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新型コロナウイルスに備えて、いま広告運用者が冷静に考えるべき3つのこと

川手@RKawtrです。

新型コロナウイルスの影響が、じわじわとエンドユーザーの購買行動にも影響を与え始めています。すでに広告アカウントのコンバージョン率やROASに影響が出始めているケースも多いのではないでしょうか。広告運用者が今考えるべき3つの事(対策・予測・学習)について、このnoteでは言及しておきたいと思います。

対策

①既に影響が悪い影響が出ている場合の対策

すでに悪い影響が出ているケースもあるかと思います。来店ビジネスである飲食店などのサービス業は特に影響が出やすいのではないでしょうか。この場合、割と急ぎでの対応が必要・対策が必要となります。全ての案件において実行することは困難ですが、例えばオンラインに切り替え可能なものは切り替えを実施したり、飲食店であればUberEATSを導入するなど(導入難しいかも)、まずはやれることをやるしかありません。

来店不要でサービス提供が可能な案件の場合、LP内でちょっと強調して記載してみたりする他、広告文、オプションを活用してみるといった些細な工夫が売り上げの低下に歯止めをかけてくれる可能性もゼロではありません。ぜひ思うところがあれば取り組んでみましょう。売り上げが落ち込んでいる際は、平時ではリスクになることが、リスクにならないことも多いです。思い切った方向転換も時には必要です。

あとは敢えてこれを機に捉え、オンラインにチャレンジしてみるというのも手の一つです。動画、音声メディア、zoom、skypeといったオンライン通話ツールなど、積極的に業務に取り組むことで、もしかするとイノベーションを起こせるかもしれません。

例えば、今の時期はイベント集客には苦戦するかもしれませんが、それを動画撮影しオンライン上で共有し動画資産とし長期的な蓄えとすることで、長期的に凹みを解消するほか、打ち手などいくらでもあります。特に大きく売り上げが落ちている場合、代理店の人間として、普段なら提案しないような歩み寄った提案をクライアントに持ちかけてみると言うのも悪くないと思います。「何もしない」は最悪手です。

②既に良い影響が出ている場合の対策

逆にオンライン完結型ビジネスの場合、コンバージョンが普段よりも多くなる可能性があります。競合しているオフライン競合・類似競合の市場のパイを自然と取り込むからでしょう。

例えば遊園地や映画館に行けなくなった分、スマホゲームアプリのダウンロード数、映像コンテンツを提供するサブスク各社の会員登録数、率は増える可能性が高いのではないでしょうか。どこもまだ手を出していませんが、炎上リスクを抑え込んだ上でキャンペーンを展開するほか、4月以降に投下予定であった予算を先行投資するといった取り組みを、もしかすると提案することで短期的にではありますが、大きく成果を伸ばせるように繋がる可能性があります。

何もしなくても自然と成果が良くなる時は、わずかな工夫でより成果を大きく伸ばせる可能性がある時でもあります。

あからさまなキャンペーンなどは反感を買うためNGですが、節度あるキャンペーンであればそこまで反感を買うことなく、顧客とより親密で友好なコミュニケーションを実現できるのではないでしょうか。

予測

次に、予測です。現状すでに売り上げが上がる下がるといった話も出てきているかと思いますが、そうではなく、どこまで長期化し、そこまで影響が出るかといった点を予測し、まだ影響が出ていない商材・サービスでどのような動きが起こりうるかを予測するといった取り組みも必要です。

①今後どのような商品・サービスで影響が出始めるか

まずは中国資本の影響が大きいものが影響を受けます。例えば意外に思う方も多いかと思いますが、たとえばアニメにはすでに影響が出始めています。

これは作画などの制作作業の一部を中国に委託している影響です。その他、一次産業、特に人手を必要とする流通網などは今後大きく影響を受ける可能性が高いのではないかと考えられます。どの程度長期化するかにもよりますが、対策が可能な範囲で対策を講じ、リスクをしっかりとテイクしていく取り組みが必要になってくるのではないかと思います。

