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MOTUのオーディオインターフェイスM64は1台で128 in/128 outで使えた

Ryo Kimura

my new gear...

昨日は私の誕生日で、Facebookでたくさんメッセージいただいてありがとうございました。さて、個人でやるには何かとお金のかかるDolby Atomos 音楽制作ですが、なかなかいい買い物をしたのでご紹介させてください。

今回購入したのはMOTU「M64」。機種名のごとく64入力/64出力を扱えるオーディオインターフェイスです。

ちょうど誕生日に到着したM64

私の機材って約96%を中古品で調達しているのですが、自分としては大変珍しく、今回は頑張って新品を正規ディーラーより購入いたしました。

崩壊しつつあるアトモス制作機材の常識(価格破壊)

1台のPCでやるか2台でやるか

まずは前置きを書かせていただきますが、Dolby Atmos音楽制作の方法は2つありまして、一つは1台のMacの中で音楽ミックスを再生するDAWとDolby Atmos用のマスターファイルを録音するためのレンダラーを一緒に使う方法で、もう一つはDAWとレンダラーとを別々のPCで扱う方法です。

前者の方法はノートPC1台でも出来るので、個人ユースにも向いてて、商業スタジオでもこの方式を取っているところもありますが、1台のPCですべての処理をするためにPCにパワーが必要になります。

後者の2台のPCを使う方法は、機材が増えますが安定した動作が得られるため、プロ用の商業スタジオではこちらの方法が取られることが多いです。ちゃんとしたスタジオでは「HT-RMU」と呼ばれる、認定ディーラーからしか購入できない、専用のハードウェアユニットが導入され、その価格は数百万円と言われています。

128chというチャンネル数をどうやって実現するのか?

今回はホストDAW用のPCとレンダラー用のPCを分ける「ハードレンダラー方式」について解説します。

Dolby Atomos 音楽制作をするにあたっては、音楽ミックスを再生するためのDAWから、Dolby Atmos Renderer用のもう一台のPCに音を橋渡しするために、最大128chの音の通り道を作る必要があります。

送り手側のDAWも128chの出力が必要だし、受け手側のDolby Atmos Renderer用PCも128chの入力が必要になります。(場合によっては、レンダラー側からDAW側に再び音を戻す必要も生じます)

Danteでやるか、MADIでやるか

普通、自宅で音楽制作をしている人にとって、使っているオーディオインターフェイスの入出力は、多くても20~30チャンネルくらいだと思いますが、Dolby Atmos 音楽制作におおける「ハードレンダラー方式」をやるためには、桁外れなチャンネル数を用意する必要があります。その数は最大で128ch。

ドルビーはその多チャンネル接続を「Dante」(ダンテ)という規格か、MADI(マディ)という規格かどちらかの方式でやるよう定めています。私がいくつかのスタジオを見学する限り、Danteの方が人気な気がしますが、私はMADIで組んでいます。

今まではPro Tools HDXカードが2枚以上必要だったが

MADI方式について書きますが、MADIは1本のケーブルで最大64chの音を伝送することができます。128ch分の音を送るためには、MADIを2系統出力できなければいけないのですが、これをプロ用音楽制作DAWの代表「Pro Tools」で実現するためには、HDXカードという高性能DSPカードを2枚以上搭載したシステムを組んでいる必要がありました。

HDXカード2枚挿し以上となると、結構なコストがかかりますので、それを実現できるのは商業スタジオか、一部のクリエーターの方に限られると思います。

それが、今年(2022年)4月にリリースされたPro Tools 2022.4というバージョンから、HDX環境ではないネイティブ環境においても、最大256chのI/Oを扱えることになり、その常識が崩壊しました。

それまでは最大64chしか扱えなかったネイティブ環境の非HDXユーザーにも、多チャンネルI/Oの道が開かれたのです。これは結構大きな変化だと私は思いました。

受け側の128chをどうやって実現するのか?

送るのも128chなら受けるのも128ch必要ということで、ドルビー認定の「HT-RMU」と呼ばれる専用のハードウェアユニットではどうやってそれを実現しているかというと、DanteならMac ProかMac miniに接続した拡張ボックスにDanteカードを挿します。

MADIはどうするかというと、独立したMADIが2系統必要になりますので、現行製品でそれを実現しているRMEのUSB接続オーディオインターフェイス「MADIface XT」(約32万円)か、PCI Expressカードの「HDSPe MADI FX」(約22万円)を使うことになります。(旧モデルのHDSPe MADIを2枚挿す手もあり。約38万円)

