働者派遣業」を取り上げたいと思います♪
業界レポートとは、リスクモンスターの心臓部であり、格付などの与信指標を生産・保守を行う「データ工場」が集計・分析しており、業界ごとの市場概要や業界動向、与信管理のポイントなどをまとめたレポートです。
こんにちは、佐々木正人です!
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※2020年9月公開「業界レポート 職業紹介・労働者派遣業」

(1) 市場概要

①  営業種目
‣ 職業紹介業  
‣ 労働者派遣業

②  業界規模 総売上高 25兆3,351億円
上場企業数 34社
非上場企業数 26,321社

③  業界サマリー
職業紹介・労働者派遣業は、職業を斡旋する職業紹介業と、派遣社員として職場を斡旋する労働者派遣業に大別される。

 「職業紹介業」
‣ 職業紹介事業者は、求人と求職の申し込みを受け、求人者と求職者との間における雇用関係成立を斡旋している。顧客対象となるのは、求人を行う企業と、求職を行う転職活動者、新卒学生である。

‣ 職業紹介事業を開始するにあたっては、厚生労働大臣の許可を受けなければならず、職業安定法で禁止されている職業(港湾運送業務、建設業務)を除いた全ての職業について職業紹介ができる。

‣ 近年は、インターネットを活用した就職活動、転職活動が主流となっており、非対面により職業紹介を行うケースも多い。

 「労働者派遣業」
‣ 労働者派遣事業者は、派遣先企業からの依頼に基づき、スキルレベルや業務内容、勤務条件等に合致する人材を派遣先企業に供給している。

‣ 2020年4月、同じ企業で労働する正社員と非正規社員の間で、給料や福利厚生等、あらゆる待遇を公正に受けられるよう労働者派遣法が改正された。中小企業では、制度整備のため1年間の猶予期間が設けられており、大企業より1年遅れて2021年4月から施行が適用される。

‣ 厚生労働省の発表によると、2019年6月時点における派遣労働者数は約157万人(前年比17.3%増)であり、そのうち一般事務職従事者(約30万人)、製品製造・加工処理従事者(約28万人)、情報処理・通信技術従事者(約14万人)の3種で全体の約46%を占めている。

‣ 一般事務・製造派遣は労働集約型であり、労働者能力の差別化が難しく、生産調整等の影響を受けやすい。一般事務・製造派遣を主とする事業者は、労働者登録数、派遣先企業数に応じて競争力が左右されるため、事業規模が大きいほどスケールメリットを得られる。

(2) ビジネスモデル

【 職業紹介業 】
職業紹介業のビジネスモデルは、経歴や希望職種などの条件を登録した求職者のうち、求人企業の要求に応じた人材を選び、仕事を紹介する「一般登録型」と求人企業からの依頼に基づき、人材をヘッドハンティングする「サーチ型」がある。

両形態ともに、求職者の就職決定後に求人企業から手数料を受領する成功報酬制を採用しており、職業紹介事業はフロー型のビジネスといえる。一般的に手数料は、「就職者の契約年収」に応じて支払われる場合が多く、就職者の勤務開始日から1か月程度で支払われる。

【 労働者派遣業 】
労働者派遣事業は、派遣先企業からの依頼条件に合致した人材を派遣先企業に供給する。売上は「派遣単価×派遣労働者の稼働時間×派遣労働者数」であり、売上原価は「派遣労働者給与+社会保険料等」である。

労働派遣事業者は、高単価の労働者を多数派遣することによって売上高の拡大を図っている。労働者派遣契約に基づき、派遣労働者が稼働することで、継続的に収益が発生することから、労働者派遣事業は、ストック型のビジネスであるといえる。

職業紹介業のビジネスモデル

(出所)公益社団法人 全国民営職業紹介事業協会

労働者派遣業のビジネスモデル

(出所)一般社団法人 日本人材派遣協会

(3) 業界動向

2020年4月、働き方改革の一環として改正労働者派遣法が施行され、同一労働同一賃金が実現することとなった。派遣元においては、派遣先に待遇を合わせる「派遣先均等・均衡方式」と派遣元が待遇を定める「労使協定方式」のいずれかの方式により労働者と雇用契約を行うことが義務化された。

本改正は、正規雇用と非正規雇用の待遇格差是正を目的とし、交通費や福利厚生などの待遇改善のほか、賃金についても同一の業務に従事する際には、正規雇用社員と同一テーブルとなるため、派遣労働者の賃金高騰が想定される。非正規雇用は、雇用の調節弁としての側面を有しているが、労働者保護の観点から年々法改正が行われており、人材派遣業を取り巻く事業環境は厳しくなっている。

近年、「業務請負・委託契約」のプラットフォーム整備が急速に進んでいる。個人へ業務発注を行える「クラウドソーシング」により、労働契約を行わずとも、フリーランスとして自身の労働力やスキルの提供が可能となったほか、Uber Eeatsの配達に代表される「ギグワーク」が新型コロナウイルス感染拡大による外出自粛の影響によって、瞬く間に浸透した。

多様な働き方が国から推奨され、人々がより自由度の高い働き方にシフトすることにより、労働者派遣市場からの人材流出につながることが懸念される。

改正労働者派遣法のポイント 

(出所)厚生労働省

(4) 財務指標分析

(安全性分析)
自己資本比率は、40%超とサービス業全体と同水準であることから、比較的安全性が高い業種といえる。また、職業紹介業・労働者派遣業ともに、大きな設備投資を必要としないことから、固定比率はサービス業全体と比べて大幅に低い水準となっている。