②予算の見直し

どうしても落ち込みが激しい場合、予算については早めの提言と調整(行動)が必要です。止血は早め早めの対応を心がけるべきです。

社会全体にとっての特定の商材・サービスへの需要そのものが変質するわけではないので、潮のように「満ち」があれば「引き」もあります。今は「引き」であると捉え、一時的な落ち込みの後に「満ち」がくることを想定し、即座に対応できるように事前の準備を怠るべきではありません。

2月・3月は予算を抑える、「終息宣言」や実質的な終息に備えてキャンペーンを企画するなど、やるべきことは山ほどあります。

学習

最後に「学習」です。まずこの一連のコロナウイルスに便乗するかのような形でうまくPRを行った企業が多数存在します。

①うまく「コロナウイルス」を取り込んだ例

最たる例が、GMOです。ご存知の通り、1月26日に社長の熊谷氏が下記方針を出されました。

もちろん従業員の健康を考慮した上での決断かと思われますが、もともとGMOは3.11以降有事に備え在宅勤務を試験的に実施し備えてきた実績があり、その上での在宅勤務への切り替えではあるものの、驚くべきはこのスピード感。1月26日に決断し、27日から実施。この時点では国内ではまだ3人しか感染者が出ていない状況でした。実際その後の人材獲得なども視野に入れた、広報的にも非常に優れた戦術展開だと思います。

優れたカードは、優れたタイミングで切ってこそ、初めて価値があります。

「在宅勤務を導入」を、平時でやっても訴求としては弱いです。事前の仕込みがある分、他社と違い早期対応が可能であった点、またそのタイミングですることで初めて価値が示せるという着眼、まさに最高のタイミングで最高のカードを切っているように思います。

他にも複数の企業が今回の「コロナウイルス」による影響を受け、様々な取り組みを展開しています。(これらはPRTIMESなどで閲覧可能です)

切り口が斬新であれば、後続的に取り組んでも社会的に評価される・注目される可能性があります。プレスリリースを一読し、転用可能なものがあれば自社で取り込む他、クライアントへの提案に繋げるのも1つの手です。

②データを集めておく

どのタイミングで売り上げが上がったのか、下がったのか、コンバージョン数に影響が出たのか、そのようなデータは必ず後々に確認できるように、まずはデータとしてストックしておくことをオススメします。

今回のようなウイルス騒動はレアケースですが、地震をはじめとする災害は今後も日本国内において起こりうる可能性が非常に高く、その際にそれらのデータを用いて迅速な対応や予測が必要とされるシーンも想定されます。なのでまずデータを集めておく、実際の事例を整理しておく、などといった取り組みは特にコロナウイルスによってパフォーマンスに影響があった案件の場合は必須です。

③参考資料、対策資料を作っておく

これは完全事後で問題ないかと思いますが、今回の騒動を受け、今後似たような事案の際に最速で的確な判断・対応ができるように自社内に資料をストックしておく、またはオンドメディア展開している広告代理店の場合、それらを外部発信できるような形に加工して配布しておくといった取り組みも展開して良いかと思います。より多くの人に知識としてシェアされることが、より多くの人を、より良くしていくことに違いありません。社会全体にとっても、非常に有益な取り組みです。

まとめ

とにかく大切なのは初期における的確かつスピーディーな対応と、ピンチをチャンスと捉え手持ちのカードを最高のタイミングで切ろうとする意欲的な姿勢、しっかりと今起きている事象を冷静に受け入れて、近い未来に起こりうることを冷静に予測することが大切だとお考え頂き、差し支えないかと思います。

もちろん色々考えて実行し空回りに終わったり、結果的に成果につながらない、状況の好転に繋がらないケースもあるかと思います。しかし、何もやらずに結果後手後手になるのと、何かやったけどその上でうまく立ち回れなかったとでは雲泥の差です。

また常に刻一刻と状況は変化する上、人間は有事の際は理論ではなく情緒で、事実ではなく感情で判断する生き物です。「感染するかもしれない」という「恐怖」の前では、「事実」や「論理」は本来の作用を発揮しません。その点も考慮し、「本当に今なすべきことは何か」を考える必要性が今、広告運用者には求められるように思います。

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