いずれにしてもオーディオインターフェイスの中では高額商品ですよね。半導体不足の影響でMADIface XTは現在、まず手に入りません。

一応補足しておきますと、レイテンシーとCPU負荷があっていいなら、Dante Virtual Soundcard を使う方法もあります。

安価で128入出力を実現しちゃってよいのか?誰かに刺されそう

MOTUのM64は64入出力のインターフェイス

おまたせしました。ここまでは前置きなんですよ。長っ。今回私が導入したのがMOTUのオーディオインターフェイス「M64」です。

久しぶりの新品機材なので緊張するな

M64はUSB接続のオーディオインターフェイスとして64 in/64 outの I/Oとして機能します (44.1 or 48 kHz使用時)。入出力端子はMADIで、コアキシャル(同軸)のMADI端子とオプティカル(光ファイバー)のMADI端子と両方が付いています。

M64の背面

そして、これがMOTU製オーディオインターフェイスの面白いところなんですが「AVB」という規格にも対応しているんです。AVBとは「Audio Video Bridging」の略で、イーサネット経由で映像や音楽を伝送する規格です。

AVBは「ストリーム数」というチャンネルの数え方をして、1ストリームにつき8ch使用可能で、44.1 or 48 kHz使用時には8 in / 8 outのストリーム数を扱えます。ようはAVB接続で64 in/64 out分のチャンネルを扱えるんです。

機器セットでUSB接続とAVB接続を束ねられるのか?

とはいえ普通は、USB接続かAVB接続かどちらかを選んで使用すると思うのですが、どっちも同時に使う方法がありました。それがMacの「機器セット」。

機器セットとはWindowsにはないMac独特の機能で、複数のオーディオデバイスの入力と出力を組み合わせて1 台の機器として扱え、別々の機器からのオーディオ入力やオーディオ出力を同時に扱えるようになります。


Audio MIDI 設定に、USB接続の「M64」と、イーサネット(AVB)接続の「M64:M64」が両方表示されている

機器セットでUSB接続の「M64」と、イーサネット(AVB)接続の「M64:M64」を1 台の機器としてセットすると、合計128 in/128 out機器セットが誕生しました。

果たして本当に128 in/128 outで使えるのか?

USB(64 in/out)とAVB(64 in/out)、お前ら一緒に使えたんかい!

製品サイトや取扱説明書読んでも確証が持てなかったのですが、テストしてみると本当に128 in/128 outのインターフェイスとして機能しました。

下の画像はDolby Atmos Rendererの初期設定画面で、オーディオ・インプット・デバイスを「Pro Tools機器セット」、オーディオ・アウトプット・デバイスを「M64」に設定しているところです。

設定こそできるが、本当にエラーなく音出しできるのか?

Pro Toolsからフル128ch分の信号(Bedチャンネル10ch、オブジェクト117ch、タイムコード1ch)を送ってみたところ、問題なく使用できました。

117個のオブジェクトを全部鳴らしてみた!

USB接続した64ch分とAVB接続した64ch分のオブジェクト(トラック)入れ替えたりして検証しましたが、USB接続の音とAVB接続の音がずれることもなく、両方同時に使ったからといって、ハングアップしてしまうようなこともありません。

本体にレベルメーターが付いていて、音が行っているかどうかを確認できて便利

MOTUのM64って11万円で販売されているようですが、今回運良く6万円で新品購入できたので、128ch分の入出力がこれ1台でまかなえたと思うと、相当充実感があります。本当に安定動作するかどうかはこれから検証したいと思います。

今のところ128chフルで使い切るようなオブジェクト数は扱っていませんが、半分の64ch仕様だともうすぐ枯渇すると思っていたので、今後気兼ねなくオブジェクトを使えるのはとても嬉しいです。どんどん活用していきたいと思います。

エアフローを確保しつつMac miniや映像機器たちと一緒にラックマウントされた。

せっかくのAVB機器なので、ステージボックスなどをいずれ入手したい

最後に今後の展望ですが、せっかくAVB機器を手に入れたので、AVBネットワーク接続に対応した他の機器もいずれ入手して、活用してみたいものです。

PreSonusから出ているAVBネットワーク接続に対応したステージ・ボックス「NSBシリーズ」は、ステージ・ボックスの中ではリーズナブルなので、いつか試してみたいです。

#dolbyatmos

おまけ(最近の機材写真いくつか)

YAMAHAのFM音源「TX81Z」
電池を交換できるように改造
20数年前に買った、音源モジュール型のハードシンセに回帰中
Dolby Atmos ミックスしたものを、生でリアルタイムにライブ配信したり映像収録したり出来るように
Nord Lead 2も手放せないシンセの一つ
頭おかしい9.1.4chモニターシステム
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Ryo Kimura
ドルビーアトモス仕様の空間オーディオ作品を自主制作してリリースしています。ピアノ演奏の動画撮影に特化したピアノスタジオ「白金ピアノスタジオ」のオーナーでもあります。