一方で、近年はITを活用した人材管理、雇用のマッチングが主流であるため、システム開発への投資が必須である。固定資産が乏しく、固定比率が極端に低い場合には、注意が必要である。

 (収益性分析)
売上高営業利益率および売上高経常利益率は、どちらもサービス業全体と比べて低い水準にある。労働者派遣業は、派遣労働者への支払給与のほか、社会保険料、福利厚生費、広告宣伝費、教育支援等にかかる費用など、継続的な費用負担が重いことから、収益性が低くなりやすい業種であると思料される。

(効率性分析)
資本効率面では、総資本回転率の高さが注目される。職業紹介・労働者派遣業は、人的資源に頼る労働集約型のビジネスであることから、多くの資本を必要としない。比較的効率性の高い業種といえる。

(5)与信 限度額の考え方

■与信限度額の設定方法
与信限度額とは、取引において自社が許容する信用供与の最大額であり、いかなる時点でも超過してはならないものである。与信限度額は、「必要かつ安全な範囲内」で設定する必要がある。必要な限度額は、取引実態を基に算出し、安全な限度額は、自社の財務体力や取引先の信用力(格付)を基に算出する。

●与信金額(必要な限度額)
職業紹介・労働者派遣業に対する与信が発生する業界のひとつとして、広告業が考えられる。集客用に制作した広告物や広告掲載料が職業紹介・労働者派遣業の倒産によって回収不能となるリスクが存在する。職業紹介・労働者派遣業に対する継続取引における必要な与信金額は、以下のとおり算出される。

与信金額 月間の取引金額 × 回収サイト

取引を行う際には、自社の取引条件が斯業界の平均水準から大きく乖離していないか、確認すべきである。買掛債務回転期間の業界標準値が「斯業界の平均的な支払サイト」を表しているため、「月間の取引金額×買掛債務回転期間の業界標準値」によって、与信金額の基準とすることができる。 職業紹介・労働者派遣業に対する平均的な与信金額 月間の取引金額 × 0. 2 か月

職業紹介・労働者派遣業は、業界特性上、買掛金が少ない業種であるため、買掛債務回転期間は0.2か月と短くなっている。

●基本許容金額(安全な限度額)

基本許容金額は、自社の財政がどの程度の貸倒れまで耐えうるかを予め計ることで、自社の体力を超える取引に対する牽制機能を働かせるものであり、自社の財務体力と取引先の信用力を考慮して算出する。一例として、自社の自己資本額に対して、取引先の信用力(格付)に応じた割合を安全な限度額とする方法がある。

基本許容金額 自社の自己資本額 × 信用力に応じた割合
(例 : A格10%、B格5%、C格3%、D格0.5%、E格0.3%、F格0%)

(6)与信 管理のポイント

職業紹介・労働者派遣業は、雇用に関する法改正の影響を強く受けることから、関連法規も含めて改正の動向を注視する必要がある。また、経営資源である人材を十分に確保できているかどうかも、業績安定のための重要なポイントである。

【 職業紹介業 】
近年、有効求人倍率は、少子高齢化に伴う人手不足により改善されているものの、業種によってばらつきが大きい。特定の業種に特化した職業紹介を行っていた場合は、対象となる業界の景気動向を確認しておく必要がある。

職業紹介業は、事業の開設に多額の設備投資を必要としない業種であるため、参入障壁が低く、過当競争に陥りやすい一面があるものの、求人者と求職者の確保や効果的な雇用マッチングを実現するための人材システム等を有していることが競争力の大きな要素となっているため、効果的な人材システム等の開発を行うだけの資金力を有しているか否かが重要なポイントの一つと言える。

【 労働者派遣業 】
労働者派遣業は、派遣先企業のニーズに合致した人材を迅速に供給することが求められる。企業の様々なニーズに応えるべく、高度で専門性の高い労働者を確保することが、競合他社との差別化、事業力強化につながる。派遣先の業種、職種に適した派遣労働者を十分確保できているか把握することが求められる。

2020年4月の改正労働者派遣法の施行により、派遣労働者への交通費の支給や福利厚生の導入、同一労働同一賃金への対応により、派遣労働者の賃金が高騰することが予想される。法改正によるコスト負担増に耐えうる財政状態であるかについても確認する必要がある。

自社で労働している派遣社員の派遣元が倒産した場合、当該社員への未払い給与は派遣元に支払い義務があるため、自社に名目上の負担はないが、雇用契約が無効となった派遣社員分の労働力を補う必要性や、場合によっては直接雇用に切り替えざるをえないケースが発生しうる。

また、派遣社員の過失によって自社に損害が発生した場合、損害賠償責任は派遣元に帰属することから、賠償金の支払い能力を有しているか、あるいは過失を発生させないような派遣社員の管理・教育がきちんとできているかについても確認しておきたい。

【参考資料】
財務省:「平成30年度法人企業統計調査」
経済産業省:「商業動態統計調査」
中小企業庁:「平成30年度中小企業実態基本調査」
厚生労働省
公益社団法人 全国民営職業紹介事業協会
一般社団法人 日本人材派遣協会
業界レポート 職業紹介・労働者派遣業 2020.09

本日の内容は以上になります。
次回もお楽しみにでは

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